旅人が歩けばわんにゃんに出会う
国内編 新潟県
新潟県で出会った猫などの写真を紹介しています。
1、佐渡島のにゃんこたち(佐渡市 2003年8月)
新潟県の沖に浮かんでいる大きな島は、佐渡島。面積は855km2で、本州などの主要4島、北方領土、沖縄本島に次ぐ大きさになる。
離島として考えるなら、北方領土は占領されたままだし、沖縄本島はそれなりの都市を擁し、開けている島なので、あまり離島という感じがしない。
人が少なく、生活に不便するようなことの多いのが、離島。離島らしい離島として考えるなら、「日本で一番大きい離島は佐渡島」と、言っても問題ないだろう。
そんな日本の離島の王様をバイクで一周してみたい。きっと後々まで思い出に残るような素晴らしい旅になるぞ。と、友人とバイクで佐渡島へ向かい、佐渡島を一周ツーリングしたときに出会った猫たちの記録になる。
道中、ふと立ち寄った・・・というか、他の観光スポットと間違えて訪れてしまった弁天様。せっかくなのでお堂の中を覗いてみたら、ビックリ。なんと弁天様が猫の姿に変化し、くつろいでいらっしゃった。
旅の上級者である私が道を間違えるとは変だなと思ったのだが、どうやら退屈をしていた弁天様が神通力で私を引き寄せたようだ。(道を間違えた言い訳・・・)
どうにも頭が座布団から落ちているのが気になってしまい、「頭が落ちていますよ・・・」なんて声をかけたくなるが、弁天様とあろうお方はそんなことは百も承知。大きなお世話というものだろう。見て見ぬふりをしつつ、こそっと写真を撮って立ち去ることにした。
古風な建物の前を通りがかると、三毛猫が扉の前でじっとこちらを見ていた。猫からは、絶対、この中には入らせない!といったオーラを感じる。まるで用心棒をしているかのよう。猫の柄から、なんとなくニャンコ先生(夏目友人帳)が頭に浮かんでしてしまう。
ここは佐渡博物館。どうやら博物館に住み着いてしまった猫で、博物館や地域の人たちで面倒をみているみたいだった。
佐渡の平野部に郷社の日吉神社がある。佐渡で由緒と格式を誇る神社になる。
参拝のために境内に入ろうとすると、ん、なんか変だ・・・。狛犬が両方とも右を向いている。私もつられて右を向いてみたが、木が茂っているだけで、特に何もなかった。右向けホイに引っかかってしまった気分・・・。
両方とも右を向いているのも面白いが、尻尾がえらく豪勢で、山盛り状態なのも面白い。きっと毎日お参りしていると、そのうち夢に出てきて、自慢の尻尾を一振り。すると大判小判がザックザック・・・ってなことになるのかな。所変わればなんとやら。なかなか興味深い狛犬だった。
ちなみに日本の狛犬は横を向いているのがほとんどだが、海外の狛犬・・・というより、狛獅子は正面を向いているものがほとんど。狛犬。されども狛犬。普段は当たり前で疑問を感じないことでも、旅に出ると新しい発見があったりする。文化的な違いは本当に面白い。
佐渡といえば、金山。多くの人が真っ先に頭に思い浮かぶことだろう。佐渡金山は現在では閉鉱しているが、かつては日本を代表する金山だった。
佐渡の旅のハイライトともいえる鉱山と資料館を訪れて驚いたのは、佐渡金山で今まで採掘された金は78トンで、銀は2,330トン。銀の方が金よりも30倍も多いということ。佐渡銀山と呼ぶ方がいいじゃないか・・・といった感じ。
また、金の採掘量は日本で2番目になり、日本一になるのは鹿児島県にある菱刈鉱山になるそうだ。
訪れるまで抱いていた日本一の金山といったイメージと少し違っていたが、江戸幕府の財源を支え、石見銀山とともに世界に名が知れるほど大量の金と銀が産出された事実には変わりがない。現在は、世界遺産の登録を目指している。
佐渡といえば、たらい舟を思い浮かべる人も多いだろう。名前のまんま「たらい」を大きくしたような舟のことで、もともとはワカメやサザエなどを取るのに使っていたそうだ。それが今ではすっかり遊覧用となり、佐渡観光の目玉となっている。
訪れた日が日曜日だったのもあり、小木の湾内では観光客を乗せたたらい舟がひっきりなしに遊覧していた。その様子はプカプカ浮かんでいるといった感じ。見ていると、なかなか面白い。実際に乗ったら揺れて怖いかもしれないが・・・。
そして佐渡といって外せないのが、トキ(朱鷺)。ペリカン目トキ科に属し、裸出した顔と脚、くちばしの先が赤く、羽毛が淡桃色なのが特徴の鳥で、国指定の特別天然記念物にもなっている。
トキは、かつて日本や朝鮮半島、中国など、広い範囲に生息し、国内でも本州や四国など、広い範囲で見ることができた。
しかし、明治以降は鉄砲によって乱獲され、戦後は農薬の使用や河川の汚染によって餌となる水辺の生物が減少し、世界的に個体数が減少。絶滅が危惧されるようになった。
結局、個体数が増えることはなく、日本の自然界でのトキは絶滅。野生のトキが最後まで生息していたのが、比較的自然が多く残る佐渡島と能登半島だった。
佐渡島では、早くから住民による保護活動が行われてきた。それが行政を動かし、捕獲した野生のトキを保護センターで保護し、繁殖を試みるようになった。なので、世間一般的にはトキといえば佐渡といった認識になっている。
私が訪れたのは2003年。そう、ちょうど純国産の最後のトキが死んだのが2003年10月。訪れたのはその数か月前になる。
最後のトキの名は「キン」。メスで推定36歳。人だと100歳といった年齢なので、もう繁殖は無理と諦められていて、国産のトキは絶滅を待つだけといった状態だった。
そういった状況下でトキ保護センターを訪れたのだが、資料館の展示は過去にどこに生息していたといったような展示が多く、展示に力強さはなく、共感に乏しかったし、実際、館内も閑散としていた。
外にあるトキの檻には、中国から贈られたトキが10羽程度いるだけだった。この頃は人工ふ化、放鳥などもされていなかったので、本当に活気がない状態だった。
現在は人工繁殖が成功し、個体数が増えたことから自然界への放鳥も行われている。今訪れたらまた違った感想を持つのだろうけど、この絶滅間近に訪問した時の感想は、ネガティブなものだった。
乱獲が原因の一端とはいえ、自然界に定着できずに滅んでいったものを、人工飼育で増やし、再び自然界に放ったとしてもまた同じことになるのでは。自然界に定着させるのが目的とは言うが、中国産のトキを増やして意味があるのか。
最近はペットでも珍しい種類とか、話題になるもの、そしてお金になる種類をどんどんと人間が繁殖させている。ブームが去ると惨憺たる状況になることも多い。トキにしても同じことではないのか。
鳩やら猫の餌やりが非難されることが多いが、トキだったら許されるのか。保護活動と言いながら、人間の浅知恵では自然の調和を乱すだけではないのだろうか。
ニホンオオカミは絶滅されたとされているが、チベットなどにいるオオカミを繁殖させ、定着させるようなことはしないのだろうか。そもそもここまで多くのお金をかけてやるべきことなのか。色々と思うところが多い。
旅の訪問先で、人や動物、自然への偶然の出会いを楽しみにしながら旅をしている。でも今回の檻の中に閉じ込められているトキとの出会いは、単に人間の都合に振り回されている気の毒な鳥にしか見えず、私の中では楽しい出会いとはならなかった。
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