旅人とわんこの日々 タイトル

プロローグ
#2-2 再びワンコを飼う

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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3、大型犬にしようか?

様々な犬のイメージ(*イラスト:おりたさん)

(*イラスト:おりたさん 【イラストAC】

砧公園近くの新居に引越しを済ませた後、犬を飼う準備を始めることにした。

さて、どの犬種を迎えよう。以前飼っていたヨークシャー・テリアにこだわりはないし、里親に出したジョリーのことを思い出すので、今回はヨークシャーテリア以外の犬種にしよう。そこまでは家族全員の意見は一致していた。

後は飼いたいと思う犬種があるのなら、それを提案し、意見をすり寄せながら決めていけばいい。ということで、最初の意見交換を行ったのだが、父親が「今回は大きい犬を飼いたい!」と言い出した。

大型犬のイメージ(*イラスト:うめみさん)

(*イラスト:うめみさん 【イラストAC】

現在、世間では大型犬がブームになっていて、テレビを付ければ大型犬が登場する番組が多いし、外を歩けば大型犬を連れている人をよく見かける。

父親は子供のころ、実家でハスキー系の大きな犬を飼っていて、それがいい思い出になっている。この大型犬ブームの中、大型犬を散歩させている人などを見て、再び大きな犬を飼いたくなってしまった・・・といった感じのようだ。

それに砧公園が近くにあるので、犬を飼うことを趣味にすれば、運動不足も解消するし・・・、人付き合いも増える。そんなに遠くない未来、定年を迎えて暇になるし・・・と思うところもあるみたいだ。

とはいえ、昔は犬を外で飼うのが当たり前だった。外で飼うのなら大型犬でもそんなに手がかからないし、適度に庭に放しておけば運動不足にならない。

それを家の中で飼うとなると、家の中がてんてこ舞いになるのではないか。日常の世話に手間がかかり過ぎるのではないか。散歩に時間を取られ過ぎてしまうのではないか。

しかもここは東京。交通量が多く、周囲には住宅ばかり。近くに大きな砧公園があるとはいえ、犬を散歩をさせるのも大変だ。

犬を散歩させている様子のイメージ(*イラスト:いかみけさん)

(*イラスト:いかみけさん 【イラストAC】

父親、そしてそれに賛同する妹の張り切りようとは裏腹に、私と母親は大型犬を飼うのにあまりのる気ではなかった。特に一番面倒を見ることになる母親は、「誰が面倒を見ると思っているの!」と、猛烈に反対していた。

思い付きで飼ってはみたものの、世話や掃除が大変で、日常生活に支障をきたしてしまうのではないか。そして、飼うんじゃなかったと後悔するような結末になることが怖い。

そもそもヨークシャーテリアの時も父親はほとんど面倒をみていなかった。可愛がりたい時にだけしか面倒を見ないで済むのなら、大きな犬は魅力的に感じるだろう。小型犬よりも大きな犬と一緒にいるほうが楽しそうだし、所有欲も満たされる。

でも、日常的に世話をしなければならない立場だと、いくら犬が好きでも現実的な物の見方になってしまうものだ。

犬を散歩させている様子のイメージ(*イラスト:ししまるさん)

(*イラスト:ししまるさん 【イラストAC】

そもそもとして、団塊世代の父親はちょっと見栄っ張りなところがあり、他の人とすぐ「上か、下か」と比べる癖がある。

世間では大型犬がブームになっていて、公園などでも大型犬を散歩させている人が多い。自分が犬を散歩させている時に、周囲が大型犬ばかりだと、小型犬では見栄が張れない。それでは面白くない。そういった部分で大型犬がいいと言っているのではないだろうか。

つまらない見栄に付き合わされるというのはたまらない・・・。親の背中を見て育った子供としては、そのへんも慎重に考えてしまう。

考えるイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

さてどうしたものか。父親の希望を叶えるために賛成すべきか、室内で大きな犬を飼うというのは無謀な試みだからと、心を鬼にして反対すべきか。息子としては迷う場面である。

我が家では犬を飼うのは初めてではない。基本的なことは分かっているし、家族で飼うのだから、犬が少々大きくても全員で協力すれば、何とかなりそうな気もする。

それに大きな犬との暮らしは、子供の頃にはちょっとした憧れでもあった。小さい頃に見ていたアニメには魅力的な大型犬が登場し、そういった大きな犬と一緒に暮らせたらな・・・と何度も思ったものだ。

世話が大変だという現実的な部分を抜かせば、大型犬との暮らしが魅力的だと思う気持ちは、今でも変わらない。

図書館のイメージ(*イラスト:yama-artさん)

