旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
#1-1 ワンコを飼いたい!

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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1、ワンコを飼いたい!

柔道のイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん)

時は昭和59年。西暦だと1984年。夏にはアメリカでロサンゼルスオリンピックが行われ、日本の国技である柔道では、無差別級の山下が怪我をしながらも執念で金メダルを獲得し、日本中が感動に湧きあがった。

その感動の余韻は、日本の遥か南にあるオーストラリアから初来日した愛くるしいコアラによってかき消され、学校の話題はあっという間に新たなアイドルで持ちきりとなった。

世間がコアラブームに沸いている10月、我が家に念願の子犬がやってきた。私が小学4年生の時のことである。

コアラの写真
コアラ

(*写真:ぴぴっさん 写真AC)

犬が好きだったので、数年前から犬を飼いたいと親に提案し、七夕の短冊やサンタさんへの願いにも書いて、親にアピールしていた。

しかし、「妹がまだ小さいからまだ駄目。小学生になってから。」と親に拒み続けられていた。

今思えば私も十分子供だったので、妹がというよりも、二人共ということだったのだろう。それとともに、飽きっぽい性格をしている私の覚悟を試すという意味もあったのかもしれない。

小学一年生のイメージ(*イラスト:SUKEKKOさん)

(*イラスト:SUKEKKOさん)

今年の春にはその妹も小学生になった。何度も「まだ」と催促していると、夏休みが終わるころから犬を飼う準備をしようではないか・・・という話になり、どんな犬にしようかと話し合った。

実のところ、私が「犬、犬、犬」と言い続けていたので、私以上に親も犬を飼いたくなってしょうがなかったようである。

2、1980年代の小型犬ブーム

1984年の運動会の写真
1984年の運動会

1984年は、というよりこの頃は、日本経済がバブルに入る少し前になり、子供ながらに世の中が上向いていると感じていた。

ニュースや新聞では、景気がいいとか、企業の業績が好調といったような話題が度々流れていたが、小学生の私にはそういった難しいことは分からない。

それよりも、どこへ行っても子供の数が異様に多く、また日常にしても、イベントにしても、スーパーやデパートの特売にしても、人の集まる場所の活気が凄まじく、そういった様子を見ていると、世の中の至る所に上向きのパワーがみなぎっている感じがして、日本の全体が上昇気流に乗っているような感じがしていた。

上昇する紙飛行機のイメージ(*イラスト:amiyaoさん)

(*イラスト:amiyaoさん)

学校でも「頑張れば君たちの未来は明るい!」といったことをよく校長先生や担任の先生が言っていたので、自分自身、そして周りの友人たちの未来も無限に開けていると信じていた。

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また、ちょうどオリンピック年というのもあって、なんでもかんでも世界だ。インターナショナルだ。と、外国ネタに結びつけるような風潮があった。

とりわけヨーロッパやアメリカへの志向が強く、文化とかよく知らないけど、洋風のものを持っているのがツウとか、ナウいとか言われ、洋風の建売住宅に、外車、洋食、洋酒などなど、家電以外は洋風っぽいものがとにかく好まれていた。

マルチーズの写真
マルチーズ

(*写真:grace7777minoriさん 写真AC)

犬に関しても、愛玩犬として欧米の小型犬を飼うことがちょっとしたブームになっていた。

犬種でいえば白いマルチーズが不動の人気となっていて、それにポメラニアンとヨークシャー・テリアが続き、御三家と言われていた。この他にもシーズーやダックスフンドなどが当時の人気犬だった。

この「御三家」とか、「ツウ」、「ナウい」という言い方は、今の人には聞きなれない言い回しになるのだろうが、当時、とても流行っていた言い方になる。

子供ながらに大人の人がよくこの言葉を使っていたのを覚えているが、自分が大人になった時には全く使われなくなっていた。後から考えると、実にこの時代らしい言い回しだったと思う。

小型犬のイメージ(*イラスト:NINOさん)

(*イラスト:NINOさん)

話を戻すと、洋犬が空前の大ブームになったのは、その可愛らしい容姿が魅力的であったり、景気が上向き、経済的にも余裕ができてきたということもあったが、それよりも柴犬と比べて体の小さな小型犬を選べたことが大きかった。

これまでは番犬を兼ねて柴犬、ハスキーなどの日本犬を、庭や土間などで飼う人は多かったが、室内で犬をペットとして飼う人は少なかった。

小型犬の場合はサイズ的に室内で飼うことができるし、体が小さいので様々な面で飼いやすい。それに犬種の種類が豊富なので、大きさ、体形、毛色と、それぞれの好みや住宅環境に合わせて選ぶことができる。

例えば、子供の頃、田舎の庭の広い家で柴犬を飼っていた人が、都市部に就職し、小さな一戸建てを建て、念願のマイホームを持ったとする。

自分の家を持ったし、小さいころに犬を飼っていたので、ぜひ犬を飼いたい。でも、柴犬の大きさだと、庭に飼うスペースが必要だし、散歩などの世話が大変だし・・・と、飼うことをためらってしまう。

でも、小さな洋犬だったら室内で飼うことができるし、小さな子供との共存もしやすい・・・と飼い始めたのが、ブームのキッカケになった。

もちろん他の人が飼い始めたら自分も・・・とすぐに右に倣えをしてしまう日本人の気質も大いに影響していたと思う。

3、どのワンコにしよう!

