旅人が歩けばわんにゃんに出会う
海外編 ボルネオ島(マレーシア)
ボルネオ島(マレーシア)で出会った猫や犬などの写真を紹介しています。
1、猫の町・クチン(2000年7月)
「猫の町」と聞いて、思い浮かべる町はあるだろうか。グーグルで猫の町と検索してみると、日本だと尾道とか長崎。海外だとトルコのイスタンブールやマルタ島、クロアチアのドブロブニクなどが出てくる。海外では猫を大切にするイスラム教の影響が強い場所が多いように感じる。
世界は広く、驚くようなことが多いが、なんと町の名がそのまんま「猫」という町もあったりする。その町はマレーシアにある。
マレーシアというと、タイとシンガポールに挟まれた細長い国といったイメージを持っている人が多いと思うが、マレー半島から東に800キロほどのところに位置しているボルネオ島にもそれなりの広さの領土を持っていたりする。
そのボルネオ島の左側はサラワク州となり、その州都はクチン。この「クチン」というのは、マレーシア語で猫を意味する。
ちなみに、ボルネオ島の北側(3分の1程度)がマレーシアとブルネイの国土となっていて、南側はインドネシア領。インドネシアではこの島をカリマンタン島と表記しているので、国際的にこの島には、ボルネオ島とカリマンタン島と二つの呼び方がある。
「クチン」とは、マレー語で猫のこと。なぜ町の名前が猫なのか。その由来は諸説あって、かつてサラワク川沿いに「マタ・クチン(別名ロンガン)=猫の目」という果物の木が多く自生していたことに由来する説。
この地に古い井戸があり、中国語読み「Ku Jin グーチン」に由来するという説。最初に入植したインド人が使っていたヒンディー語の「コーチン(Cochin、港)」に由来する説などがあるが、動物の猫に由来した説はない。
実際のところ、サラワク州の現地語では、猫のことは「ブサッ」と読んでいるとか。そう聞くと、なんだ・・・と、少しがっかりした気持ちになってしまう。
名の由来はどうあれ、マレーシア語で猫を意味することには変わりがない。現在ではすっかり猫の町としてのキャラクターが定着し、街のいたるところに猫のオブジェがあり、市庁舎内には猫の博物館もある。また、毎年8月にはネコ祭りも行われ、ネコの仮装パレードで盛り上がるそうだ。
クチンにはキャットミュージアムがある。せっかくなので訪れてみることにした。
内部は撮影禁止となっていたので、入り口に写真しか載せることができないが、館内には猫に関する様々な展示があった。どちらかと言うと学術的な展示より、猫グッズの展示の方が多い感じだった(2000年時)。
なかでも印書的だったのが、なめ猫。今の若い人たちには何それ?ってなるのだろうけど、なめ猫は1980年代に日本で爆発的に流行した。学生服を着て、暴走族風の身なりをした猫といえば、見たことがあるという人も多いのではないだろうか。
そのなめ猫が沢山展示してあり、こっちでの人気や関心の高さを伺うことができた。ネットニュースで、マレーシアやインドネシアで猫が立っているような服が流行っていると聞くと、それはなめ猫の影響が根底にあるんじゃない・・・などと思ってしまう。
モニュメントや博物館もいいが、せっかく猫の町に来たんだ。本物の猫を探して写真を撮ろう。
ここを訪れた時は、まだフィルムカメラの時代。野良猫のために貴重なフィルムを使うのはもったいない。というより、猫の写真を撮っていたらフィルムがあっという間になくなってしまう。フィルムも数が多いとかさばるし、金銭的にも負担が増えるので、あまり猫の写真は撮らないようにしていた。
でも、ここは猫の町。猫の写真を撮る価値や理由がある。ってな感じで、張り切って猫を探しながら町を歩き回るのだが、なかなか猫に出会えなかった。猫の町と言いながら、この町はそこまで本物の猫は多くないようだ。
そもそもとして、猫は探しながら歩くと、なかなか見つからないものである。当てもなく散策しているときの方が見つかる可能性が高いような気がする。猫とはそういった気まぐれな存在ではないだろうか。
2、シブの市場の子猫