(*イラスト:yama-artさん 【イラストAC】

とりあえず情報収集だ。大型犬を飼うことがどれだけ大変なのか。どれだけ苦労するのか。そういった事がちゃんと分かれば、我が家では無理だと諦めが付いたり、逆に挑戦してみようと気になるかもしれない。

ということで、インターネットがない時代なので、図書館に足を運んだり、本屋で立ち読みをして、大型犬の飼育についての情報を集めた。

「犬の飼い方」などといった本を読むと、最初のしつけが大事だ。散歩が大変だ。それなりに広いスペースが必要だ。といった文面が必ず並んでいた。

特にしつけの部分は、最初のしつけに失敗すると、犬が大きいので手が付けられなくなってしまう、といった恐ろしいことが書いてある。ヨークシャーテリアに散々噛まれた私としては、ここの部分が一番気になる。

大型犬のしつけのイメージ(*イラスト:jwさん)

(*イラスト:jwさん 【イラストAC】

メリットとして、小型犬と比べると世話などの面では大変なのは確かだが、大変だからこそ、それに見合うような素晴らしい愛犬生活が待っている・・・といった感じのことも書いてあった。

その境地にたどり着くまでが問題なんだよな・・・。もっと具体的に大型犬を飼うというのは、どれだけ生活に苦労が増えるのか。逆にどれだけ楽しさとか、豊かさが手に入るのか。それが知りたい。

ということで、飼育体験談みたいなものを読んでみるのだが、得てしてこういうのはどれだけ苦労したかのような苦労自慢が多い。飼育体験談も様々で、どれが我が家に当てはまるかよくわからなかった。

というより、どうも犬の性格や飼育環境に拠る部分が大きく、実際に飼ってみないとわからない・・・ということになるみたいだ。

仲良く散歩のイメージ(*イラスト:しまたけひとさん)

(*イラスト:しまたけひとさん 【イラストAC】

実際、大きな犬を飼うというのはどんな感じだろう。他の人が大きな犬を連れて散歩している様子や、公園で遊ばせている様子を観察してみると、大きな犬は存在感があり、また、一緒にいることが友達感覚で楽しそうにみえる。

大きな犬との暮らしは兄弟というか、友達が増える感じなのだろうか。そのへんの感覚は実際に飼ってみないとわからないが、存在感がある分、日常生活に多大に影響し、まさに家族が増えるということになりそうだ。

それにほとんどの犬が、飼い主と寄り添うように大人しく散歩している。小型犬のように他の犬を見て、キャンキャンとけたたましく吠えたりもしない。性格的には小型犬よりも飼いやすいのかも・・・、などと思ったりもする。

とはいえ、初めて飼ったヨークシャーテリアの時には、期待していたほど懐いてくれなかった。大きい分、飼い馴らせなかった時の大変さや失望感も大きいに違いない。一度ガッカリした思い出があるので、このへんは楽観視していなかった。

様々な犬のイメージ(*イラスト:白いねこねこさん)

(*イラスト:白いねこねこさん 【イラストAC】

色々と考え、大型犬は確かに魅力的ではあるが、やっぱり現実的には世話が大変だという結論になり、反対の立場を継続することにした。

私的には、以前のヨークシャーテリアはちょっと小さすぎたので、今回はそれよりも大きい小型犬、もしくは小さな中型犬が希望だった。

具体的にはシェットランド・シープドッグとか、大きくてもボーダー・コリーがいいかなと思っていた。

シェルティーのイメージ(*イラスト:ロキアコさん)

(*イラスト:ロキアコさん 【イラストAC】

そう伝えるのだが、父親と妹はもう頭から大型犬を飼うことが離れないようで、大型犬を飼うの一点張り。意見を曲げる気はなさそうだ。

そのうち一番面倒を見ることになるだろう母親が説得され、今回は父親の希望に沿って大きめの犬種で探すことになった。

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母親が賛成に回ったので、私も強い反対をしなくなった。前回のヨークシャーテリアの時に自分で犬を飼うと言い出して、散歩など面倒をみるのをサボると「あんたが飼うって言ったのでしょ!」とさんざん責められることになった。

この悪魔のような呪文は私にとって強烈なトラウマとなっていて、今回は幾分引いた傍観者という立ち位置。

同じ轍は踏みたくないので、「犬を飼うことには賛成だし、大型犬でも飼うとなったら全力で協力はする。でも、私が言い出したのではないからね。」といった厳重な防壁を張ったスタンスで、大型犬を飼いたいという親にほぼ任せることにした。

受験勉強のイメージ(*イラスト:コチさん)

