旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編 2006年Page6

世田谷(砧公園)での犬との生活をつづった写真日記です。

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11、大山登山(2006年4月18日)

ガソリンスタンドのイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 【イラストAC】

今年に入ってからガソリンが少しずつ上昇している。もっと言えば、2年ぐらい前からガソリンの値段がじわじわと上昇している。

以前だと、中東の政情不安などで一時的に値上がっても、何か月かすれば元の値段に戻っていたのだが、2年前からは3歩進んで2歩下がるといった感じで、緩い右肩上がりになっている。それが今年に入ってからは3歩進んで1歩しか下がらないといった感じで、少し角度がきつくなった。

微妙に高く感じると、バイクに乗って遠出をする気持ちにも影響し、今年に入ってからあまりバイクに乗って出かけていない。

ガソリンを入れるイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 【イラストAC】

と、大袈裟に書いてみたが、実際はそんに深刻になるほど値上がってはいない。冷静に計算してみれば、1リットルあたり110円と120円では、20リットル入れても200円の差。通勤に使っているのならともかく、日帰りツーリングだと缶ジュース1本か2本分ぐらいの差でしかない。

ガソリンの高騰というよりも、ここのところ色々と出費がかさんでしまい、ちょっと懐事情が寂しいというのが一番の要因で、節約のためバイクで出かけるのを躊躇してしまっている。というのが、実際のところだ。

メタボなイメージ(*イラスト:カフェラテさん)

(*イラスト:カフェラテさん 【イラストAC】

その弊害となるだろうか。あまり活動的に過ごしていないせいか、最近ではお腹周りがぶよぶよとダボつき気味。こりゃまずいな。犬との散歩量を増やす程度では解消されなさそう・・・。

そうだ。登山でもしよう。登山なら、ガソリン代もそんなにかからないし、お腹周りの脂肪も減らせるかもしれない。

今年の元旦は久能山東照宮の千段もの階段を登り、しっかりと筋肉痛になったが、程よい達成感を得られた。家に帰ってから気兼ねなく飲むビールもうまかった。

しっかりと動いて飲む分には、健康にも悪くないはず。ちゃんとした山に登れば、1週間ぐらいは罪悪感を感じずに酒を飲むことができるだろう。よしっ、決まりだ。気合を入れて山に登ろう。と、不純な動機で登山を行うことにした。

山岳信仰のイメージ(*イラスト:あっきーさん)

(*イラスト:あっきーさん 【イラストAC】

さて、どの山に登ろう・・・。私は雄大な大自然より、人の手が入った美しい里山の方が好みだ。なので、山でも人があまり訪れない自然豊かな山よりも、古くから信仰の山と崇められ、多くの人が登っている山の方が好きだったりする。

世界各地を旅しているので、ありきたりの場所ではなく、人の足跡が少ない場所の方が好みに合っていると思われがちだが、それはちょっと違う。

私は冒険者ではなく、旅人。人のいる場所や文化を感じられる場所を渡り歩くのが、真の旅人ってやつだと思っている。まあこのへんの感覚とか、理想の旅人像は人それぞれになるので、異論もあるとは思うが、こういったこだわりや信念は大事だと思っている。

地理院の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

で、なるべく近場で、古くからの信仰の山は・・・と探してみると、厚木の先にある伊勢原市の大山がヒットした。古くから雨乞いで有名な山になり、東京から盛んに大山詣が行われていたようだ。

そういえば・・・、普段よく使っている国道246号も、大山街道ってな名がついていたな。何やら地元にも所縁がありそうだし、この山にしよう。

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突然、ここで話が大きく脱線してしまうが、西日本から東日本へ引越しをした人で、方言で苦労したという人は多いと思う。私も西日本で育ち、転校という形で東日本にやって来たのだが、話し言葉では結構苦労した。

会話で困るイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

方言のきつい地域で育ったので、「えっ、今何て言った?」と通じなかったり、「なんとなく意味は分かるけど、それって〇〇の意味だよね?」と、問い返されることがよくあった。

こういう地域独特の言葉は「それって方言なんだ。面白いね。」と興味を持たれたり、そこから話が広がったりするのでいいのだが、問題は普通の言い回しやイントネーションになる。

例えば、「だから言ったでしょ。」といったようなフレーズは、友人との会話、親との会話でよく使う言葉だと思う。これが西日本だと、「だけん言ったでしょ。」、広島だと、「じゃけん言ったでしょ。」と、「から」が「けん」に変わる。

同じように「ちゃんと渡したからね。」は、「ちゃんと渡したけんね。」となる。この日々当たり前に使っていた言い回しが使えない・・・というか、使うと面白がられるのは、結構しんどい。変にからかわれると、しゃべれなくなってしまうものだ。

落ち込むイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

からかわれると嫌な気持ちになるので、しゃべるときには細心の注意を払い、かなり頑張って直した。英語などの外国語でもそうだが、人間、切羽詰まった状況とか、使わざる得ない状況になると、思っている以上に言葉というのは早く覚えられたりする。

3カ月もすると、こういった方言はほとんどでなくなったので、一安心した。とはいえ、子供にとって、本当に転校は辛い。育った環境や友人から別れなければならないうえに、言葉や習慣の違う場所に放り込まれる。

かつて日本人は国際社会で批判的にエコノミックアニマル(利潤追求を第一義として活動する人間)と呼ばれていた。仕方のない転勤は確かにあるが、家庭を持った社員にしなくてもいい転勤までさせる部分は、まさにエコノミックアニマルと呼ぶにふさわしい。

