旅人とわんこの日々 タイトル

プロローグ
#2-1 バブルと大きなワンコ

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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1、犬の流行の変化

都立砧公園の写真
都立砧公園

遺産が入り、田舎の家も売って・・・というのは他人にはどうでもいい話だが、両親はこのまま定年まで東京で働き、そのまま東京で暮らすという決断をしたので、世田谷にある都立砧公園近くに家を持つことにした。

公園の近くを選んだのは、書くまでもないが、環境の良さ。気軽に歩いて行ける所に、緑が多く、開放感のある憩いの場があれば、住宅が密集している東京であっても、生活の圧迫感が軽減されるように思える。

広大な敷地に多くの木々が植えられているので、公園周辺にもマイナスイオンが漂い、周辺の空気環境もよさそうに思えるが、これはちょっと疑問。

公園のすぐ横を東京の大動脈環状八号線と、日本の大動脈の東名高速が通っているうえに、高速のインターチェンジもあるので、公園周辺の交通量が半端ない。緑が多くても、空気の良さという部分には、あまり期待ができそうにない・・・。

環八と東名高速、右奥が砧公園の写真
環八と東名高速、右奥が砧公園

公園の近くを選んだ理由は他にもある。それは近くに大きな公園があると、犬を散歩させるのに都合がいいこと。

地方から東京に引っ越してくる際、止む無く飼っている犬を里親に出さなければならなかった。家を持つこの機に、不完全燃焼のまま終わってしまった「犬がいる日常」を再開させたいと、家族全員が熱望していた。なので、今回は犬を飼いやすい立地というのも重視した。

ということで、引っ越しを済ませた後、すぐに新たな犬を迎える準備を始めた。ヨークシャーテリアを里親に出してから3年7カ月ほど経った、1993年(平成5年)の秋の事になる。

ヨークシャーテリアのジョリーの写真
ヨークシャーテリアのジョリー

先代のヨークシャーテリアを飼い始めたのは1984年(昭和59年)。この頃は小型の洋犬が大ブームになっていた。その中でもマルチーズ、ポメラニアン、ヨークシャーテリアが人気の御三家になっていて、それに便乗するような感じでヨークシャーテリアを選んだ。

あれから9年。時代は平成に変わり、もう4年が経った。現在ではどんな犬が流行っているのだろう。最新の犬の本や雑誌を購入してみると、世間では大型犬がブームになっているようで、大型犬の飼い方、買いやすい大型犬の紹介など、大型犬の特集に多くのページが割かれていた。

大型犬の中でも特にゴールデン・レトリバー、そしてよく似たラブラドール・レトリバーの人気がずば抜けていて、その扱いが大きい。なんでも数年前から飼育登録数がうなぎ上りに増え、猫も杓子もといった状態になっているそうだ。

道理で、最近、町を歩いていると、ゴールデンレトリバーを連れて散歩している人を、よく見かけるわけだ。納得。

レトリバーのイメージ(*イラスト:ロキアコさん)

(*イラスト:ロキアコさん)

犬の名鑑みたいな本を読むと、紹介されている犬種が増えているのにも驚いた。そこまで犬に詳しいわけではないが、今まで見聞きしたことのない犬種が多く載っていて、まるで新しい家電や車がどんどん発売され、商品カタログがどんどん更新されているかのよう。

一段と国際化が進んだし、マイナーな国との国際交流も増え、今まで日の目に当たらなかった犬が、広く知られるようになったということなんだろうけど、技術革新が進み、目まぐるしく新製品がどんどん出てくる世の中にあって、犬の分野でも時代の進化を感じるというのは大袈裟な表現だが、時代の流れとともに犬もどんどん新型が登場するのだな・・・と素直に感心してしまった。

ミニチュアダックスフンドのイメージ(*イラスト:おりたさん)

(*イラスト:おりたさん)

更には、犬の小型化も進んでいるようで、ミニチュアダックスフンドとか、トイプードルなど、以前よりもサイズの小さいものがラインナップに加わっていた。

解説文には「改良を重ね小さくした」と書いてはあるが、どうやったら犬が一回りも小さくなってしまうのか、私の頭では理解に苦しむのだが、大型犬人気の裏でこういった小型犬も密かに人気となりつつあるようだ。

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その他で気になるのは、以前飼っていたヨークシャーテリア。どうしてもその解説に目がいってしまう。

ヨークシャーテリアのイメージ(*イラスト:おりたさん)

