旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編1 2003年 Page6

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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8、父親の手術(2003年3月下旬)

手術のイメージ(*イラスト:asakuracさん)

(*イラスト:asakuracさん 【イラストAC】

今日は父親の手術日だった。父親の病名は、胃ガン。今回の手術では、胃の三分の二の摘出と、胃の周辺に転移しているガン細胞の切除が行われた。

事前に家族同伴で行われた手術説明では、「胃の切除というと、命に関わるような手術に感じるかもしれませんが、現在では手術のレベルも上がり、昔の盲腸と同じレベル・・・というのは少々大袈裟かもしれませんが、手術に関してはそんなに深刻になる必要はありません。」と、執刀医から説明を受けた。

ガンの手術。しかも胃の切除を行うと聞くと、こりゃ、えらいこっちゃ。神社に百回お参りして、神様にお願いしなければ・・・みたいな感じがしていたが、手術自体はそこまで深刻なものではないとのことで、幾分安心した。

とはいえ、家族が大きな手術をするといった経験は初めてだったし、父親はもちろんだが、母親も心配だったので、仕事のシフトを調整してもらい、今日は家族と都内に住む父親の姉とで、病院内の控室で待機した。

時間が経つイメージ(*イラスト:マスターピースさん)

(*イラスト:マスターピースさん 【イラストAC】

手術前に、看護婦から「長い手術になります。患者のことを心配する気持ちもわかりますが、手術中はこちらも手一杯なので、特別な用がある時以外は声をかけずに待っていてください。予想よりも時間がかかり、不安に感じたりするかと思いますが、予期せぬ事態になった場合にのみ、こちらから声をかけます。こちらから連絡がない場合は誤差の範囲内で順調に手術が行われていると思ってください。・・・云々。」と言われた。

家族から「大丈夫か」とか、「順調か」「いつ終わる」などと、頻繁に声をかけられ、その対応に苦慮しているのだろう。

で、朝から大人しく待合室で待ち続けるのだが、いつ声がかかるかわからない状況の中、延々と待合室で待ち続けるのは、想像していた以上にしんどかった。

暇だし、病院内だし、状況が状況だけに落ち着かないし・・・と、今までの人生のなかでもなんとも言えない複雑な時間を過ごす事となった。無駄に考える時間が多いというのは、ほんとよくない。

手術担当医の説明のイメージ(*イラスト:oteruさん)

(*イラスト:oteruさん 【イラストAC】

朝から始まった手術は、夕方遅くに終了。手術時間は9時間にも及んだ。手術が終わると、執刀医から無事に手術が終わり、患者の様態が安定している旨が最初に告げられ、続けて、予定通りに胃の3分の2を切除したこと。周辺に転移していたガン細胞の除去に手間取って少々時間がかかってしまったが、大部分を除去できたといった説明を受けた。

手術前に「手術自体は難しいものではない」と言われたのと同時に、「胃の切除だけで済むのでしたら、胃ガンはそんなに怖いガンではないし、この手術で完治ということになるのですが、ガンが怖いのは、他の臓器に転移すること。レントゲンなどである程度は内部の状況が分かるものの、実際に切って開けてみないとわからない部分もあります。患者さんには少し転移の進行が見られ、その状況が現在の想定よりも悪ければ、今回で全て取り除けないことがあり、その場合はまた近いうちに手術を行ったり、場合によってはこの先長くない・・・という可能性もゼロではありません。」とも言われた。

今後については、「今回、中を開けてみたところ、そこまで悪い状態ではなかったので、ひとまず安心してください」とのこと。そして、「私の私見ですが、今後は体調が急変しなければ、ガン細胞を散らしたりしながら治療していき、そのうち普通の生活ができるようになるのでは・・・」とのことだった。

胸をなでおろすイメージ(*イラスト:水雲さん)

(*イラスト:水雲さん 【イラストAC】

よかった・・・。これで一安心だ。ほんと、大変な手術をしっかりと行ってくれた先生には感謝の言葉しかない。退院はまだまだ先のようだが、退院後は完全に元通りではないにしても、普通に近い生活を送れるということなので、まだまだ私は旅人でいられそうだ・・・と、胸をなでおろすのだった。

9、禁煙(2003年4月4日)

立ち読みのイメージ(*イラスト:のらつぎさん)

(*イラスト:のらつぎさん 【イラストAC】

3月の終わりに父親の手術が行われ、無事に終わった。まだ退院は先のようだが、日々病院に通っている母親によると、順調に回復しているようだ。

父親がなった病気は、胃ガン。手術が決まってからは、胃ガンって何だろう・・・。どんな病気なんだろう・・・。敵を知らねばなんとやらってな感じで、仕事の休憩時間などに本屋へ向かい、医学書を立ち読むことが多くなった。

ちなみに、この2003年ころは、インターネットで病気を調べることをする人はほとんどいなかった。病気を扱う専門的なサイトはほとんどなかったし、インターネットは怪しいもの。まだそういった風潮が残っていたので、情報収取や大事なことを調べるときは、本屋や図書館で調べるのが常套手段となっていた。

胃がんのイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 【イラストAC】

で、医学書を読んで調べたところ、胃ガンはその名の通り胃にできるガンで、胃壁の内側にある粘膜(上皮)の細胞がガン化して起きる病気になる。

日本人がかかりやすいガンのうちの一つで、毎年集計されるガン統計の上位3番以内の常連となっている。日本人というか、東洋人に多く、西欧人には少ない傾向があるそうだ。

発生要因として指摘されているのが、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染と喫煙。この他に、塩分の高い食品や揚げ物、アルコールの摂取が、胃がんの発生率を高めると言われている。発生要因を見ると、男性の方が女性よりも2倍発症率が高いというのも、なんとなくわかる気がする。