図鑑を読むイメージト(*イラスト:つきゆめさん)

(*イラスト:つきゆめさん)

念願だった犬を飼うことの許しが出た。さて、どの種類にしよう。早速、親に犬の図鑑を買ってもらい、自分なりに候補を調べ始めた。

今までは白いマルチーズがいいな・・・と漠然と思っていたのだが、ページをめくっていくと、見たことのない犬がたくさん載っていて、「こんな犬もいるんだ・・・」と、新しい発見の連続。

解説文を読むと、犬の大きさや体格が様々であるように、犬の種類によって、吠えやすい、気難しい、人懐っこい、賢い・・・など、性格が異なっているようだ。

この中からどの犬と一緒に暮らすのが一番楽しいのだろう。これだけ多くの種類の中から一つに決めるのは至難の業。目移りしてくる。

セントバーナード(ハイジのヨーゼフ)のイメージト(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん)

よく見ていたアニメには、主人公を支えてくれる魅力的な大きな犬が登場する。パトラッシュやヨーゼフのような大型犬と一緒に暮らせたら楽しいかもしれない。

本の解説文に、「大きいが、ちゃんとしつければ飼いやすい」と書いてあると、もしかして我が家でも飼えるのでは・・・と、ちょっと期待してしまうのだが、親には小さな犬でないと飼えないと厳重に言われている。

警察犬の代名詞となっているシェパードも飼えないけど、とても賢そうなので、私が面倒な時に「あれを持ってきて!」と頼めば、ハイと持ってきてくれるかも・・・。そういった場面を想像したりすると、夢が広がって楽しい。

シベリアンハスキーのイメージト(*イラスト:senkyakunさん)

(*イラスト:senkyakunさん)

この時代ならではというなら、犬は番犬をしてなんぼという風潮があったので、番犬に向いた犬が好かれ、解説文にも番犬に向くとか、向かないと書かれていた。

狼のようなクールな顔立ちをしているシベリアンハスキーが人気になっていたのもこの時期で、本でも多くのページを割いて紹介されていた。が、さすがに我が家では飼えないし、迫力ある見た目からして飼育の難易度も高そうだ。

といった感じで、犬と暮らすイメージを色々と膨らませながら本を眺めていると、楽しくてあっという間に時間が過ぎていた。

色々な犬のイラスト(*イラスト:NINOさん)

(*イラスト:NINOさん)

寝る間も惜しんでといった感じで、自分なりに色々と考えた。私の好みに合うのは白い犬。白い犬といえば、この時代だとアニメの名犬ジョリィがすぐに思い浮かぶ。でもモデルとなっているのは超大型犬のピレニーズ。さすがにでかすぎるので、ちょっと、いや、全然無理。

で、小さいマルチーズがいい・・・と、今までは思っていたのだが、色々と調べていくと、ホワイトテリアという白い犬も気になってきた。

ホワイトテリアはイギリスのスコットランド地方由来のテリアで、マルチーズより少し大きい。初心者でも飼いやすいと紹介されていたが、注意書きで「ちょっと気難しいところがある」と、加えてあるのがちょっと気になる。

でも初心者でも飼いやすいのなら、そんなに気にするほどではないのだろう。飼うなら少しでもサイズが大きい方がいい。それにマルチーズみたいにあちこちで見かけるということもない。

ホワイトテリアのイメージ(*イラスト:はみぃすまいるさん)

(*イラスト:はみぃすまいるさん)

ということで、家族会議には「ホワイト・テリアがいい。それがダメならマルチーズ。」と、自分なりの意見を表明したのだが、親に「白い犬は面白味がない・・・」「汚れるとみすぼらしくなる・・・」「マルチーズはありきたりだから・・・」と、あっさり却下されてしまった。

一番世話をすることになる母親は、ヨークシャーテリアのような毛の長い犬がいいとのこと。父親は、オスだったらなんでもいいとのこと。妹は、なんでもいいけど、マルチーズよりもヨークシャーテリアの方が可愛いとのこと。

スポンサーや世話係の意見の重さ、そして民衆主義の象徴である多数決によって、最終的に迎える犬は、世間で人気急上昇中のヨークシャー・テリアのオスと決まった。

4、ワンコ、早く来い!

ヨークシャーテリアのイメージ(*イラスト:おりたさん)

(*イラスト:おりたさん)

ヨークシャーテリアは、イギリスのヨークシャー地方で作出された小型犬で、褐色の長い体毛が特徴になる。とても美しい外観から「動く宝石」と呼ばれているとか何とか。

私のホワイトテリアという希望は通らなかったが、本を見る限りではとても可愛らしい犬だ。同じテリア系だし、犬を飼えること、それ自体に満足していたので、ヨークシャテリアでも不満はなかった。それよりも飼うことが決まったのなら早く飼いたい。

気持ちは急くものの、肝心の犬がいなくては飼うことができない。世間ではペットブームだし、人気の犬種だし、希望の犬がすぐに見つかるとは限らない。

夏休みが終わると、父親の知り合いの、またその知り合いのブリーダーに、ヨークシャー・テリアが産まれたら声をかけてくれるように頼んで、連絡がくるのを待った。

後は運次第。こればかりはどうにもならない。今までずっと飼うのを我慢していたので、待つことはそんなに苦にはならないが、一度盛り上がったこの気持ちを何カ月も押さえておく自信はなかった。

生後2か月 ヨークシャーテリアの写真
我が家に来たばかりの頃(生後2カ月)

早く生まれないかな。早く犬が来ないかな。と待ち焦がれていると、意外と早く、10月に連絡があった。

そして、まずはお試し期間といった感じで、その犬を5日間ほど預かった。気に入ったら購入してくださいとのこと。

やって来た子犬はとても可愛かった。8月に産まれたということなので、まだ生後2カ月ほど。足取りにまだおぼつかなさが感じられたが、健康そうで、とても元気な子犬だった。

人にも慣れていて、一緒に暮らすのには何も問題がなさそうだ。というより、仮に少々問題があったとしても、一度一緒に過ごしてしまうと、「いらない」とはならない。そのまま迎えることになった。

プロローグ
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