旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編1 2003年 Page12

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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16、旅の移動とバイクの納車・後編(2003年6月中旬)

意を決し、バイクを購入したものの、納車直後に故障し、自宅までたどり着けなかった・・・という衝撃的な出来事を経験してからは、もう面倒だ。冬になって乗る機会も少なくなるし・・・と、バイクを購入することは諦め、次の旅に向けお金を貯めることに専念することにした。

貯金のイメージ(*イラスト:369さん)

(*イラスト:369さん 【イラストAC】

そして年を越し、3月になると、私にとって大きな転機が訪れた。なんと父親に胃ガンが発覚し、大きな手術をすることになってしまったのだ。

手術は成功し、ガンになっている胃の三分の二を摘出し、転移しているガン細胞もある程度除去できた。おかげで父親は無事に退院し、自宅に戻ってきた。

しかしながら、父親が病人であることには変わりがない。自宅に病人を抱えていては、1週間程度の旅が限界。もう海外を長く旅することはできないだろう。ということで、バイクを購入し、腰を据えて日本を旅しようと、今後の人生の方針転換をした。

バイク旅のイメージ(*イラスト: ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

今まで貯めていた旅費があるので、購入資金には比較的余裕がある。バイクの雑誌などを眺め、どのバイクが自分にふさわしいだろうか。どのバイクが旅をするのにふさわしく、移動が楽しいだろうか。と、胸をときめかせながらバイクの品定めを始めた。

思うに、そろそろいい歳だし、中途半端な安物を急いで買うよりは、少々時間がかかっても自分で納得できる相棒をみつけ、それを長く乗り続ける方がいい。

更に言うなら、旅人として人に誇れるような、言うなら寅さんの鞄のような感じで、ちょっとこだわりのあるバイクに乗りたいな・・・。昨年の秋に中途半端にバイクを購入し、後悔した経験からもそういう思いが強くなっていた。

大型のアメリカンバイクのイメージ(*イラスト: luckyさん)

(*イラスト:luckyさん 【イラストAC】

旅に向いたバイクといえば、最初に乗っていたバルカンのようなアメリカンスタイルが長距離では腰が痛くなりにくい。アメリカンが持つワイルドな雰囲気も旅をしている気分を高めてくれそうだ。きっと旅の移動が楽しいだろう。

ただ、以前乗っていた400㏄ではパワー不足を感じることが多かったし、排気音もエンジンの振動も微妙。アメリカンを選ぶなら本場アメリカのハーレーとまではいかないにしても、大排気量がいい。

そうだ。この機会にひとまず大型自動二輪の免許を取ってしまおう。長距離移動をすることが多いので、アメリカンでなくとも排気量の大きいバイクの方が移動が楽だし、ツーリング向けのバイクも大型の方が豊富に種類がある。選択肢が増えるのはいいことだ。何より大型バイクは見映えがいいし、バイク乗りとして上級者のオーラをまとうことができる。

教習所のイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 【イラストAC】

ということで、まずは大型自動二輪の免許を取るために教習所に通い、その間にどのバイクにしようかとじっくりと考えることにした。

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バイク雑誌を見たり、バイク店を周りながら愛車選びを行った。思っていたよりも大型バイクはいい値段がする。手持ちのお金でローンを組まずに買うとなると、中古車の方が選択肢が多い。中古車を中心に探すことにした。

最初は、昔乗っていたカワサキのバルカン400の大排気量版、バルカン1500クラシックにしよう。と、バルカン1500が置いてある店を中心に回っていたが、実際にバイクにまたがってみると、しっくりこない。

大型のアメリカンバイクのイメージ(*イラスト: わいるどべあさん)

(*イラスト:わいるどべあさん 【イラストAC】

タンクの位置が低く、平らになっているので、急ブレーキを踏んだら身体が前に滑っていき、危なさそう。おまけに燃費がリッター10キロと車並みなのが気になる。長距離を乗るには不経済だし、バイクのメリットが薄まってしまう。

後10cmタンクの位置が高かったらな・・・。燃費がせめて15キロあればな・・・。車重があり、取り回しが大変そうだな・・・。高い買い物だし、長く乗るつもりなので、不満点が幾つもあっては慎重になる。

他のアメリカンにするかと、またがってみたりもするが、デザインや座った感触がいまいち心に突き刺さらない。そもそもとしてアメリカンは人気車となっていて、中古の玉数が多くなかったりする。

ツアラーバイクのイメージ(*イラスト: トムセン少佐さん)

(*イラスト:トムセン少佐さん 【イラストAC】

バイク店を回っていて気になりだしたのが、ツアラーと呼ばれるツーリング向きのバイク。カウル(外側の覆い)が付いた比較的大型のバイクで、乗車姿勢がアメリカンよりも前傾姿勢になるが、そこまできついポジションではない。

例えるなら車の乗車に近いのが、アメリカン。午の乗馬に近いのが、ツアラー。といった感じ。どちらが好みとか、快適に感じるかは、走り方とか、趣向とか、体形とか、感性などによるので、人それぞれ。

大きな違いは、立派なカウルが付いていること。バイクにはカウルが付いているものと、付いてないものとがある。どちらがかっこよく見えるかは人それぞれ。或いは時代の流行にもよる。

バイクに乗らない人からすれば、車でも見映え重視であまり効果のなさそうなエアロパーツをつけていたりするので、バイクのカウルもそういったものの延長上で、見た目のよさとか、ファッション的なものと思っている人もそれなりにいると思う。

