旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とワンコの日々
世田谷編 2005年(8/8)

世田谷(砧公園)での犬との生活をつづった写真日記です。

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11、自分の足跡(2005年11月8日)

「今日、暇していますか。休みなので、久しぶりに飲みに行っていいですか?」2年前に日本一高い富士山へ一緒に登り、日本本土最北端の下北半島大間岬までバイクで旅した後輩から連絡があった。

私の部屋には旅先で購入した小物が所狭しと飾られ、ガイドブックや旅のアルバムが本棚に並んでいる。旅に関するものが色々とそろっているうえに、来客に対してとびっきり愛想のいいワンコがいるので、彼は私の部屋で飲むのが好きだ。

部屋で缶ビールを飲む後輩の写真

彼が大学を卒業し、仕事を始めて約1年と半年になる。今日のように連絡がきて、たまに一緒に飲んだりしている。

最初の頃は、「研修でこんなことを習いました」「実際に店舗で接客をやることになりました」「無事に資格を取得できました」と、やりたかった旅行関係に就職できたので、仕事をやるのが楽しそうだった。

1年が経つと、仕事が板がついてきたようで、そうでもなさそう・・・。愚痴も多く出てくるようになり、どうもここのところは仕事への不満を言うことが多くなった。

缶ビールのイメージ(*イラスト:かえるWORKSさん)

(*イラスト:かえるWORKSさん)

「最近旅をしていますか。」と聞かれ、「いや、今年は友人とバイクのレース活動をしていて、それが忙しくてほとんど旅をしていない。」「そうそう、夏には実際にレースにも出場したんだぞ。見事にコケてしまったけど・・・。でも、レースはお金と時間がかかり過ぎるし、全日本選手権に参加できるような才能があるとも思えないし、旅に戻ることにした・・・。」ってな感じで答えた。

「えぇ~、バイクのレースに出場したんですか・・・。相変わらず自由に生きていますね・・・。うらやましい。あっ、よくコーナーを膝すって走ってるのを見ますが、あれって難しいのですか・・・」といった感じで話が進んでいき、「時間があるなら、今度一緒にツーリングに行きませんか?」という話になった。

後輩のバイクとの写真

どうやらなかなか休みが取れなく、休めても一日だけというのが多く、なかなか一人だと日帰りでバイクに乗ってどこかへ行くといった気力が湧いてこないそうだ。

社会人になってからバイクの稼働率が右肩下がり。少しはバイクに乗らなければ、バイクの持ち腐れになる。そうだ。こういう時に最適な人がいる。と私に声をかけてきたというのが、今回のいきさつのようだ。

悶々とした彼の様子から、以前訪れた日本本土最北端みたいな強烈に旅心をそそるような場所へ連れて行くことができれば、少しは気が晴れそうな感じがする。とはいえ、お互い社会人にもなるとそうそう長く休めない。お互いのスケジュールを合わせてみても、夏ならまだしも、晩秋では日帰りが精一杯。

日帰りで行くとしたらどこがいいだろう・・・と飲みながら考え、「じゃ、紅葉の時期だから、日光でも行こうか。世界遺産になってからは行っていないし・・・」と、彼と日光へツーリングに行くことにした。

日光東照宮の参道の写真
日光東照宮の参道

高速道路を使わないのが、生粋の旅人というもの。都内を横切り、国道4号線を北上していき、宇都宮からは日光街道へ。

趣きのある杉並木を通り抜けると、まずは世界遺産の日光東照宮へ。紅葉の時期だけあって人が多い。さてどうするか。来てはみたものの、お互い、何年も前だが一度訪れている。高い入場料を払って中に入ることもないか・・・。その分、昼食代に回した方がいい。と、参道付近を散策するだけにした。

