旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編 2004年 Page3

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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3、トラブル続きの南米旅行・前編(2004年1月)

南北アメリカ大陸の地図(地理院地図)

今回の旅では、メキシコ以外に、少し離れた南米大陸の国、エクアドル、ペルーを訪れた。

なぜこんな組み合わせの旅をしたのか。父親のガンが発覚する前までは、次は南北アメリカ大陸を縦断するぞ!などと胸に抱き、行けるかどうかはわからなかったが、少し計画を立てていた。

プリンスエドワード島のイメージ(*イラスト:ぶたどんさん)

(*イラスト:ぶたどんさん 【イラストAC】

思い描いていた計画では、旅の始まりはカナダ。カナダでどうしても訪れてみたいと思っているのが、赤毛のアンの舞台となったプリンスエドワード島。なので、東海岸から旅を始め、アメリカを一気に南下していく。

南下するにあたっては、同じ名作劇場つながりで、トム・ソーヤの舞台、ミシシッピ川に沿って南下していくのが楽しそうだ。とはいえ、アメリカは物価が高いので、なるべく駆け足で抜けて行こう。

メキシコに入ると、ここには世界遺産の宝庫。アステカやマヤの遺跡が広い国土に点在しているので、周遊しながらしばらく滞在しよう。

メキシコからは中米の小さな国々を順に陸路で南下していき、南米大陸へ。南米大陸ではナスカやマチュピチュなど遺跡が多い太平洋岸を南下していき、ゴールは南米大陸の最南端チリのホーン岬か、南米大陸最南端の町、アルゼンチンのウスアイア。或いは更に船で南下して南極大陸ってのもロマンがある・・・などと思い描いていた。

現像ラボの写真

実際にこのルートで旅をしようすると、半年は必要になる。今回の旅程は2か月ほど。行く国を絞って直線的に旅したとしても、たどり着けるかわからないし、時間に追われていては中途半端な縦断旅になってしまいかねない。

だったら飛行機を使用して、下調べの段階で特に行きたいと思った国、メキシコとペルーを中心に訪れた方が、満足感の得られる旅ができるのではないか。

そう考え、メキシコからペルーの飛行機を調べると、ペルーの北側にあるエクアドルへ便が激安だった。だったらメキシコからエクアドルへ飛んで、陸路でペルーを訪れるというのがいいだろう。といった理由から、メキシコ、エクアドル、ペルーを訪れる旅に決めた。

ウユニ塩湖のイメージ(*イラスト:T.Hさん)

(*イラスト:T.Hさん 【イラストAC】

この他にも時間に余裕があれば、ペルーの隣国ボリビアに入国し、幻想的なウユニ塩湖を見てみたいし、ブラジルに少し入って、アマゾンにも行ってみたい。

日本からすると、南米は地球の裏側。そうそう行く機会はない。せっかく訪れるなら、この機会に・・・と、色々と欲張りたくもなる。

とはいえ、日本では国境の越え方とか、ビザ関係の詳細な情報がわからない。それにトラブルが多いのが、南米の旅行事情。実際に旅をしながら、他の旅行者などから情報を収集し、そのへんのところは臨機応変に対応することにした。

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南米最初の訪問国はエクアドル。日本ではあまり知名度のある国ではないが、バナナとか、コーヒーは有名なので、エクアドルの名からそういったものを連想する人は多いのではないだろうか。

エクアドル バナナ市場の写真
バナナ市場の様子

首都はキト。実はこのキト、標高が2,850mもあり、世界で二番目に標高の高い首都になる。

エクアドルといえばサッカーもなかなか強いが、この標高の高さはホームのアドバンテージとしては強烈である。ホームで足の止まったブラジルを負かすこともあったりする。もっともエクアドル側も国外で活躍する選手、いわゆる海外組が主力だと、条件は同じになってしまうだろうか。