(*イラスト:おりたさん)

昭和には御三家と大きな扱いをされていたのだが、今では以前ほどの勢いはなくなってしまったようで、本の中では普通の人気犬として紹介されていた。大きな犬がブームとなっている現状では、超小型犬の影が薄くなってしまうのも、まあしょうがないといったところだろうか。

ただ、今年の6月に皇太子と結婚の儀を執り行った小和田雅子様の実家で飼っていたのが、ヨークシャーテリアだった。

雅子様や家族が散歩させている様子がワイドショーなどで流れたことから、今年になってから急に人気が沸騰している。

テレビを見ていると、コメンテーターがロイヤルとか、プリンセスにふさわしいみたいなコメントを連呼し、ヨークシャーテリア自体は何も変わっていないのに、なんだか犬の品格が上がったように感じてしまう。

私と同じように感じる人も多く、高貴な言葉の響きにあやかり、ヨークシャテリアを飼おうと思う人も増えているとか。おかげで、現在進行形で犬の価格が上がり、ペットショップでは売り切れも続出しているそうだ。

ショコラ、チョコレートのイメージ(*イラスト:くろみつさん)

(*イラスト:くろみつさん)

とはいえ、世間にインパクトがあったのは「ショコラ」という名前の方ではないだろうか。ショコラとはフランス語で、チョコレートや、チョコレート色のこと。私が小学生の時、ヨークシャーテリアの名前を決める際に茶色だからチャにしようと思い付いたのとは次元が違う。

さすがは国際感覚が優れ、しかもいい家柄の外交官。名前を付けるセンスも一般人とは格が違うな・・・と、ショコラの名を耳にして、多くの人が思ったに違いない。

2、バブルと大型犬ブーム

世の中の流行や価値観は目まぐるしく変わっていくもの。特にここ数年の世の中の動きは、激動の時代と言われる現代においても目まぐるしいものだった。

年号が昭和から平成になったことは大きな出来事で、新たな時代に多くの人が明るい夢や希望を抱いた。改めて振り返ってみても、時代の節目を目の当たりにできたことは、とても貴重な経験だったように思う。

平成の新元号発表のイメージ(*イラスト:TAKAPONさん)

(*イラスト:TAKAPONさん)

平成の改元以上に人々に大きな影響を与えたのが、平成から始まったバブル景気。急激な地価の高騰、株価の高騰により、日本経済が凄まじい好景気となり、札束が飛び交い、人々が狂喜乱舞した。

この頃の私はまだ中学、高校の学生だったので、日本の景気がいいというのはなんとなく理解できていても、いまいちそれがどういうことなのか、よく解っていなかった。

ただ、世の中がイケイケといった感じで明るく、パワーがみなぎっているというのは肌で感じていた。テレビを付けると、賑やかな番組が多く、その中でもジュリアナ東京でお姉さん方が刺激的な格好で踊っているのをうらやましく見ていたのが、今でも強く記憶に残っている・・・。

バブル期の狂喜乱舞のイメージ(*イラスト:ユウダイさん)

(*イラスト:ユウダイさん)

バブル期は、いや、バブル以前からそういった兆候はあったが、外国製のブランド品とか、外車とか、人よりも目立つものがとにかく好まれ、人々は競うように購入していた。

本当にそういったものがよく売れていて、個人では海外のブランド品、企業では海外の土地や企業を好んで買っていたのだが、海外にイナゴの様に押しかけて買っていく様子は、「買い漁る」といった表現が適切で、世界で日本人が不評を買っていた時代でもある。

ブランド品のイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん)

後年の話になるが、私が就職する時には、もうバブルが終わっていて、そういった夢のような出来事はすっかり過去の話となっていた。

私が入社した旅行会社の先輩が言うには、バブル期の新幹線は、グリーン車から席が埋まっていき、グリーン車の予約が取れなくて苦労したそうだ。

先輩は酒が入ると、遠い日の思い出といった感じで、「あの頃は儲かってしょうがなかった・・・。あの頃は楽だった・・・。」と、しみじみと口にしていた。そういったバブル時代の伝説は、色々な職種、小売や飲食店、観光地などで伝わっていることだろう。

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盛者必衰。栄枯盛衰。黄金の国ジパングともてはやされた日本経済であったが、2年前にバブルが弾けてしまった。もの凄く痛手を受けてしまった人も多いかと思うが、大半の人はそれなりにいい思いをした後なので、まあしょうがないかといった諦めも付きやすかったと思う。

