旅人とわんこの日々 タイトル

プロローグ
#1-4 昭和時代のワンコ・後編

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

広告

10、外飼いと野良犬

中国のワンコの写真
中国のワンコ

昭和時代の犬といえば、家の庭などに鎖でつながれ、見知らぬ人がやって来たら吠えるという番犬の役割をしていた。

番犬の役割上、玄関先や庭などにつないで飼っている人が多かったのだが、交通量の少ない田舎では放し飼いにしている人もいた。

おかげで、学校から帰る途中、道に出てきた犬に吠られえたり、見知らぬ犬に付きまとわれたり、自転車で走っていたら犬に恐ろし勢いで追いかけられるといったようなことが、少なからずあった。

大人でも怖いのに、体が小さい小学生が犬に本気で吠えられる怖さは、トラウマになってしまうぐらい強烈である。

また、犬が車道に飛び出してきて、車にはねられることも多々あり、父親の友人のように、犬を車で引いてからは犬を見るのも嫌いになったという人もいる。

ベトナムのワンコの写真
ベトナムのワンコ

現在では犬が嫌いとか、犬が怖いという人は少なくなった印象を受けるのだが、この時代は実際に犬で怖い思いや、嫌な体験をする事も多かったので、学校のクラスメートでも犬嫌いがそこそこ多かった。

猫の場合は、こちらからちょっかいを出さなければ襲ってくることはないけど、犬の場合は、ただ歩いているだけで吠えてきたり、追いかけてきたりと、向こうから悪さをしてくるからタチが悪い。

場合によっては噛みついてきて、怪我をしたり、悪い病気に感染することもあり、猫嫌い以上に犬嫌いの嫌いの深刻度が高かった。この時代の犬を知っていると、自分が犬好きでも犬が嫌いという人の気持ちがよくわかる。

タイのワンコの写真
タイのワンコ

更に前の時代は、野良犬や半野良犬が多く、噛まれると狂犬病という致死率が高い病気になる可能性もあった。

年配の人のなかには、犬=危険とか、災いといったイメージを持った人もいて、年代が上がるほど犬が嫌いという人が多かった印象がある。

我が家の小さなジョリーを散歩させていても、可愛いと近づいてくるのは若い人ばかりで、年配の方は「あら可愛いね~」とまでは言ってくれても、犬は噛むものといった認識が強いようで、近づいてくることはあまりなかった。

小学校のホームルームで、犬を飼う事が議題になった時のアンケートでも、自分は犬を飼いたいけど、親や祖父母が嫌いだから飼えないという子が意外と多かった。

ただ、それ以上に家が賃貸だから飼えないという子が多かった。賃貸に暮らしている時点で、犬を飼うという選択肢がなかった時代だった。

香港のワンコの写真
香港のワンコ

近年では地域で猫が増えて大変という話をよく聞くが、犬が増えて大変という話はほとんど聞かない。多頭飼育が崩壊したというぐらいだろうか。

昭和の時代では外飼いにしている人が多く、また野良犬も少なからずいて、繁殖期には「子犬が3匹産まれました。欲しい方は声をかけてください。」といったような里親募集の張り紙を時々見かけたり、学校でも生徒が「犬をもらってください」と書かれたチラシを配って歩いていることもあった。

この時代は柴犬、雑種の犬はペットショップで飼うよりも、もらってくるもの。そういったイメージが強い。そしてタダだからこそ、消耗品といった感じでその扱いが粗末にされがちだった。とも言える。

ミャンマーのワンコの写真
ミャンマーのワンコ

好奇心が旺盛な子供だったので、子犬が産まれたという案内があると、どうにも見に行ってみたくなる。かといって、知らないお宅へ一人で行く勇気はないので、「子犬を見に行こうぜ!」と友人を何人か誘って、何度かそういった子犬を見に行った。

「わぁ~、かわいい~」とはしゃいでいる我々とは対照的に、飼い主のおじさんとか、おばさんは「可愛いんだけどね・・・。」と、渋い顔をしているというのが、よくあるパターンだ。

そんな大人の気持ちが分かるはずもなく、無邪気に「お父さんは?」などと聞くと、「分からないの。気が付いたらお腹が大きくなっていたのよ。もうビックリしたわ~」とため息交じりに答えていた。

庭で飼っていても、田舎では植木の垣根しかなかったりするので、恋の時期になると隙間から脱走したり、進入してきたりする。

ワンコだって恋をしたい・・・。恋のためなら多少の無茶をしてしまうのだ。映画「マリリンに逢いたい」のように、海を泳いで隣の島まで渡っていく犬もいたほどである。

トルコのワンコの写真
トルコのワンコ

この時代は蚊を媒介としたフィラリアでの死亡率がかなり高かったので、外飼いでは寿命が短かく、10年も生きれば大往生と言われていた。

あまり長生きできなかったので、子犬の貰い手にはそこまで困らなかったような気もするが、やっぱり一度に多く生まれた場合はなかなか貰い手が見つからなく、結局、保健所へ持っていった・・・などと、風の便りで聞いて悲しい思いをしたこともある。

インドのワンコの写真
インドのワンコ

犬の場合は、人間に危害を加える恐れや、狂犬病の心配があるので、猫のように避妊して地域に放つということができない。野良犬がいると連絡が入れば、すぐに保健所の人が捕まえにやってきていた。