(*イラスト:コチさん 【イラストAC】

受験に受かればだが、一応来年からは大学生になる予定。大学生になったら犬ばかりに構っていられない。というより、今現在浪人中。高校受験に引き続き、大学受験も苦戦中。今現在が犬どころではなかったりする・・・。

4、犬種選び

受験勉強もそろそろ追い込みの時期。1浪しているので後がないのだが、やっぱりというか、犬のことも気になってしょうがない。気分転換と偽り、勉強の合間に犬の本を熱心に読んでいた。

さてどんな犬がいいかな。フランダースの犬の犬に出てくるパトラッシュのような優しい犬がいいな。ハイジに出てくるヨーゼフ(セントバーナード)のような頼もしい犬もいいな。名犬ジョリィにでてくるピレニーズも白く気品があっていいな・・・。犬に限らず、なんでも購入する前の選んでいるときは夢が膨らんで楽しいものである。

ヨーゼフのイメージ(*イラスト:さらりんこさん)

(*イラスト:さらりんこさん 【イラストAC】

でも現実的には、セントバーナードやピレニーズといった大型犬の中でも大型の部類に入る犬を、色々と制約の多い都会で飼うのは大変だし、犬にとっても狭い家の中でばかり飼育されるというのも、窮屈に違いない。こういう犬は大草原とか、広い牧草地を走り回っているのがふさわしく感じる。

というより、ここまで犬が大きいと、専用の檻とか、部屋がいるのではないだろうか。広い庭付きのお屋敷に住むのならともかく、こういう犬を普通の家で飼ったなら、家が飼育臭で臭くなり、動物園状態になってしまいそう・・・。

更に言うなら、大きい犬だと引っ張る力や噛む力が強いので、散歩させるのだって苦労しそうだ。で、結局、成人男性である私に負担がのしかかって・・・ってことになりそう。

様々な大型犬のイメージ(*イラスト:しら菊さん)

(*イラスト:しら菊さん 【イラストAC】

我が家で飼うとしても、大型犬でも小型の部類・・・と書くと変だが、一般的に体重が10kg未満が小型犬、25kg未満が中型犬、25kg以上は大型犬と大雑把に分類されているだけなので、まあ30キロ未満の犬というのがギリギリのラインになるだろう。

そして一般の家庭でちゃんとしつけができるぐらい性格が温厚で、かつ賢く、日本の気候でも病気をしにくい犬種が望ましいという結論になる。

ラブラドールレトリバーのイメージ(*イラスト:哲久斗輝さん)

(*イラスト:哲久斗輝さん 【イラストAC】

時々友人と受験勉強をしに図書館へ行くので、そのときに本で飼えそうな犬を調べると、どの本でも温厚で、性格的に扱いやすい犬種の代表格は、盲導犬とか、警察犬にも使われるラブラドール・レトリバーと、ゴールデン・レトリーバーと書かれていた。世間で人気となっているのも納得といったところ。

先代のヨークシャー・テリアに散々嚙まれた私としては、「温厚」という部分がとても重要なので、大型犬でもこれだけ「温厚」と強調されていると安心する。この2種類で選ぶとしたら体毛がふさふさした感じのゴールデン・レトリバーの方が好みに合いそうだ。

ゴールデン・レトリバーの写真
ゴールデン・レトリバー

(*写真:studioshibuさん 【写真AC】

でも・・・。ゴールデン・レトリバーでもいいけど、ありふれているからな・・・。受験勉強の合間に、気晴らしや運動を兼ねて時々砧公園に散歩に出かけるのだが、流行っているだけあってゴールデン・レトリバーの姿ばかりを目にする。

もし我が家でゴールデンレトリバーを飼い、自分が同じように犬を散歩させていることを想像すると、その風景の一部にしかならないのでは・・・。せっかく犬を飼うのに、ありきたりでは少し面白味に欠けるのでは・・・と、どうも気分的にすっきりしない。

で、色々な犬の本を読みあさり、実際に飼っている人に話を聞き、何度かの家族会議を重ねた後、牧羊犬の一種で、毛が長いのが特徴のビアデッド・コリーにすることにした。

牧羊犬のイラスト(*イラスト:NINOさん)

(*イラスト:NINOさん 【イラストAC】

と、当たり前のように書いてみたが、ビアデッド・コリーの名を聞いて、どんな犬かをすぐに思い浮かべられる人はあまりいないだろう。

そういったあまり見かけない犬種という部分に魅力を感じてしまうのは、親子ともベビーブーム世代だから・・・、いや、親子とも見栄っ張りだからかもしれない。

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