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旅人の歯医者日記

第1章 はじまりの虫歯
#1-7 忍耐の3分消毒

1997年5月~8月頃

神経を取った部分は消毒が必要とのことで、消毒に通い続ける日々が続きました。(*第1章は全13ページ)

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16、患部の消毒

神経を抜いた箇所は、特に痛んだり、腫れ上がったりすることはなく、次の診察日を迎えた。

今回の治療は、患部の確認と消毒ということなので、そんなにきつい治療にならないはず。少しゆとりをもって歯医者の自動ドアを開けた。

そして、診察券を受付の人に渡すと、待合室の椅子に腰をかけ、名前を呼ばれるのを待った。

初々しいイメージ(*イラスト:よーよーさん)

(*イラスト:よーよーさん)

歯医者を訪れるのは、今日で三回目。少しは心のゆとりが出てきたが、やっぱりここは落ち着かない。

順番を待っている私の姿は、歯医者に通い慣れない初々しい患者の佇まいをしていたはずだ。

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しばらく待っていると、名前を呼ばれ、診察室に入った。そして診察椅子に腰を掛けると、今日は手が空いていたのか、前回の神経の治療の具合が気になったのかは分からないが、すぐに先生がやってきた。

治療した箇所に変わりがなかったことを聞かれ、大丈夫だったことを伝えると、診察椅子が倒されて、診察が始まった。

まずは奥歯に被せていたプラスチックの被せ物を外し、問題の患部の状態を確認。「これなら大丈夫です。」と言われれば、私も安心する。

その後、消毒をしますと、小瓶に入った薬品を含んだ綿をピンセットでつまんで、それを患部にペタペタと塗って、またすぐに被せ物が被せられた。

消毒のイメージ(*イラスト:改築工房さん)

(*イラスト:改築工房さん)

これで今日の治療は終了。あっという間に治療が終わってしまった。せっかく歯医者に来たというのに、待合室の椅子に座っていた時間の方が長かったように感じる。

無駄に時間を掛けたり、無理やり大治療をして欲しいわけではないけど、これはこれで何か物足りない・・・。

*ここに書かれている治療は、現在の根管治療が一般的になる前の治療方法になります。現在では、すぐに歯の根っこ部分の随を取り除く作業、根管治療が行われるので、こういった消毒作業は行われません。あしからず。

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治療の終わりに、次回も同じことをやると言われ、次回診察に訪れると、やっぱり同じ作業が行われた。

消毒は重要だ。ぜひ念入りにやって欲しい。当然、誰でもそう思うはずだ。

だが、この消毒が1、2回で済むのならともかく、2か月間にもわたり、10日に1回ぐらいの頻度で歯医者を訪れなければならないとなると、話は別だ。

足取りが重いイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん)

「面倒かもしれませんが、必ず消毒に訪れてください。神経を除去した場所は、きちんと消毒をしておかないと、後で膿んで大変な事になります。」と、念を押されていても、見た目に進展のない治療の為に、歯医者へやって来るのは憂鬱そのものだった。

17、3分消毒と正義のヒーロー

ウルトラマンの写真

祖師谷大蔵のシンボルです。

ただでさえ歯医者に通う足取りが重いというのに、3分程度で終わる治療のために歯医者を訪れるのは・・・、面倒なことこの上ない。

3分のために頑張るといえば、すぐに思い付くのが正義のヒーロー、ウルトラマン。小さいころに見ていたのもあるが、自転車で行ける距離にウルトラマン商店街(小田急線祖師ヶ谷大蔵駅)もあるので、この3分間のヒーローには馴染みが深い。

今までは3分間という時間制限があるなかで、地球の平和のために一生懸命戦い、カッコいいイメージがあったが、憂鬱な3分間の歯医者通いが始まってからは、少しモヤモヤするものを感じるようになってしまった。

ウルトラマンの写真

盆踊りを見守るウルトラマン

治療時間が3分だからといって、3分で全てが済むわけではない。行くのに準備して、行くまでに時間がかかって、待合室で待たされ、そして次回の診察を入れるスケジュールの調整してと、治療以外の部分にも時間と手間がかかるのだ。治療が短いと、それがすごく気になってくる。

ウルトラマンだって、毎度毎度3分間のために呼び出されるのも、非常に面倒なはず。M78星雲の光の国からやって来た宇宙人なので、そんなの気にしないよ。と、地球人の常識は通じないのかもしれない。

そしてそういった辛さを微塵も感じさせないのが、正義のヒーローたる由縁なんだろう。

けど・・・、やっぱり地球に暮らす人間の現実では、3分ぽっきりのために出向いて何かをするというのは、時間が短いから楽という訳ではなく、むしろ手間や面倒といった感情が勝るはずだ。

あいにくと私はM78星雲の光の国からやって来たヒーローでなければ、面倒なことを苦にしない真面目な学生でもない。だからこの3分消毒が想像以上に辛かった。

貴重な青春を無駄に過ごしている気がする・・・と不満に思っても、ここまで虫歯をひどくしてしまったのは私自身。歯医者の先生に当たるわけにもいかなく、フラストレーションも溜まる一方。

膿んでもいいから一回でまとめて4回分、12分間の消毒にしてくれないかな・・・。と思うものの、膿んでしまったらどういう結果になるのか、全く想像が付かない。

双六のイメージ(*イラスト:山田猫太朗さん)

(*イラスト:山田猫太朗さん)

ズルして膿んでしまったので、最初からやり直しです!ってな双六のような展開になっても堪らないしな・・・。またあの心臓がチクリとする強烈な麻酔から始まったりして・・・。

いや、それで済めばまだいい。場合によっては、今度こそ歯を抜かないと駄目です!ってな事態になってしまうかもしれない。

結果がわからないだけに、やっぱりここは素直に従っておこう。せっかく助かった歯の命。そんな漫画のような展開になったなら、それこそショックで立ち直れなくなる。

「面倒だ~」「今日は行きたくね~」などとブツブツと言いながらも、ちゃんと歯医者に行き、消毒の回数を積み上げていくのだった。

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