一度、小学校の近くで捕獲騒動があった。危ないから近づいては駄目と先生に言われても、捕獲される犬が気になってしょうがない。校内から他の生徒たちと見守っていると、何人もの網を持った大人に追い込まれ、最終的に捕獲網で捕まり、悲しい悲鳴を上げながら連れていかれてしまった。

何も悪いことをしていないのに・・・、何とかならないのだろうか・・・と可愛そうに思うのだが、どうにもならない。子犬の場合は貰い手があるかもしれないが、成犬だと多くが殺処分されてしまうと聞くと、あの悲しい悲鳴がしばらく耳に残ってしまう。

野良犬や放し飼いされている犬がいたこの時代では、犬が車に引かれたり、向こうに行けと人から物を投げられたり、仕掛けられた罠に捕まったり、処分されるために連れていかれたりと、普段の生活で犬が可愛そうだと感じる場面に遭遇することが少なからずあった。そういった場面は、大人になった今でも忘れられない記憶として残っていたりする。

エクアドルのワンコの写真
エクアドルのワンコ

旅が好きなので、大学生になってからは海外を旅するようになった。海外では狂犬病の発症率が高いので、いくら犬が好きだといっても、絶対野良犬には近づいてはならない。それは旅の鉄則というやつで、旅人の間ではよく知られている。

しかし、実際に海外を旅をしてみると、狂犬病の発生率が高いのにかかわらず、野良犬があちこちにいて驚いてしまう。

しかも、人々から「狂犬病になる。向こうに行け!」と、邪険にされているわけではなく、自然な感じで町の風景の中に溶け込んでいて、日本の地域猫のように人間と共存しているようにみえる。

文化や価値観、社会制度が違うとはいえ、大人になってから改めて犬が町で人間と共存している様子を見ると、こういった世の中も悪くないのでは・・・と思ってしまう。

それにしても・・・、小さい頃にいた日本の野良犬や外犬は、神経質で、よく吠えていた。そうなってしまったのは犬の性格というより、日本人の気質とか、社会に問題があったのでは・・・などと、世界を旅した後に少しモヤモヤとしたものを感じるのだった。

11、散歩のマナー

フンの後始末をしないイメージ(*イラスト:いのぺふさん)

(*イラスト:いのぺふさん)

犬の散歩のマナーについて警鐘が鳴らされたのも、昭和の後半になる。徐々に犬を飼う人が増えていき、散歩のマナーが田舎でも問題になってきた。

ちょうどこの頃、鳥山明のアニメ「ドクタースランプ アラレちゃん」が大流行していた。このアニメには「うんち」が沢山出てきて、「子供に見せるには下品だ」「子供に悪影響を与える」とPTAが声高らかに訴え、社会問題となるのだが、同じように道路に犬のうんちが多く、こちらも社会問題になっていた。

スペインのワンコの写真
スペインのワンコ

この時代は放し飼いにしている人もいるし、犬はその辺でフンをするのが当たり前といった感じで、愛犬を散歩させる人でも犬のフンの始末をするという概念があまりなかった。だから、本当に犬のうんちが道端に多かった。

学校への通学路でも、友人と夢中になって話しながら歩いていると、うっかり犬のうんこを踏んでしまうぐらいあちこちに落ちていた。

踏みたくないので、下を注意しながら歩くと、今度は車や人、電子柱にぶつかりそうになる。学校への通学路にはマリオカートのようにトラップが多かった。・・・というのは少々大袈裟ではあるが、もの凄くオーバーな話というわけでもない。

ネパールのワンコの写真
ネパールのワンコ

で、運悪く踏んでしまうと大変なことになる。もしそれがクラスメイトなどの前だったら、「うんこ、踏んだ~。わぁ~、ひさ~ん。」と、からかわれる。しかも、罰ゲームのようにしばらくからかわれ続けることになる。

今思えば、これこそがうんちネタが多く出てくるアニメの悪影響ってやつになるのかもしれない。

そうならないためにも絶対に踏みたくない。子供にとっては車に引かれるのと同じぐらい深刻な問題であり、この時代の子供たちはかなり注意力を働かせながら歩いていた。

あとは、当然といえば当然だが、ウンチを踏めば靴が汚れて臭くなる。地面に擦り付けながらウンチを落として家に帰っても、若干食糞癖のある我が家のジョリーにはごまかせなく、たちまちその靴で遊びだしてしまう。

その結果、ジョリーまで臭くなり、更には家の中や自分までも臭くなるという最悪のことになってしまう。ほんと迷惑極まりない代物だった。

ブルガリアのワンコの写真
ブルガリアのワンコ

「犬はリードにつないで散歩され、飼い主がきちんとフンの始末をしよう。」「犬を飼う場合は、きちんとつないで飼い、外で放し飼いにしない。」そう啓発が進み、平成に入るころには犬を飼う常識になった。

そして、平成もだいぶん過ぎると、野良犬や放し飼いの犬を見かけることもなくなり、道に糞が沢山落ちている状態もなくなり、犬があまり好きではない人間にとっては、過ごしやすい環境になった。・・・と思う。

犬にとってはどうだろうか。きちんと飼うことで、「犬は家族の一員」という認識が向上し、暮らしやすくなったのだろうか。はたまた自由がなくなり、窮屈になったのだろうか。そのへんはよくわからないが、世間の「犬は悪」とか、「狂暴」「疫病神」いったイメージが少なくなった部分では、暮らしやすくなったのではないかと思う。

プロローグ
#1-4 昭和時代のワンコ・後編
#1-5 転勤とワンコ につづく Next Page
広告
広告
広告