風を切って走るバイクのイメージ(*イラスト: ユキオさん)

(*イラスト:ユキオさん 【イラストAC】

しかし、このカウルはとても重要なパーツだったりする。バイクは風を感じながら走ることができる。風を受けて走るのが気持ちいい。などと、よく聞くと思う。でも、それはゆっくり走っているときの話。

高速道路で走る速度域になると、かなりの風圧を感じながら走らなければならない。それを防いでくれ、空気抵抗を減らして走行性能を高めてくれるのが、カウルの役割になる。なので、サーキットで走るレース用のバイクには必ずついている。

実際、長距離をそれなりの速度で走る場合は、カウルがあった方が上半身の疲労度が断然少なくなるし、自分の身体が空気抵抗にならないので燃費もよくなる。旅をするバイクには必須アイテムといってもいいかもしれない。

HONDA CBR1100XX ブラックバードの写真
HONDA CBR1100XX ブラックバード

カウル以外にもツアラーと呼ばれるバイクには利点があり、比較的大型の車体は直進安定性があり、荷物の積載性も高い。また排気量が多いとアクセルワークが少なくて済むなどと、ツーリングをするにはうってつけだ。

ただ、車体が大きく、重たいのが欠点。それはアメリカンでも一緒だが、アメリカンよりも重心が高いので、足つき性とか、低速でのバランスをとるのが少々難しく、普段の町乗りでは苦労しそうだ。

さてどうしたものか。悩ましい。旅を中心に考えるならカウルがついて、長距離移動が楽なツアラーの方がいい。燃費もバルカンに比べたら随分といいし、スピードも段違いに出るのも魅力だ。でも、アメリカンの持つ雰囲気とか、乗車スタイルは好みだしな・・・。

バイクの納車日の写真
バイクの納車日

ツアラーも含めて探していると、ツアラーの中でもホンダのブラックバード、正式にはCBR1100XXが気になり始めた。排気量は1100㏄あり、馬力は164psと小型自動車並みのパワーがある。壊れにくいと評判のホンダ製だし、カッコいいし、バイクに貫録もある。

で、バイク専門店レッドバロンで展示品を見てこれだ!と一目ぼれした車体があり、衝動的に購入を決意してしまった。

これで新たに旅の相棒を手に入れることになった。最初の予定とは随分とバイクの種類が変わってしまったが、特に後悔はない。

犬も大好きだが、旅は私の大事なアイデンティティ。犬もバイクも私にとって大事なパートナー。日常のパートナーはワンコで、非日常のパートナーはバイク。どちらもかけがえのない存在なので、どちらも大切にしていこうと思う。

ブラックバードのメーターの写真
ブラックバードのメーター類

ちなみにバイクの場合は国産車と逆輸入車があり、私が購入したのはヨーロッパ仕様の逆輸入車。海外では日本のような最高速度の制限がないようで、スピードメーターには320km/hまで目盛りが付いていたりする。

そんな新幹線のようなスピードどこで出すんだ。無用の長物といった感じだが、速いは正義。出さなくても、いざという時に出すことができるというだけで、満足。まあ男のロマンというやつになるだろうか。

私のバイクを見た人はたいていこのビックリ仕様のスピードメーターに驚く。そして「カッコいいな・・・」「こういうのメーター欲しいな・・・」と褒めてくれる。でも時速20~30kmで走っていると、メーターが動いていないような感覚になってしまうので、あまりお勧めはしない。

スクーターとビアデッドコリーの写真
原付とワンコ

旅とバイクの話ばかりになってしまったが、学生時代に愛用していた原付スクーターとチャーミーの写真があったから載せておこう。

スクーターに乗りながら、犬と並走しながら広い草原を走ったら楽しいだろうな・・・と何度も思ったものだが、そんな夢のようなことは広大な牧場のような土地を持っていないと、まず無理だろう。

このスクーターはヤマハのJOGで、お洒落なF1(車のレース)チーム、ベネトンのレプリカカラーをしている。と言っても、濡れた路面で滑って転んでしまい、あちこちすり傷が入ってしまったので、自分でスプレー缶を買ってきて、センス良く色を塗った自家製レプリカになる。

私的にはお洒落な感じのスクーターに仕上がったと思っていたのだが、周囲の評判はいまいちで、「どこがベネトンカラーだ。どう見てもレゴカラーではないか・・・」と、なかなか賛同してもらえなかった。友人にセンスや教養、芸術性を理解できる人がいないと苦労する。・・・。

原付での移動の写真
原付での移動

原付、いわゆる50㏄のスクーターは、手軽に乗れて、便利な移動手段に思えるが、二段階右折とか、30キロのスピード制限などといった制約があり、一度排気量の大きなバイクに乗ってしまうと、ちょっと不便な乗り物に感じる。

でも買ったばかりの頃は、友人と世田谷から湘南まで朝日を見に出かけたり、都内を一周してみたりと、色々と楽しい思い出も多い。

スピードが遅いとか、有料道路を通れないとか、制約があるからこそ楽しい旅もある。移動に時間がかかるからこそ楽しい旅もある。

旅の本質は移動を楽しむこと。一番大事なのは、楽しむ気持ちの部分。だからいいバイクに乗っているから、いい旅ができるとは限らない。速いバイクに乗っているから移動が楽しいとは限らない。

今回、それなりにいいバイクを手に入れることができたが、そのへんのところをしっかりと肝に銘じ、新たに手に入れた愛車との旅を楽しんでいこうと思う。

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