学生という気楽な身としては、バブルの前と後でそんなに大きく世の中が変わったように見えなかったが、気になるのは就職内定率。景気後退で求人倍率が一気に下がり、就職氷河期の到来と言われている。自分が就職する時までに、景気が元に戻ってくれるといいのだが・・・。今はそれだけが心配。

大型犬を飼うイメージ(*イラスト:ファミリさん)

(*イラスト:ファミリさん)

さて、バブルの忘れ形見といった感じで、巷では見栄えのする大きな犬が流行している。バブル期を経験してみると、大型犬が流行っている状況というのは、「まあ、そうだよね」といった感じで、素直に納得できてしまう。

犬の場合は散歩という行為があるので、近所の人などに犬を見せる機会が多い。犬を連れて散歩させている時に、大きな犬は見映えがし、人に自慢ができる。珍しい犬を連れていれば、犬が集まる公園などで鼻が高い。そういった思惑が生じてしまうのはしょうがない。

特にバブル期は、多くの人が見栄や所有欲、ステータスといったことを大事にしていた。犬を飼うのにしてもブランド志向というか、せっかく飼うのなら、人よりも目立つものを、或いは高価なもの、大きなもの、希少なもの・・・となるのも、自然な流れになるだろう。そういったブランド感覚の延長で、バブル期から大型犬のブームが始まった。

高級ドイツ車のイメージ(*イラスト:メルさん)

(*イラスト:メルさん)

でも、ブランド品のバッグや高級車なら、いらなくなったら売るなり処分するなりすればいいのだが、生き物の場合はそうはいかない。

この時代に生きる人は、「頑張ればなんとかなる」といった楽観的な思考をしている人が多かった。おまけにバブルの影響で、「問題ないっしょ」というような、イケイケ的な考えをする人も多かった。

犬の飼育も、他の人が何とかなっているなら、我が家でも何とかなるだろう。流行しているから我が家でも飼おう。大きな犬なら見映えがする。何々さんのところよりも小さいと格好がつかない。といった感じで、犬の飼育の大変さは二の次で、見栄のために大きな犬、或いは珍しい犬を飼い始めた人も多い。そして飼ってはみたものの、飼育が想像以上に大変だったというのはよくある話。

投げ出したくても大きな犬は目立つので、いなくなったらすぐに近所に知られ、悪い評判が立ってしまう。見栄を張るどころか、陰口を言われ、惨めな思いをすることになる。見栄の代償は大きく、仮面夫婦ならず、仮面愛犬家ってな感じで、結構な苦労をしていた人も知っている。

大型犬と外車のイメージ(*イラスト:あきよしごろーさん)

(*イラスト:あきよしごろーさん)

私の中でこの大型犬ブームと被るのが、左ハンドルの外車のブーム。どう考えても日本の道路事情では乗りにくい左ハンドルの大きなドイツ車やアメリカ車が流行っていたのも、この時期になる。

この頃は外車=左ハンドルの時代で、左ハンドルである事がステータスになり、左ハンドル車が好まれた。まるで左ハンドル信仰というのだろうか。日本と同じ右ハンドルのイギリス車ですら輸出仕様の左ハンドル車が好まれるし、日本車でもわざわざ左ハンドルの逆輸入車が販売されていたほどである。

しかしながら、実際に乗ってみると、外観的には見栄は晴れるが、運転しにくいし、不便することも多い。実際のところ、右ハンドル車と運転視界が異なるので、どうしても車の挙動が他の車とは異なったものになり、他の車やバイクなどとの接触も多くなる。

それに、この頃の高速の料金所、駐車場の支払いなどは、左ハンドル用に対応していなかった。いい車に乗っていても、料金所でわざわざ降りて支払いをしなければならないなど、様々な場面で不便した。で、次回の買い替えでは、特に車が好きではない人は右ハンドルを選ぶ人が多かった。

料金所のイメージ(*イラスト:うた♪くまさん)

(*イラスト:うた♪くまさん)

とまあ、見栄を張って左ハンドルの外車や大きな犬を買ってみたものの、車の買い替え、犬の代替わりの時、もう左ハンドルは嫌だ。もう大きな犬は嫌だとなる運命は、まさに同じような境遇。

景気後退したのもあり、その後は身の丈や実用性で物を選ぶ人が増え、その後のチワワ、トイプードルといった小型犬ブームに繋がっていくのではないかと思う。

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