旅人とわんこの日々 タイトル

プロローグ
#2-3 ビアデッド・コリーの成長記1

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

広告

5、ビアデッド・コリー

家族会議のイメージ(*イラスト:ニッキーさん)

(*イラスト:ニッキーさん 【イラストAC】

4年前に里親に出したヨークシャーテリアの後釜として、新たに犬を迎えることにし、白熱した家族会議の末、その犬種はビアデッド・コリーと決まった。

ビアデッド・コリーの名を聞いて、すぐにその姿を思い浮かべられる人は、なかなかの犬の見識をお持ちの人だ。実物を見てもビアデッド・コリーと答えられる人はほとんどいない。

ビアデッド・コリーは、イギリスのスコットランド地方原産の牧牛犬、牧羊犬で、人間と長く暮らしてきた歴史ある犬種になる。略して、ビアディという愛称で呼ばれることもある。

ビアデッド・コリー、キャバリア、チワワの比較の写真
ビアデッド・コリー、キャバリア、チワワの比較

ビアデッド・コリーの名は、英語で「あご髭を生やしたコリー」という意味になり、口周りや下あごのひげが、一般の犬より長く伸びているのが特徴になる。

体高は53cm~56cm、体重は25キロ前後。大型犬の区分で紹介されることが多いが、メスは一回り小さく、オスは大型犬の最下部、メスは中型犬の最上部といった感じで、ちょうど大型犬と中型犬の境界になる。

コリーの名が付いている通り、分類上はコリー犬の一種となるが、ポリッシュ・ローランド・シープドッグとハイランド・コリーという犬種を掛け合わせて作出されているので、純粋なコリー犬種ではない。

むしろシープドッグの血統が強く入っているので、シープドッグと名付けたほうが分かりやすかったように思う。

ネパールで見かけたポリッシュ・ローランド・シープドッグ(たぶん・・・)の写真
ネパールで見かけたポリッシュ・ローランド・シープドッグ(たぶん・・・)

外観はオールド・イングリッシュ・シープドッグによく似ていて、地面まで伸びるほど長い体毛に全身が覆われている。

よくオールドと比較されるが、オールドよりもビアデッド・コリーの方が一回り小さく、被毛も若干密ではない分、飼いやすいとされている。

オールドの方が人気と知名度があり、体も大きいので、ビアデッドコリーはオールドの派生犬種と思われがちだが、ビアデッドと他の犬を交雑して誕生したのがオールドなので、ビアデッド・コリーの方が由緒があったりする。

ただ、第二次世界大戦のころには飼う人が少なくなり、一時期は絶滅寸前にまで頭数が減ったそうだ。そんな中、1人の熱心な愛犬家が保存に動き、現在、現存しているビアデッド・コリーのほとんどが、その時に利用した犬の子孫だと言われている。本当に危機一髪だったようだ。

オールド・イングリッシュ・シープドッグの写真
オールド・イングリッシュ・シープドッグ

(*写真:mrfiveさん 【写真AC】

性格の方は牧羊犬として飼われていた歴史が長いので、人との暮らしにもよく慣れていて、温厚で人懐っこく、また陽気で賢く、芸達者と言われている。

牧羊犬らしく行動が活発なので、運動量が多いのと、ちょっとやんちゃな面があることと、毛が長いことを除けば飼いやすい犬種と言えるが、逆にそれがこの犬の魅力でもあったりする。

大型犬に分類されているとはいえ、一人で抱えられない大きさではないし、愛嬌のある容姿。性格もいい。もっと人気の犬種になってもいい気もするのだが、この飼い始めたころから、現在までずっと珍しい犬種のまま。しかも年を追うごとにどんどんと数を減らしている。

ちなみに、ジャパンケンネルクラブの年間登録頭数では、1999年は223頭(57位)、2000年は218頭(59位)で、最近の2020年は68頭(72位)、2021年は40頭(84位)、2022年は26頭(89位)と、かなり希少種の部類になっている。

6、ワンコがやって来た!

飼う犬をビアデッド・コリーに決めたのだが、日本では飼育頭数が少ないので、すぐに見つかるかわからない。

あまりにも話がなければ、第二候補のゴールデン・レトリバーでもいいか・・・。ってな感じで探し始めたら、運良くというのか、運命なのか、すぐに話の引き合いがあった。

子犬が産まれた ビアデッド・コリーの写真
子犬が産まれた

*ブリーダーからもらった写真

しかもちょうど5匹産まれたばかりで、1匹は残したいから残りの4匹で選んでくれとのことだった。

まだ1件も引き合いが入っていないとのことで、4匹の中からオスもメスも選べたが、メスの方が幾分小ぶりで、性格も穏やかという話だったので、今回はメスを迎えることにした。