不摂生のイメージ(*イラスト:asakuracさん)

(*イラスト:asakuracさん 【イラストAC】

後は胃ガンが発生しやすい体質は遺伝するとか。この当時は信憑性のある情報として信じられていて、多くの本にそう載っていた。

家族が胃ガンになった者としては、この一文は見過ごすことができない。もしそうなら、私もなってしまう確率がそれなりに高いということになる。ならないように普段から気を付けて生活はできるが、遺伝となると避けようがない。

実際のところは、同じ条件で暮らしていたり、食生活や生活習慣が似ているから発症しやすいとのことで、2023年現在では遺伝との因果関係はほぼ否定されている。でも、家族がなった場合は気を付けておくに越したことはないだろう。

たばこの健康被害のイメージ(*イラスト:K-factoryさん)

(*イラスト:K-factoryさん 【イラストAC】

で、ガンに関する本を読んでいくと、決まって書かれているのが、タバコがとても身体によくないこと。喫煙は肺ガンになるだけではなく、気管や食道、そして胃にも大きなダメージを与えるということで、悪の権化的な表現で書かれていた。

タバコが体によくないということは、よく耳にしていた。未成年が吸ってはいけないということからも、身体にいいものではないのだろう。しかし、吸っていても長く生きている人もいる。そこまで気にすることではないのでは・・・。というのが、海外を長く旅した私の考え方だった。

きっと、身体に悪いと気にしながら吸っていると、健康に悪影響を及ぼすのではないか。海外旅行でも、「お腹を壊すんじゃないか・・・」と、心配しながら食事をしている人ほどよくお腹を壊している。それと同じこと。適度の本数を、健康的に吸っている分にはたいして問題はない。・・・恥ずかしながら、今までそう自分なりに解釈していた。

しかし、今回、医学書を色々と読むにつれ、また父親の長く大変な手術を経験してからは、タバコって本当に体に良くないんではないだろうか・・・。そう信じるようになった。そして、タバコを吸っても旨いと感じなくなってしまった。

たばこで悩むイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 【イラストAC】

旨いと感じないものを無理に吸ってもしょうがない。それこそ身体に悪い吸い方の典型ではないか。このままだと、私も胃ガンになってしまうかもしれない・・・。いや、遺伝するらしいから、間違いなく胃ガンになってしまうぞ。

それにタバコの値段もどんどん上がっている。吸い始めたころは一箱220円だったのが、1997年に消費税増税で230円に。翌年にはたばこ税の増税で250円。更には、今年の7月には大幅な増税で280円になるらしい。

値上がった分は、ほぼ税金なので、燃やす税金がどんどん増えているだけ。そう考えると、なんともバカバカしい。この機会に禁煙しよう。

たばこの禁煙のイメージ(*イラスト:アート宇都宮さん)

(*イラスト:アート宇都宮さん 【イラストAC】

ということで、父親の手術後、切りがいいところで4月1日から禁煙を・・・、と思ったが、4月1日はエイプリルフール。言い訳がとてもしやすい日。4月1日に宣言しても、覚悟が全然感じられない。なかなか困った日だ。

仕方ない。だったら翌2日から・・・というのも、とってつけたようで、覚悟を決めるには物足りない。やっぱり何かを成そうとする大事な日は、「この日だ!」といった気持ちが入れ込める日でないと、長続きしないというもの。

なら、いっそのこと一カ月延ばし、5月1日からにするか・・・。って、そんなに先延ばしにしたら、気が変わってしまうかもしれない。というより、グダグダと能書きを垂れる以前に、思い立ったが吉日。思い付きで旅に出るように、今日から行えばいいだけの話。

やるなら今でしょ。ってことになるのだが、まだ心の準備というか、その覚悟が出来ていない・・・。父親の手術がどうなるか不安だし・・・。タバコも残っていて、もったいないし・・・。

4のぞろ目のイメージ(*イラスト:わくわくススムランドさん)

(*イラスト:わくわくススムランドさん 【イラストAC】

そうだ。四並びのゴロがいい4月4日からにしよう。4が並んでいて、事を起こすには縁起がよさそうだ。

人によっては4が並んでいると縁起が悪いと感じるかもしれないが、そのへんはセンスの差。やる本人が「この日だったらやるぞ!」と思える日なら、何も問題ない。ということで、4月4日から禁煙を行うことにして、今日、その日を迎えた。

禁煙に苦しむイメージ(*イラスト:hataroさん)

(*イラスト:hataroさん 【イラストAC】

禁煙というと、禁断症状が現れるなどの苦痛を伴い、難しいものといったイメージがある。実際、禁断症状に苦しみ、2、3日で断念する人も多い。

私が思うには、こういうのはきっかけだと思う。親や先生に「受験勉強をしろ」と言われても、勉強する意義が分からないと、なかなか勉強に身が入らない。それと同じで、禁煙する必要性を感じない時に、医者や友人、家族から禁煙しろと言われても、なかなか心の迷いを断ち切ることができないものだ。

今回のように自分から禁煙したいと強く思っている時はチャンスだ。しかもタバコを吸うことのデメリットをよく理解でき、危機感を持っているのなら、そのハードルは格段に低くなる。

それに加え、私にはユーラシア大陸を横断して鍛えた根性と強い意志がある。更には、「税金が上がるのなら禁煙もやむなし」と、貧乏性の思考がしっかりと背中を押してくれている。

これだけ好条件がそろっているので、きっと問題なく禁煙を成し遂げられるだろう。

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