旅人が歩けばわんにゃんに出会う
国内編 千葉県
千葉県で出会った猫の写真を載せています。
1、お雛様と悪役顔の猫(市川市中山 2012年2月)
千葉県市川市に中山という町がある。中山といえば、中山競馬場。そして有馬記念!と、若かりし頃の私なら即答したのだが、競馬から遠ざかって久しいので、今では中山競馬場の名を聞いても、ときめく感じはしない。
その代わりというか、近年では祭り訪問旅を趣味にしているので、中山と聞けば、日蓮宗大本山の法華経寺がすぐ頭に浮かぶ。
法華経寺は日蓮宗の大本山で、創建は鎌倉時代と伝えられている。広大な境内には立派な建物が並び、いかにも大本山といった雰囲気のするお寺である。
法華経寺といえば、11月1日から2月10日まで行われる寒百日大荒行がよく知られている。といっても、一部の界隈といったところだとは思うが・・・。
寒百日大荒行は、その名からイメージできる通り、冬の一番寒い時期の100日間、荒行堂にこもって修行を行う。
修行中は、一日7回の水行を行い、残りの時間はひたすらお経を読み続ける。しかも期間中は、睡眠は3時間、食事はお粥だけと、なかなか過酷だ。
僧侶の修行って、何か意味があるの。そこまできつい修行をして何か得られるものがあるの。などと、疑問に感じる人も多いことだろう。この辺の事情は宗派で違ったり、それぞれの考え方の違いものあるので、なんとも言えない。そもそも、実際にやってみないことにはわからない。
ただ、3日程度の修行をして何かを得られるものではないし、一日一回の水行で、残りは暖房の効いた部屋でお経を読むといった修行をして、「私は大本山の荒行をこなした僧だ」と言われても説得力はない。
荒行と名乗るならそれ相応に過酷でないと、締まりがないし、箔も付かないというもの。僧侶というのは、なかなか目に見える成果の出ない職業になるので、こういった荒行を行うことで、一般で言う資格や肩書が増えるような感じとなり、俗物的にもやることにそれ相応のメリットもあるとかなんとか。
実際に水行を行った人の話を聞くと、最初の内はまだ少し暖かいので、そこまで苦にはならないのだが、後半の1月、2月ともなると、早朝は激寒。気温よりも水温の方が温かい状態で、浴槽に張ってある水から湯気が立っているそうだ。
その水を桶に汲んで水行を行うのだが、水行を行った後の自分の身体からも、まるで風呂上がりかのように激しく湯気が立ち上がるそうだ。凍える寒さの中でそんな様子を見ていると、色々とやるせなくなってくる・・・と言っていた。
2月10日に大荒行が明けると、修練を務め上げた荒行僧は、地元の寺や懇意にしている寺で水行を披露する。水行は六根清浄。身心のケガレを払うと信じられている。
大本山で100日もの荒行を務めてきた荒行僧は、一般の檀家からしてみれば聖人のような存在。寺で水行を披露した荒行僧に背中をさすってもらうと、ケガレや悪いものが身体から浄化される。・・・らしい。
背中をさすってもらっただけで、何もしていない人間にご利益があるというのは、ちょっと都合がよすぎる気もするが、何かしらにあやかりたいと思うのは、人間の性というものだろう。
2月に都内のお寺の水行を訪れた際に、荒行僧が法華経寺での修行についての話をされているのを聞いて、法華経寺とはどんな寺だろう・・・と、興味を持った。
調べてみると、お寺は市川市の中山にあり、ちょうどお膝元の中山参道商店会でひな祭りが行われていた。これはちょうどいい。商店街の散策も楽しめる。早速、訪れてみることにした。
京成中山駅から法華経寺までの道中、中山参道商店会が続いている。この参道商店会を中心に2月中旬からひな祭りの日あたりまで、「中山のおひなまつり」が行われている。
施設や店舗にお雛様が飾られる雛巡りを中心としたひな祭りで、メイン会場の清華園を中心に地域の商店会、町会、そして法華経寺、奥之院など約70カ所に、「七段飾り」や「つるしびな」、「創作人形」などが展示される。
商店街などのお雛様をめぐっていると、参道にある食堂の入り口で中を伺う猫を発見。後姿だが、中に入りたそうにしている。
これは面白い絵図だ。写真を撮ろうと近づいたのだが、猫が振り向いた瞬間、身体に電撃が走った。なんとこの猫、見事に顔半分で色が違っていたのだ。思ってもいなかった展開だったので、ビックリしたことこの上ない。
思えば、昔のアニメの悪役はこんな感じで顔半分が違って描かれることが多かったな・・・。アニメで見ても怖かったが、実物はもっと怖い。というか、シュール。にゃんこには悪いが、どうにも悪役にしか見えない・・・。
とりあえず写真に収めておこう。カメラを構えるものの、動揺が収まらないのか、ブレた写真になってしまった。いや、念力で妨害波を放出されたのかな。何にしても、とても衝撃的なにゃんことの出会いだった。
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