あちこち訪れている旅人は、観光客のような「せっかく来たのだから・・・」という感覚はあまりない。金額に見合えば中に入ろうかといったシビアな感覚をしていたりする。

明知平とロープウェイの写真
明知平とロープウェイ

東照宮からは色付く日光いろは坂を登っていき、明知平へ。駐車場の少し前から渋滞をしていたが、バイクだとこういう時は便利だ。

ここからロープウエイに乗り、3分ほどで到着する明智平展望台からは、中禅寺湖、華厳の滝、男体山が一望できる絶景が拝めるということで、乗り場には長い行列ができていた。

華厳の滝の写真
華厳の滝

明知平から更にいろは坂を登っていくと、中禅寺湖畔へでる。ここには日光の象徴ともいえる華厳の滝がある。何度見ても素晴らしいが、紅葉時分に訪れると、一段と美しい。

湯滝の写真
湯滝

中禅寺湖畔を進んで行き、戦場ヶ原へ。ここは広大な湿地帯となっている。さらに進むと湯滝があり、高さ70mの高さから落下する滝はなかなか迫力があった。

足尾銅山の写真
足尾銅山

その後は少し戻り、渡良瀬渓谷方面へ。そして足尾銅山に立ち寄った。

江戸の初めに採掘がはじまり、最盛期には年間1200トンもの銅を採掘していたというから、規模の大きな鉱山になる。実際、坑道の総延長は1,234キロメートルと、東京、博多間に匹敵するというからその規模が想像できると思う。

現在は閉山し、博物館として公開されている。ここは日本では珍しく、坑道をトロッコで見学できる。映画のインディジョーンズ的な気分を・・・と期待するとガッカリするが、少し冒険的な気分を味わうことができて面白い。

足尾銅山を見学した後は、帰路へ。家の近所で夕食を一緒に食べ、自宅に戻った。

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さて、ここからが本題。人間というのは饒舌になる場面がある。一番多いのが酒の席になるだろうか。アルコールが入ると気が大きくなり、できもしないことを語りだしたり、上から目線で批判ばかりしたり、あることないこと話しだしたりと、まあ色々ある。

饒舌なイメージ(*イラスト:サウナ猫さん)

(*イラスト:サウナ猫さん)

好きな異性の前で気を引こうと饒舌になったり、推理小説だと、トリックを成功させた犯人が饒舌になったり、尋問を受ける容疑者が誤魔化すために多弁になるというのもよくある。

そういった延長になるのか、旅の最中に饒舌になる人もいる。あまりの絶景に興奮状態となり、よくしゃべる人もいるし、旅の開放感が気持ちを高揚させ、よくしゃべる場合もある。

それとは違い、一人旅をしているときでも、知り合ったばかりの人と意気投合し、悩みを打ち明けて、気分がすっきりしたということもある。

話し合いのイメージ(*イラスト:きなこもちさん)

(*イラスト:きなこもちさん)

会ったばかりの人に人生相談をされても返答に困るのだが、訳アリで旅に出る人が多いのか、旅人の吹き溜まりのような宿に宿泊すると結構多い。さらに厄介なのが、バックパッカーの場合、普通の人生を歩んでいない人も多く、話を聞くだけで腰を抜かしそうになることもある。

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この日光へのツーリングの最中、旅の開放感が背中を後押ししたのか、後輩から、私のように仕事を辞め、大陸横断の旅に出ようかと真剣に考えている旨を打ち明けられた。

もちろん青天の霹靂(へきれき)というわけではない。前々から「そういった旅に憧れているんですよ。」「できれば生きているうちに一度は先輩のような旅をやってみたいんですよ。」というのは酒の席で聞いていた。

テロ事件のイメージ(*イラスト:カネコさん)

(*イラスト:カネコさん)

聞くと、昨年もテロが多かったが、今年も多い。4月には中国各地で反日デモが起きるし、7月にはロンドンで4件の爆弾テロが起き、エジプトでもリゾート観光客を狙った爆弾テロが起きている。

少し前の10月にはインドネシアのバリ島で、11月にはヨルダンでも爆弾テロが起きているので、本当に多いというか、海外を旅するのが怖くなるほどだ。

大地震のイメージ(*イラスト:十野七さん)

