旅人が歩けばわんにゃんに出会う
国内編 群馬県
群馬県で出会った猫の写真を載せています。
1、新田の荘のにゃんこ(太田市世良田町 2010年1月)
善と悪は紙一重である。価値観が違えば、善悪の基準も異なる。日本を離れてみると、日本では素晴らしい行為でも、その土地では悪になってしまうこともある。
なので、何が善なのか、何が悪なのか、などというのは、簡単に言えるものではない。異国を旅すると、しみじみと実感する・・・。と、偉ぶって書きたいところだが、ちょこっと旅をしたぐらいでは、そういった深い理はあまり実感することはない。
こういったことは、実際に海外で長く暮らしてみないと、わからないものである。まあ、国際結婚がうまくいきにくいのは、こういった価値観の違いがストレスになることが多いというのは、よく耳にする。
勝者が善で、敗者が悪というのも、善と悪は紙一重のいい例となる。特に長いものに巻かれるのが大好きな日本では、勝てば官軍、負ければ賊軍といった傾向が強い。
平家と源氏はどっちが正義なのか。徳川家康と石田三成はどっちが正しかったのか。それぞれに正義があって戦ったわけだが、勝った方の正義が正しい歴史になる。
もし石田三成が勝利していたらどんな歴史になっていたのだろうか。家康はどんな悪役として後世に伝わったのだろうか。歴史に「もし」はないけど、頭を巡らせてみるとなかなか楽しい。
そういった対極の構図で、南北朝の争いで戦った足利尊氏と新田義貞が取り上げられることも多い。大河ドラマにもなったので、この両名の名を知っている人も多いだろう。
足利尊氏は、鎌倉幕府を討幕した人物。その後、後醍醐天皇を戦で駆逐し、征夷大将軍となり京都に室町幕府を開いた。足利氏の本拠地は、栃木県足利市にある足利の荘。
新田義貞も同族になる。本拠地は群馬県太田市世良田町にある新田の荘。県は違うが隣り合う市で、実際の距離は直線距離で20キロほど。
新田義貞は、鎌倉幕府討幕の際、足利尊氏に協力して戦い、大出世をする。が、その後、後醍醐天皇側に付き、足利尊氏と戦って破れる。結果、歴史の敗者となった。
足利市にある足利の荘は、かつて大河ドラマの舞台にもなったし、多くの文化財があるので、それなりに大きな観光地となっている。
では、新田の荘はどんな場所だろう。資料館もあるようだし、ちょっと興味がわいて訪れてみることにした。
訪れてみると、地元の英雄ということで、立派な像が建てられていたが、訪れる人はまばらで、寂れた感じがする。まあ歴史の敗者になるので、しょうがないだろう。
新田の荘には、長楽寺というなかなか立派なお寺がある。天台宗の寺院で、山号は世良田山。東国における禅文化発祥の寺となるようで、門前に大きくそのことが掲げられていた。
それよりもビックリしたのが、徳川家発祥の地といった案内板があったこと。隣地には、家康をまつった東照宮もある。えっ、本当にここが徳川家康の所縁の地になるの。あれ、でも、徳川家康って三河の人じゃなかったけ。変だな・・・。
調べてみると、徳川家康の出生は三河になる。元々は松平家康と名乗っていて、奥三河に松平家発祥の地、松平郷があり、松平城址も存在する。ここが正真正銘の家康のルーツになる。
徳川家康が徳川姓に改称したのは、1566年。理由は、三河守などといった高い官職に付くには、源氏の血筋が必要だったから。
松平家の家系図を調べると、源氏の嫡流新田氏の血を引く者がいる。その者は世良田義季(得川義季、徳川義季)の子孫にあたるようだ。
松平姓のままで源氏を名乗っても信憑性がない。源氏の血筋だと高い位に付くことができるし、箔も付く。人の上に立つには色々と便利だ。徳川姓にしてしまおう。となったらしい。
改姓の目的が源氏の嫡流という箔の部分なので、目的が叶ってしまうと、家康にとってはこの場所は特に重要ではない。かといって、無碍(むげ)にもできない。それなりの格を与えたといった感じだろうか。
歴史の敗者である新田家所縁の場所であり、形的には歴史の勝者、徳川家康所縁の場所でもある。歴史的な場所のようで、そうでもなく、由緒や格式があるようで、ないような・・・。私的には、なんか複雑かつ、とても中途半端に感じる場所に感じた。
とまあ、様々な歴史の思惑が交差する新田の荘で、にゃんこに遭遇した。人間の歴史・・・・。そんなこと知ったこっちゃないといった感じで、もらった餌を食べている最中であった。
近づいてみるものの、邪魔するな。あっち行け。といった様子。うちのワンコも食事中に声をかけると、怒るもんな。そっとしておこう。
ってことで、お寺を一回りしてくるのだが、戻ってきてもゆっくりと食事をしていた。なかなかののんびり屋さんのようだ。それとも体調が悪いのかな・・・。
雪こそ少ないものの、内陸の群馬の冷え込みは相当なもの。冷え込みから身体を守る寝床は用意してもらっているのだろうか。ちょっと心配。
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