その標高の高いキトの飛行場にメキシコからの飛行機が夕方遅くに到着するのだが、着陸体勢に入るものの、着陸寸前で勢いよく加速し、空へ上昇してしまった。

なんでも視界不良の為に着陸が困難とのこと。で、少し離れた都市の空港に降ろされてしまった。なんとも幸先の悪い南米旅行の始まりとなった。

エクアドル キトの中央広場の写真
キトの中央広場
エクアドル キトの町並みの写真
キトの町並み

エクアドルの首都キトは、コロニアル調の町並みがとても美しく、世界遺産にも指定されている。朝から晩まで積極的に歩き回りたい町になるのだが、標高が高く、坂が多いので、張り切って歩くと、すぐ息切れしてしまうのが難点。

おまけにこの町は治安が悪く、ひったくり、強盗が非常に多い。一人で歩く場合は細心の注意が必要となり、人通りの少ない場所へは行かない。暗くなってからは出歩かない。というのは、鉄則になっている。少し怖い町でもある。

また、実際はどうなのかわからないが、旅行者の間ではキトは狂犬病の犬が多いことで有名だったりする。実際に発症し、死亡した日本人旅行者がいて、「みんな気を付けようぜ!」といった感じで、その情報が拡散していったそうだ。

エクアドル 市場をうろつくワンコの写真
市場をうろつくワンコ

エクアドルでは、キト市内の散策、キトの近郊の赤道モニュメント、その他、市場が好きなので郊外の市場をびくびくしながら観光して回ったが、特にトラブルもなく、無事に滞在を終えることができた。

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エクアドルからペルーへは、旅人らしく陸路で国境を越えていこうと思っていたのだが、旅行代理店の店頭に張ってある航空券の値段を見てビックリ。あまりにも安かったので、ここでも飛行機を使用することにした。

移動を楽しむのが旅人。移動に手間をかげず、効率化してしまうのが旅行者。私はそう思っている。飛行機を多用する今回の私は、旅人というよりは旅行者と呼ぶのがふさわしい。そのへんはモヤモヤしたものを感じ、少しプライドも傷つくが、使える時間が多くないので割り切って考えている。

ペルーの地図(*イラスト:レイナルナさん)

(*イラスト:レイナルナさん 【イラストAC】

ペルーの首都はリマ。ここは標高0mと低い。メキシコシティが2200m、キトが2850mと標高の高い場所を旅をしてきたので、飛行機を降りると酸素が多く感じた。って言うのは嘘だが、とても蒸し暑く感じた。

ペルーといえば遺跡の国。ナスカの地上絵と、天空の遺跡と言われるマチュピチュは誰でも知っているような遺跡になる。

ペルー イカ ワカチナオアシスの写真
イカ ワカチナオアシス

遺跡も好きだが、砂漠も好きなのが私。まずはイカという町のそばにあるオアシス、ワカチナを訪れた。

ここは水が湧き出るオアシスの周囲に、大きな砂山が聳えている。まさにオアシスというか、非日常感満点。とても素敵な場所だった。

せっかくなので、張り切ってオアシス周辺の砂山に登りまくった。砂山に登ると、とても眺めがいい。そして驚いた。なんと辺り一面砂山だらけ。まるで異世界に来たように感じる。

ペルー イカの砂丘の写真
イカの砂丘

なかなか感動的な砂山登りだったが、今までとの気温差のせいなのか、標高差のせいなのか、途中からのぼせるような感じがしてきて、夕方宿に戻ると、少し身体が熱っぽくなっていた。

シャワーを浴びたり、夕食をとった後は、鼻水も止まらなくなってきた。どうやら少し体調を崩し、鼻風邪を引いたような状態になってしまった。

ペルー イカ ワカチナオアシス 壁を這うサソリの写真
壁を這うサソリ

安宿に泊まっていると、いろんな虫や小動物の侵入があるが、今回はサソリの登場。部屋でガイドブックを眺めていると、部屋の壁をサソリが這っているのに気が付いた。

「おっ、サソリだ。砂漠のオアシスらしい。現物を見られるなんて、ラッキーだ・・・」なんて歓喜するわけがない。「わぁ~、サ、サ、サソリがいる・・・」ってなもので、飛び上がりそうになるほど驚いた。

さすがにほっておくわけにはいかない。寝ているときに刺されたらえらいことになる。どうする。宿の人を呼ぶ。それとも自分でやっつける・・・。

冷静になって観察してみると、思ったよりも強そうにはみえない。ゴキブリのように叩いたら死にそうだ。やってみるか。「えいやっ」ってなもんで、サンダルで叩いたらあっけなく死んでしまった。