そしてブリーダーの話だと、黒と白の毛色で、子犬の時に白い割合が多いと、成犬になった時に派手な外観になりやすいとか。

それを考慮して、メスの中でも一番白い部分の割合が多い犬、上の写真では真ん中の上に写っている犬を選んだ。

子犬が家に来た ビアデッド・コリーの写真
子犬が家に来た

1993年11月13日

そして、11月中旬、我が家にビアデッド・コリーの子犬がやって来た。

親は何度かブリーダーのところへ足を運んでいたが、あいにくと私は受験生。そんな余裕はなかったので、会うのは今日が初めてだった。

どんな犬が来るのだろう。ブリーダーからもらった写真は穴が開くほど何度も見た。この犬が新しい家族になるんだ。今日来るんだと。

でも、今までビアデッド・コリーの実物を見たことがないので、どんな感じの犬なのか、どれくらいの大きさなのか、具体的なことをイメージすることができない。

一体どんな犬が来るのだろう・・・と想像がつかない分、やって来るまでの日々が楽しみでしょうがなかった。そして、初対面を果たした時の高揚感は半端なかった。

ビアデッド・コリーの子犬の写真

本などの写真で見るビアデッド・コリーは、長い体毛が印象的なのだが、やって来た子犬はそういった雰囲気はなく、丸っこい感じの可愛い子犬だった。

ちょっとイメージしていたのと違うぞ・・・というのが、最初に見たときの第一印象だった。

それとともに、生後約二カ月の子犬とはいえ、既に以前飼っていたヨークシャーテリアよりもでかいのにビックリした。特に足の太さに目がいってしまう。この足の太さからすると、かなりでかくなりそう・・・。

子犬が歩く様子 ビアデッド・コリーの写真

ただ、まだ骨格がしっかりしていないのと、滑りやすいフローリングに慣れていないのもあって、その太い足をうまく使えず、たどたどしく家の中を歩き回っていた。

そういったよちよちと歩く様子はとても可愛く、すぐに家族全員が子犬の虜となってしまった。そしてそれに応えるように、子犬もすぐに我々に懐いてくれた。

最初に飼ったヨークシャーテリアはちょっと残念な結末になってしまったけど、その分、この犬はしっかりと可愛がってあげよう。そう覚悟を決めた日でもある。

7、名前を決めよう

ちょっと慣れた2週間後 ビアデッド・コリーの写真
ちょっと慣れた2週間後

1993年11月28日

我が家で暮らすにあたって大事なもの。それは名前。家族の証でもある。いい名前を授けて、毎日名前を呼んであげよう。

名前といえば、今年の6月に皇太子と結婚の儀を執り行った雅子様の実家、小和田家で飼っているヨークシャーテリアのショコラが大ブームになっている。犬の名前もあやかってショコラと名付ける人が多いとか。

またショコラに対抗して、チョコとか、マロンとか、デザート系の甘い感じの名前も急激に流行り出したらしい。

一昔前は、犬の名前といえば、太郎とか、花子とか、チビとか、クロとか、何かもさッとした感じの名前が多かったのだが、このショコラがゲームチェンジャーとなり、犬の名前も一気にこじゃれた感じになった気がする。

でも、小型犬にはそういった名前は似合うかもしれないが、大型犬だとちょっと軽い印象がしてしまいそう。もっと存在感があって、重厚な感じの名前の方がふさわしい気がする。

モーツァルトのイメージ(*イラスト:tameXさん)

(*イラスト:tameXさん 【イラストAC】

ということで、ナポレオン、クレオパトラ、アインシュタイン、ソクラテス、モーツァルト、リンカーン・・・と、私なりに洋風で重厚に感じる名前を色々と考えた。歴史的な人物名が多くなってしまうのは、もっか大学入試の受験生だからかもしれない。

そして家族会議には「カエサル」「ダビンチ」「ルパン」の3つを意気揚々と提出したのだが、どれも他の家族から即却下されてしまった。理由は、人前で呼ぶのが恥ずかしいとのこと。

食器用洗剤チャーミーグリーンのイメージ(*イラスト:かえるWORKSさん)

(*イラスト:かえるWORKSさん 【イラストAC】

で、結局、家族会議で決まった名は「チャーミー」。今の若い人はチャーミーと聞いて、何を思い浮かべるだろう。特に何も思い浮かばない・・・という人が多いかもしれない。

でもこの時代だと、多くの人がチャーミーと聞けば、食用洗剤のチャーミーグリーンをすぐに思い浮かべていた。我が家の犬の名前がチャーミーと分かると、必ず「洗剤の」と返ってきたほどである。

なぜ食用洗剤のチャーミーグリーンなのか。それは盛んにテレビのCMで流れていたから。そしてそのCMでは、アットホームな感じの雰囲気の中、「チャーミーグリーンを使うと、手をつなぎたくなる♪」という耳に残るフレーズが流れ、好感度というか、人気の高いCMとなっていた。

手をつなぐイメージ(*イラスト:うさぎやさん)

(*イラスト:うさぎやさん 【イラストAC】

チャーミーはそういったアットホーム感じの洗剤の印象と、「魅力的」という意味の英語のチャーミング(charming)をかけ合わせたといった感じ。

私の意見は通らなかったが、実際にチャーミーと呼んでみると、なかなかいい名前だ。響きもいいし、とても呼びやすい。すぐにこの名前が気に入った。

当の本人はどう感じているだろう。気に入ってくれただろうか。それとも、「えぇ~、ちょっと、洗剤みたい名前なんですけど・・・、何とかなりませんかね・・・」と思っているだろうか。そのへんは謎だが、「チャーミー」と名前を呼ぶと、嬉しそうに尻尾を振ってくれているので、きっと気に入ってくれたに違いない。

プロローグ
#2-3 ビアデッド・コリーの成長記
#2-4 ビアデッド・コリーの成長記2 につづく Next Page
広告
広告
広告