ブラック企業のイメージ(*イラスト:丑蟻さん)

(*イラスト:丑蟻さん 【イラストAC】

企業も子供を転校させるような無責任で理不尽な人事異動をしないでほしい。日本人は思いやりとか、他人への配慮が欠けているとよく言われるが、本当にそう思う。

受験生の大変な時にしたくもない転校させられ、犬を里親に出さなければならなかった恨みつらみから話が長くなってしまったが、話はそういうことではない。大山登山の話だ。

地名で「大山」とあると、東日本だと「おおやま」、西日本だと「だいせん」と瞬時に読んでしまう人が多い。

山のイメージ(*イラスト:コタローさん)

(*イラスト:コタローさん 【イラストAC】

関東では、この雨乞いの大山、そして苗字でも「おおやま」と読むことが多いので、「おおやま」というのが一般的だ。

西日本、特に中国地方では、鳥取県の西部に大山(伯耆大山)があり、この山は中国地方で一番標高が高く、何かとニュースの話題に上ることも多く、中国地方の人は「大山」と見ると、まず「だいせん」と読んでしまう。

今回の登山でも、一人で登るのも寂しいな・・・。元旦の久能山東照宮・意地の張り合い登山レースで引き分けた友人を誘ってみるか・・・と、電話したところ、「だいせん?どこにあるの?」と言われ、「伊勢原の・・・、雨乞いが有名なやつ・・・」と答えると、「それ、おおやまじゃねっ」と、友人に正され、この山が「おおやま」という名だと知った。

神奈川出身の友人は、学校の遠足とかで何度か登ったことがあるし、バイクの修理をしたいから・・・と、断られてしまった。

スポーツランドやまなし 2006年第一戦 レース前の写真
レース前のパドックで

そのバイク修理というのは、2週間ほど前、昨年一緒に参加したスポーツランドやまなしの開幕戦があり、友人は今年こそはと冬の間に猛特訓し、後輩Kとレースに出場した。

その日はあいにくの雨。最初のうちは慎重に走っていたものの、完走まで残り10分というところで、まだまだいける。もしかして俺、雨得意なんじゃないと勘違いし、大クラッシュ。そのままリタイヤとなってしまったそうだ。

友人には大した怪我はなかったものの、バイクの方はハンドルが曲がり、ブレーキなどのレバーが折れ、カウルはベキベキに割れ、クランクケースにもヒビが入ってしまうほどの重傷。多分フレームは大丈夫だと思うから、次のレースに向けて直せる箇所からボチボチと修復をしていきたいとのことだった。

スポーツランドやまなし 2006年第一戦 転倒の写真
レース後のパドックで

ちょっと目を離すとこれだから・・・。やっぱり昨年のようにチームの引き締め役として私が行かないとダメかな・・・。と思いきや、「これ、コケたときの写真」とメールで送られてきたのが、いかにもコケましたといった演技たっぷりの写真。もうすっかり転倒慣れしているし・・・。

走り屋の間では、転倒すればするほど速くなると言われている。都市伝説かもしれないが、人生も七転び八起きというし、いらぬ心配ってやつだな。

大山の登山道 仏像や石碑のある登山道の写真
仏像や石碑のある登山道

登山の方は、愛車のバイクで大山の門前町まで行った。そして駐車場から土産物屋や飲食店が並ぶコマ参道を登っていき、ケーブルカーの駅を横目に大山寺、大山阿夫利神社への登山道を登っていった。

信仰の山らしく、石段で整備された登山道の脇には石碑や仏像が置かれていて、なかなか情緒があっていい。こういう雰囲気の中を登っていくと、疲れも感じない・・・わけはないが、幾分、気がまぎれる。

大山の登山道 阿夫利神社の石碑の写真
阿夫利神社の石碑

大山寺を過ぎ、大山阿夫利神社に到着。ここまではケーブルカーでも来ることができるので、山の上にお寺とはいえ、近代的な感じで整備されている。

ここまでも歩いて登るとそこそこきついが、ここからが本番。山頂へ向けての本格的な登山になる。

大山の山頂の写真
大山の山頂

汗を滴らせながら山道をひたすら登っていくと、山頂に到着。大山阿夫利神社の本社はここになるようで、神社関係の建物が幾つかあった。その他にも放送の基地局もあって、意外と賑やかな感じの山頂となっていた。

標高1,252mの山頂からの眺めはまずまず。ちょっと霞んでいたのが残念だが、苦労して登ってきたことが神聖化するといった感じで、なかなか気分がいい。

山頂からの眺めを飽きるまで堪能した後は、一気に下山。今回の登山での一番の懸念が、ちゃんとバイクに乗って帰れるかということ。

足が筋肉痛のイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

足が痛くて、運転がままならないのでは・・・。途中で足をくじくなどして、バイクに乗れる状態ではないかも・・・。下手したら、レースで転倒した友人に続き、私も・・・ってことになってしまうかも。

色々と不安に感じていたが、乗って走り出してしまえば、特に問題はなかった。ただ、信号待ちが頻繁にあると、その都度重い車体を足で支えないといけないので少し辛い。

でもまあ、これぐらいは許容範囲内。この程度の登山をしてもそんなに問題にはならないんだな。健康のためにも、もっと登山にバイクを活用してみようかな・・・と、人生初の登山ツーリングを終えて思うのだった。

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