八丈島、三宅島卒業旅行記 1998 タイトル
八丈島、三宅島卒業旅行記

#14 1日遅れの三宅島

1998年3月、学生生活の最後を締めくくる卒業旅行として、友人と3泊5日の行程で八丈島と三宅島を巡ってみました。(全17ページ)

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14、1日遅れの三宅島

目覚まし時計で起きるイメージ(*イラスト:poosanさん)

(*イラスト:poosanさん 【イラストAC】

旅に出て3度目の朝を迎えた。最初の朝は船の中。船の揺れや、三宅島に寄港する音で目が覚めた。2度目の朝は民宿の部屋の中。轟音を立てながら吹く春一番の音で、何度も目が覚めた。

3度目の朝となる今朝は、前日と同じ民宿の部屋で起床だったが、平和的に目覚まし時計の音で目覚めた。今までで一番穏やかに感じる朝だった。

外を伺うと、昨日、船や飛行機を欠航させるほど猛烈に吹いていた春一番は、ちょっと強い風程度に収まっていた。これならフェリーの運航は問題なさそうだ。

朝食を食べ終え、出発の準備をしていると、昨日と同様に島の放送が流れてきた。今日は通常通りにフェリーが出航し、飛行機も運航するとのことだった。飛行機で色々なものが届くと、島の人も安心することだろう。

バイバイをするイメージ(*イラスト:ちゃむまっぴーさん)

(*イラスト:ちゃむまっぴーさん 【イラストAC】

宿のおばさんに「2日間お世話になりました」とお礼を言い、チェックアウト。歩いてフェリー乗り場へ向かった。

昨日の便は運休。今日は2日分の乗船があるので、いつも以上に人が多いのかな・・・。などと想像してフェリー乗り場にやってきたのだが、昨日ほど人はいなく、閑散という言葉がふさわしい状況だった。今日は到着便がないので、出迎えの人がいないからかな・・・。

出発の手続きをしてフェリーに乗り込んでみると、船内もガラガラ。乗客は数える程度しかいない。急ぐ人は飛行機を利用したのだろうか。船内を気兼ねなく使えるのはいいが、あまりにもガラガラだと、経営は大丈夫だろうか・・・などと心配になってしまう。

フェリーから見た八丈島 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
フェリーから見た八丈島

フェリーは時間通りに八丈島を出航し、三宅島への船旅が始まった。昨日よりも風が収まったとはいえ、いつもよりも波が高い状態なのは変わらない。これは酔うかもしれない・・・。などと気持ちで負けているときは、かなりの確率そうなる。

例えば海外旅行でお腹を壊すかも・・・と、心配ばかりしている人ほど、お腹を壊しやすかったりする。なので、無駄な我慢をせずに安全策。昨日同様に酔い止めを飲んで、さっさと寝てしまうことにした。

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気持よく寝ていると、友人に起こされた。「八丈島に着くよ。」「そうか、着いたか・・・。八丈島に・・・。」「えっ」と、一瞬思ったが、友人の目を見て、それが冗談だとすぐに分かった。1度あることは2度なくてよろしい・・・。

強風と高波の影響で少し遅れたものの、午前中のうちに三宅島に到着することができた。船を降りると、港にある観光案内所を訪れた。八丈島では宿がなかなか決まらずに苦労した。今日は昨日の分まで観光をしないといけない。ということはないが、やっぱり沢山観光をしたい。だから観光以外の事に関してはなるべく効率的に済ませておきたい。

観光案内所のイメージ(*イラスト:asakuracさん)

(*イラスト:asakuracさん 【イラストAC】

観光案内所のブースにいたのは人のよさそうなおばさんだった。昨日は船が八丈島で止まってしまったので、今日は東京からの船は来ないし、八丈島から来た観光客も我々だけ。やっとお客さんが来たといった感じで、嬉しそうに対応をしてくれた。

おばさんに「宿ありますか。八丈島ではなかなか宿を見つけられなくて・・・」と尋ねると、「ダイビングをしに来たの?」と聞かれ、「いいえ、観光です。」と答えると、「ダイビングだったらそういった専門の宿に泊まる方がいいけど、観光だったら料理のおいしい店がいいわよね。おすすめのいい宿があるのよ。」とパンフレットを見せてくれたのが、ペンションおしどり。パンフレットを見る限りでは悪くなさそうだ。料金も標準的な価格だし。

宿のパンフレット 八丈島、三宅島卒業旅行記の写真
宿のパンフレット

友人に確認すると、OKとのこと。おばさんに「ここにします。」と答えると、ペンションに電話をし、空室の確認をしてくれた。部屋は空いていて、すぐに宿のおばさんが車で迎えに来てくれるとのこと。それは助かる。

待合室でどっさりもらった観光マップなどを見ながら待っていると、観光案内所のおばさんが「お兄さんたち、来たわよ」と、泊まる宿のおばさんが到着したことを教えてくれた。

迎えに来た宿のおばさんのイメージ(*イラスト:Margaretさん)

(*イラスト:Margaretさん 【イラストAC】

観光案内所のおばさんにお礼を言い、宿のおばさんの車に乗り込んだ。車の中で挨拶を済ませ、「どこから来たの?」「東京からです。卒業旅行にきました。」といった会話の後に、「お兄さん達はダイビングしに来たの?」と、また聞かれた。

さっきも聞かれたな・・・。ダイビングをする人が多いのだろうか。聞いてみると、この時期に来る若者はダイビングなどのマリンスポーツをするのが目的で、我々みたいに観光だけをしに来る若者は珍しいとの事。もっと温かい時期には観光や山歩きで来る人もいるけど、やっぱり全体的には観光で来る人は少ないそうだ。

ここに暮らす人にしてみれば「あまり見るものはないのよ。することもないのよ。三宅島は・・・」といった感じなのだろうが、旅すること自体が好きな旅人にはあまり関係ないこと。それに普通の人とは旅の経験値が違う。

どや顔のイメージ(*イラスト:いつも感謝さん)

(*イラスト:いつも感謝さん 【イラストAC】

「離島が好きで、観光にやって来ました。」「三宅島の火山を見にきました。」そういった感じで喋っていると、我々は普通の人が行うミーハーな旅とは違うんだ。生粋の旅人らしく玄人の旅をしているんだ。そういった誇らしい気分になり、この後の観光にやる気がみなぎってきた。

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八丈島ではスクーターを借りて島を周った。三宅島でもスクーターという選択肢はあったのだが、軽自動車をレンタルする事にした。宿のおばさんの紹介でちょっと安くなるし、そもそも半日のレンタルなので値段自体がそんなに高くなかった。

軽自動車のイメージ(*イラスト:はちみつさん)

(*イラスト:はちみつさん 【イラストAC】

それにまだ風が強いといった状態。スクーターの場合、運転するほうが疲れるのは当たり前だけど、何気に後ろに乗っているほうも色々と疲れる。

荒波にも動じない程タフな友人とはいえ、やっぱりここのところの日程を考えると、かなり体に負担がかかっているはず。そういったことを考え、楽な軽自動車にした。

ってことで、宿に荷物を置くと、ダラダラせず、すぐに観光開始。早速、レンタカーを借りにレンタカー屋へ・・・、出かける必要はなく、宿の前に車が用意されていた。なんとも楽ちん。というか、いい心使いだ。おもてなしの心を感じる。

八丈島、三宅島卒業旅行記98'
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