(*イラスト:十野七さん)

更には10月にはパキスタン北部で大地震が起き、隣国のインドと合わせて死者が7万人と推定されている。大きな災害が起きれば治安が悪くなり、旅がしにくくなる。

旅行会社に勤めているので、そういった国際情勢には敏感なようで、段々と旅がしにくい世の中になるのではないか。治安の良さ、国際秩序の安定があってこそ、国をまたいだ大陸横断旅行ができるというもの。今を逃したら、そういった旅は永遠にできなくなるのではないか。と、本気で懸念している。

もちろん、仕事に少々行き詰っているから、余計にそう感じてしまう部分もあるのだろう。

選択を迷うイメージ(*イラスト:中村かおりさん)

(*イラスト:中村かおりさん)

世界一周とか、ユーラシア大陸横断とか、規模の大きな旅をしようと思うと、それなりの時間と金銭が必要となるので、仕事をとるか、家庭をとるか、自分の信念をとるか、色々と天秤にかけて考えなければならない。何も失わず、全てを手に入れようというのは・・・、資産家などの特殊な人でない限り、無理というものだ。

一番の問題となるのが、現在の立場や仕事、人間関係といったこと。それをを捨てる覚悟があるのか、ないのか。休職等、保留にするという手もあるが、そうそう簡単にできるものでもないし、戻ってみたら話が違うということもある。

例えば浦島太郎の話のように、自分は旅に出た1週間後ぐらいに戻った感覚でも、いないことが当たり前となっている人たちにとってはもう過去の人。友情も、愛情も、信頼関係も冷め、1年の旅なのに10年後に戻ったような違和感を感じることもある。

浦島太郎のイメージ(*イラスト:アシタカさん)

(*イラストアシタカさん)

だから旅することと現在の立場を天秤にかけ、よく考えなければならない。もし今の立場を捨てることに未練が大きい場合は、悩んで悩み、更に悩んでと、相当に悩むことになる。

この悩みの厄介なところは、いくら悩んだとしても結論が出ないこと。実際にその選択をし、生きてみないと結果なんてわからない。なので、考えれば考えるほど堂々巡りをしてしまう。

私自身も旅に出るときに悩んだ。悩んだからこそ、こういった相談を受けるのが嫌だ。普通のことなら「何事もやってみないとわからない」「人生は挑戦だ」などと答えるのだが、ある意味究極の選択をしなければならない長旅の場合、人の人生を大きく狂わしてしまいかねない。

もしインターネットで見も知らない人からの相談なら、どの程度本気なのかもわからないし、どの程度参考にするのかもわからない。無難な感じに、「現状を捨てる覚悟があるのならやってみるのもいいかと思います。若者が歩けば必ず道ができるものです。心配ばかりしても前に進めません。若いうちは思い切って挑戦することも大事です。」などと答えている。

もう決意が決まっている場合は楽だ。「頑張ってください。旅ではどんどん新しいことに挑戦してください。」と、そのまま背中を押すだけでいい。

背中を押すイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん)

でも、後輩の場合はちょっと違う。部屋に置いているアルバムや旅の話で、私の歩んだ旅の足跡を知り、そして旅を終えた後の現状も知っている。そのうえで迷いながら相談してきている。

私の足跡をなぞろうとする後輩に対して、なんてアドバイスをすればいいのだろう。もし私が世間でいう成功者なら、「俺みたいに頑張れば未来は明るい。」「俺の旅をよく研究して、いい部分だけ取り入れろ。」などと言うことができる。

しかし現状では成功者ではない。旅をしたことで価値のある経験をしたと思っているが、目に見える効果を発揮しているとは言えない。

かといって失敗者かというと・・・、それも違うとは思う。思うのだが・・・、現実は人から、特に親戚からだけど、旅に出ず働き続けていたほうがよかったのでは・・・と言われることも多い。