ゴキブリが這いまわるイメージ(*イラスト:キラーT細胞さん)

(*イラスト:キラーT細胞さん 【イラストAC】

見た目とは違って意外と弱かったりして・・・。でも、毒を持ったサソリやら、得体のしれない大きなクモが出るなら、害のないゴキブリがカサカサ這いまわっているほうが何倍もいい。旅に出ると心からそう思ってしまう。

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砂丘の町イカを後にすると、少し南下してナスカへ。ナスカといえば地上絵。一体誰が作ったのか。どうやって描いたのか。何のために描いたのか。七不思議的な感じで、とても魅力がある。

とはいえ、地面に描かれた地上絵は、地面に立って見ても単なる線でしかない。絵としてみるのなら、高い場所から見るしかない。

ペルー ナスカの地上絵 セスナ機の中の写真
セスナ機の中

で、ここではセスナ(小型飛行機)での空中遊覧が人気となっている。小型機か・・・。乗るのは初めて。小型機に乗れるなんてワクワクする・・・なんていう人もいるが、私はその逆。墜落したりしないだろうか・・・。酔いそう・・・。と、あまり気乗りがしない。

でも、地上絵を見るにはこれに乗るしか手段がない。地上絵のためだ。少しの我慢だ。と、不安になりながらも欧米人の観光客と乗り込んだ。

ペルー ナスカの地上絵の写真
ナスカの地上絵

ジェット機のような安定感はなく、小型のプロペラ機はフラフラと揺れながら大空へ飛び立った。飛び立ってしまえば安定する。そんな期待があったが、飛び立ってもよく揺れる。何て乗り心地が悪いのだろう。セスナ機は・・・。

そんなことを思っていると、地上絵が見えてきた。あっ、地上絵だ。本当に地上に絵がある。あっ、あの鳥みたいなやつは見たことがある。などと余裕があったのは最初だけ。地上絵のあるエリアをぐるぐると小型機が周回するので、上下左右によく揺れる。

うっ、気持ち悪い・・・。乗客が一人、また一人と嘔吐していく。それを見ていると更に気分が悪くなる。うっ、私も吐きそう・・・。だから嫌だったんだ。小型機に乗るのは・・・。

ペルー ナスカの地上絵の写真
ナスカの地上絵

気持ち悪いが、せっかくナスカに来たんだ。それなりの値段を払って飛行機に乗ったんだし、見なきゃ損。と、根っからの貧乏性らしく根性をみせるが、我慢していても気持ち悪いのが治るわけがない。

そのうち気持悪くなり過ぎて、地上絵を見ているどころではなくなった。というより、乗客はもう誰も地上絵を見ていなかった。

私が吐くと、乗客全員が吐いたことになる。それでは乗客側の敗北となってしまう。意味の分からない使命感で我慢していたが、そろそろ限界。さっきから食道あたりにこみあげてくるものがある。

嘔吐するイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

ギブアップと口々に叫けぶと、「わかった」と操縦士は頷き、空港に引き返してくれた。飛行機が無事に着陸したときの感動ときたら、最初の地上絵を見たときと同等か、それ以上だった・・・。

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飛行機を降りると、平衡感覚がおかしくなっているようで、真っすぐ歩けない。それは私だけではなく、他の乗客も一緒。一番乗り物酔いが酷かった人は、他の人にすがらないと歩けない状態だった。

それとは別で、昨日から少し熱っぽかったのが酷くなった感じがする。頭がフラフラとした感じがして、少ししんどい。カフェに入って少し休もう・・・。

少し頭痛がするイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

しばらく休むものの、あまり回復しない。でも、気力は充実しているし、具合が悪くてどうにもならないというほどでもない。旅ではこの程度の体調不良はよくあること。普通に過ごしていたら、そのうちよくなるだろう。

ちょっと体調が心配ではあったが、時間ももったいないので、予定通りにその日の夜行バスでマチュピチュの玄関口になるクスコへ向かうことにした。

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