旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編 2004年(3/7)

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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3、旅人の就職活動(2004年5月~6月)

メキシコ旅行の写真 メキシコシティーの中央広場(ソカロ)
メキシコシティーの中央広場(ソカロ)

家庭の事情、仕事の環境、その他もろもろあり、30を間近にして仕事をやめ、メキシコを中心に3か月ほど南米地域をふらふらと、いや、精力的に旅をしてきた。

旅をしているときは楽しく、人生が充実しているように思えるのだが、問題はその楽しい時間が終わった後になる。

帰国後には新たな仕事場で・・・といった確約もなく旅に出たので、当然というか、日本に戻ると無職の風来坊。午前0時を刻んだ後のシンデレラといった状態だった。

シンデレラのイメージ(*イラスト:ニッキーさん)

(*イラスト:ニッキーさん)

旅のように行き当たりばったりな生き方をしていてはいかんな・・・と思うのだが、こういった性格をしているのでしょうがない。

でもまあ、旅では行き当たりばったりでも、臆することなく進んでいけばなんとかなるもの。時にはトラブルに巻き込まれることもあるが、親切な人や通りすがりの人に助けられて最終的には何とかなっている。

人生だってきっと同じこと。日本の常識ではありえないような窮地を幾度となく乗り越えてきた私には、純度の高い人生経験があるので、きっと何とかなるはず。

だいたい人生なんてなるようにしかならないのだから、あまり先のことばかり考えたり、難しく考えてもしょうがない。それが人生を楽しむコツというものではないか。・・・などと強がりながら、ぼちぼちと就職活動を始めた。

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何年か前にはユーラシア大陸を横断したし、学生時代には飛行機で地球一周もしている。今回はメキシコや南米を回ってきた。

哲学者のアウグスティヌスの言葉に 「世界は一冊の本にして、旅せざる人々は本を一頁しか読まざるなり」とある。偉大な哲学者の言葉通りなら、世界を旅してきた私は見聞が広く、分厚い辞典に負けないほど知識人であり、地球規模で物事を考えられる視野の広い人間となる。

辞書のイメージ(*イラスト:実鈴さん)

(*イラスト:実鈴さん)

うすうす感づいていたが、私はかなりの大物で、誰もが欲するような人材ってやつではないだろうか。そうだ。そうに違いない。

自信満々にハローワークで紹介された会社の面接を受けるものの、学生の就職活動ならいざ知らず、いい歳した人間が旅の何たるや、旅で得られる経験の素晴らしさを一生懸命話しても、面接官にいい印象を与えるはずがない。

そもそもとして、ハローワークに求人を出す会社が世界を知るような大物の人材を求めていない。浮ついた感じで世界を語る人間よりも、堅気に仕事を積み重ねてきて、それなりに実務スキルを持った人間を欲している。そう、訪れた国の数よりも、持っている資格の数の方が重要なのだ。

履歴書を送っても面接にこぎつけるのも大変であるが、面接を受けてもなかなかいい反応をしてもらえなかった。

就職活動のイメージ(*イラスト:まぽさん)

(*イラスト:まぽさん)

なかなかいい仕事が見つからないものだ・・・。日本の村社会的な考え方はグローバルな私とは相性が悪い。日本は俺には狭すぎるんだ・・・。と、なるべく自己肯定的に考えるようにしていても、就職が決まらないという現実は変わらない。「郷に入っては郷に従え」とあるように自分が変わるしかない。

結局のところ、あちこち旅をして見聞を広めても、就職にはほぼ役に立たない。そんな当たり前のことにようやく気が付いた・・・と書きたいところだが、それはもうとっくに大学時代の就職活動で学んでいた。

よく「若いうちに旅に出ろ」などという言葉を聞くと思う。若いうちに違った文化や考え方に触れるということも大事だが、自分の知らない土地で自分の目で見て、自分の頭で判断して行動することが、人生においていい修練となる。それは多くの人が認めることである。

なので、そういったことを含め、海外を一人で旅する行動力や積極性をアピールすれば、相手にいい印象を与えそうなものであるが、それは世間話とか、コンパや趣味のサークル、町内会の会合などといった場所での話で、就職の面接においてはあまり当てはまらない。何か実績がないと、ただ旅が好きな人間となってしまうだけなのだ。

国際交流のイメージ(*イラスト:hozuさん)

(*イラスト:hozuさん)

大卒の就職活動では、海外一人旅はサークル活動と同じ扱いとなり、しっかりとした学校の成績や国際交流などといった目に見える実績の方が大事になる。

社会人ともなるとさらに厳しくなり、ただ漠然と海外の文化に明るいとか、視野が広いというだけでは、「あっ、そうですか」と門前払いされる。

海外を旅した経験をどう仕事に生かせるかといった視点が重要になり、少なくとも英語がペラペラにしゃべれるとか、英検やTOEICなどの資格を持っていないと、その話に真実性がなくなるので、なかなか苦しい。

英語のイメージ(*イラスト:くらうど職人さん)

(*イラスト:くらうど職人さん)

もちろん旅してきたことが無駄とか、全く役に立たないわけではない。明らかに普通の人とは違う経験をしてきたので、いわゆる強烈な個性がある人間となり、同じレベルで迷った場合、旅好きなあいつにしておこう。知識豊富で話が面白そうだし・・・。ってなことになりやすかったりする。