そんな状態なので、私と同じ道を歩くことに対して、うれしいような、困るような、背中を押したいような、やめておけ!と引き留めたいような、様々な感情が頭の中に流れてきて、言葉に困る。そして言葉が慎重になる。

結局、無難な感じで、私がユーラシア大陸を決断したときに会社の上司に言われた言葉に少し自分の意見を付け加えて話した。

現実逃避のイメージ(*イラスト:イグサさん)

(*イラスト:イグサさん)

「自分を大切にしなさい。いい加減な気持ちでその選択を選ぶことはしないように。君が旅している間も世の中は動いているのだから、普通に考えれば他の人と差が広がってしまうことになる。現実からは逃げられないし、中途半端なことをしたら、後で困るのは自分なんだよ。だからその選択を選ぶのなら、がむしゃらになって本気で旅をする覚悟を持ちなさい。もちろん、その時は背中を後押しするから。」

12、砧公園の紅葉(2005年12月上旬)

12月、師走のイメージ(*イラスト:えだまめさん)

(*イラスト:えだまめさん)

あっという間に12月。振り返ってみれば、今年はバイクレースで忙しかった年だった。あとは父親が手術をしたというのも大変だった。旅の方は・・・、例年に比べると平凡な感じだったけど、まあ充実した一年だったように思う。

と、一年を振り返っていると、大事なことに気が付いた。そういえば・・・、今年はほとんど犬の写真を撮っていない。チャーミーの写真もずっと撮っていない気がする・・・。

すっかりその存在を忘れていた・・・。ってなことはないが、あまり構ってあげられなかったのは確かだ。これはよくない。フィルムも少し残っていたはず・・・。と、久しぶりにフィルムのカメラを携え、チャーミーと葉が色付き始めた砧公園を訪れてみた。

砧公園の紅葉 ビアデッドコリーの写真
砧公園の紅葉 ビアデッドコリーの写真

家にデジカメがあるので、デジカメで撮ればフィルムの現像代がかからない。とはいっても、犬は見た目の変化がほとんどないし、犬を飼っていること自体が日常生活の一部のようなものだし・・・と、やっぱり何か理由やキッカケがなければ、わざわざカメラを持ち出してまで犬の写真は撮らないものだ。

実際、我が家の父親は、デジカメを買ってはみたものの、最初だけ物珍しさがあって使っていたが、今ではわざわざ撮るものがないとほったらかし状態。まあ、普通はそんなものだ。

13、バイクとワンコ(2005年12月25日)

ブラックバードとビアデッドコリーの写真

今年の元旦は珍しく東京で雪が積もってしまい、友人たちとバイクで初日の出を見に行く予定だったのが、中止となってしまった。

来年こそはまぶしい初日の出を見るぞ!と、来年の元旦も友人たちと初日の出を見に行く予定にしていた。

ということで、今日は寒い中ではあったが、張り切ってバイクを洗車しておいた。そしてピカピカになったバイクと一緒にチャーミーも記念撮影。

バイクに乗るワンコのイメージ(*イラスト:いらすとるーむさん)

(*イラスト:いらすとるーむさん)

犬をタンデムシートに載せて一緒にツーリング出来たら楽しいかも。そんな様子を想像してみるとちょっと楽しい。

現実的にはバイクで一緒に旅をするというのは難しいけど、車で一緒に日本一周の旅みたいなことだったら可能なはず。普通の旅とは違った旅の様子になり、面白いかもしれない。

夫婦岩とビアデッドコリーの写真
伊勢の夫婦岩にて

と書きながら、実はチャーミーは帰省を兼ねて広島まで2度、親戚のいる長野まで車で旅をしていたりする。

東京から広島へ向かう途中で、伊勢とか、京都とか、四国とかに寄っていくのだが、この時代はペットと泊まれる宿はなかったので、犬だけホテルの駐車場で車中泊・・・。

私もバイクにテントを積み、道の駅などで野宿をしながら旅をしていたりするので、飼い主に似てちょっとワイルドな旅ワンコでもあったりする。

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