また、職種によっては外国人の労働者が多いとか、客に外国人が多い場合、外国人に慣れているからと重宝されることもあったりする。

とはいえこれは印象の話なので、面接官や会社の社風にあっていた時の話になる。そうでないと、ひどく減点されかねないので、諸刃の剣というのが実際のところだ。ほんと、旅の評価、いわゆる旅人の通信簿というのは難しい。

4、世界遺産の屋久島へ行ってみるか(2004年6月)

履歴書のイメージ(*イラスト:身爪さん)

(*イラスト:身爪さん)

心が折れつつもめげずに活動を続けていると、ようやく「君面白いね。変わった経験をしている。ぜひうちで働いて欲しい。」と、私の経歴に興味を持った面接官が現れ、無事にそこに就職が決まった。

キリがいいところで7月頭から来てくれということなので、もう少し時間がある。ダラダラしていてもしょうがない。かといって、こういった空き時間を有効に利用し、将来役に立つかもしれない資格を取得して・・・というような計画性のある人間ではない。

そもそもとして、時間ができると「どこへ行こうかな・・・」と、まず旅のことが頭に浮かんでしまうのが、生粋の旅人ってなもの。

またしても人生に後悔を残しそうな展開になりそうだが、じゃあ、まあ、旅人らしく旅に出るか・・・と、バイクに乗って旅に出ることにした。

ガイドブックのイメージ(*イラスト:ふじ丸さん)

(*イラスト:ふじ丸さん)

とはいっても、メキシコへ行ってきたばかりでお金があまりない。それに海外から帰ってきたばかりなので、日本のありふれた観光地をのんびりと周るような気分ではない。

地方に暮らしている友人の家にでも遊びに行くか・・・。あっ、そういえば今回のメキシコ旅行で知り合った旅人が岐阜に住んでいたな。もう帰国しているはず。いつでも遊びにおいでと言っていたから連絡してみよう。岐阜にはあまり行くことがないから、ちょっと面白そうだ。

その後どうしよう。琵琶湖一周・・・。う~ん、いまいち気分が乗らないな。北陸とか、丹後とか日本海に近い地域に行ってみるか・・・。いや、山陰で育ったので、今はあまり触手が動かない。

もっと西へ行くか。あっ、そうだ。この機会に前々から行ってみたかった屋久島へ行ってみよう。次まとまって時間がとれるのはいつになるかわからないし・・・。

日本最北端の地図(国土地理院地図)

国土地理院地図を書き込んで使用

屋久島は鹿児島の南に種子島と並ぶようにしてある島で、太古からの自然が豊かに残っていることで知られている。1993年にはその豊かな自然が評価され、姫路城などとともに世界遺産(自然遺産)に指定された。

世界遺産に指定されたとはいえ、地味な自然遺産の方だし、場所が場所だけに世間一般の人にはあまり馴染みのない島になるだろう、でも旅人の間ではけっこう評判になっている島になる。

というのも、ユーラシア大陸を横断する旅人は陸路や海路にこだわる人が多い。関西から船で上海に向かう人が多いが、中には陸路で鹿児島へ行き、船で屋久島を経由し、沖縄、台湾、香港と渡っていく人もいる。

そういった旅人が「島の雰囲気が良かった。」「のんびりできていい島だった。」「縄文杉の迫力と、自然の美しさが凄かった。」「日本の秘境って感じの場所なので、一度行ってみるといいよ。」と、屋久島の良さを口々に絶賛し、それが旅人の間で広まっていった。

話すイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん)

今回のメキシコ旅行の最中にも、「この前行ってきたけど屋久島は素敵だったよ。」と、勧めてくれる旅人がいた。

話を聞くと、どうやら近年の登山ブームの流れで、屋久島を訪れる観光客が爆発的に増えているとか。以前はすぐそばまで行けた縄文杉も、根が枯れるのを防ぐために傍へ行けなくなるなど、少し状況が変わってきているそうだ。

今後は人数制限が設けられたり、環境税とか、入山料が必要になったりと、訪れにくくなるかもしれない。それに屋久島のハイライトである悠久の時を過ごしてきた縄文杉が近い将来に枯れてしまうこともありえる・・・。富士山も観光客の増加で酷いことになったし・・・。やっぱりこの機会に行っておこう。

屋久島まで行くのなら、すぐ隣にはロケットの発射と火縄銃で有名な種子島がある。フェリーが出ているようなので、ついでに行ってみよう。

更には、鹿児島県の右側の半島、大隅半島の南端、佐多岬は日本本土の最南端になる。昨年は日本最高点の富士山、本州最北端の大間岬を訪れたので、ここを訪れると南端も制覇もできる。・・・と、旅の計画がどんどん膨らんでいく。

日本最北端の地図(国土地理院地図)

国土地理院地図を書き込んで使用

東京からだと、九州の最南端の鹿児島まではちょっと、いや、かなり遠い。でも、途中途中に泊まるあてがあるし、それ以外はテントを使えば宿泊費は手土産程度しかかからない。

高速を使わない予定なので、かかるのはガソリン代と船賃、後は自分の食費や温泉などのプラスアルファ。そこまで大きな負担にはならない。

問題は体力、気力となるが、旅となると疲れ知らずの体質をしているので、この部分は問題なし。ということで、岐阜の旅人、その他、友人、親戚などに連絡して、屋久島や日本本土最南端へ向けて旅立つことにした。

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