サラワク州の中央より少し西側、ラジャン川沿いにシブ(Sibu)という町がある。川の水運で栄えている町で、川沿いの桟橋では頻繁に船が発着し、川では旅客船、貨物船、木材運搬船が頻繁に行き来し、とても活気を感じる。
私は町を訪れると必ず寄る場所がある。それは市場。何が売られているのか、活気はあるのか、清潔か、などなど、得られる情報が多いからだ。
で、ブラブラと写真を撮りながらシブの市場を歩いていると、地元の人に呼び止められた。日本人か。ここに子猫がいるぞ。ちょっと前に生まれたばかりで、可愛いだろ。写真を撮っていきなよ。
フィルムがもったいないし、野良猫はあちこちにいるので、いちいち撮っていては切りがない。ネコよりも犬派なので、猫の写真は余程の理由や印象的でない限り撮るのはやめよう・・・と、旅の途中から方針を変えたのだが、地元の人のあまりにも屈託のない笑顔に負けてしまった。
ここで写真を撮らなければ、日本とマレーシアの友好関係にひびが入ってしまうかもしれない。子猫もまあ可愛いし・・・。しょうがない写真を撮ることにしよう。と、シブでしぶしぶ撮った猫の写真である。・・・。
ここシブで驚いたのは、町の至る所にツバメの巣があること。まあシブに限らず、ボルネオ島に来てからというもの、町中の高い建物にツバメの巣が沢山引っ付いているのが気になっていたが、ここの数は尋常ではなかった。
頭上を見上げると、ツバメが飛び交っているし、建物の窓枠やの木の部分にはツバメの巣がびっしりと付いている。
ツバメの巣があると縁起がいいと言う。これだけ多いと縁起もたくさん舞い込んできそうではあるが・・・。ちょっとグロテスクに感じる。
そういえば、この付近では高級食材として有名な海ツバメの巣が採れる。このツバメの巣からも採れるのだろうか。もし高級食材が採れるのなら悪くないかも・・・。などと、単純に思ってしまうのだが、後で調べてみると、どうやら鳥の種類が全然違うようだ。
縁起を担ぐといえば、華僑が多いこの地では、ほくろの上に生えた体毛を伸ばすのが縁起がいいとされている。ほくろの上に生えた毛は他の毛よりも太く、長くなる傾向があり、特別感がある。
とはいえ、服で隠れている部分だと別に気になることもないのだが、よく目につく場所だと、どうにも気になってしまうがない。他の文化のことなので、観光客が口出しするのはおこがましいが、あまり賛同できる風趣ではないかな・・・と思ってしまうのだった。
3、ムカーのわんこ
サラワク州の海岸近くにムカーという小さな町がある。日本語だと、あまり印象がよくない名の付いた町だが、のんびりとしたいい町である。
特に見所があるわけではないが、この地域には伝統的な水上の集落があると聞いて、訪れてみることにした。
水上集落は川沿いにあり、木をうまく使った木造の建物が並んでいた。規模は大きくないが、ジャングルの中に自然を生かした木造建築といった感じで、味があるといった感じだろうか。
その水上集落を歩いていると、2匹のワンコが仲良く昼寝をしていた。吠えられたら直ぐ退散しよう。犬のいる路地へ少し入ってみたが、どうやら照屋さんのようで、吠えるわけでもなく、目を合わせるでもなく、気づかないふりをしている感じ・・・。そのいじらしさが可愛らしい。
道路を歩いて町の中心に戻っていると、道路を渡る蛇を発見。東南アジアを散策していると、よくこういった場面で出くわす。特にスコールの降り始めに多い。そして困る。
蛇は身体が長く、移動スピードもそんなに速くない。車が来ると、ひかれる確率が非常に高い。困ったことによく目の前でひかれるのだ。
頭を一発でひかれてくれると、まだいい。胴体をひかれると、しばらくうねうねと苦しみながら生きているので、その様子を見るとやるせないし、痛々しい。
そのまま放置してすると、更に他の車にひかれてしまうか、灼熱のアスファルト上で死を待つのみ。とはいえ、動物病院に連れて行くわけにもいかないし、掴んで道端に逃がすといっても、噛まれたら嫌だし、そもそも蛇を掴むのが嫌だ・・・。
苦しんでいてもやれることはない。何かしなければ、でも、なにもできない。といったやるせなさで苦しむことになる。
ハラハラしながら蛇が道路を横断している様子を見守っていると、無事に道路を横断してくれた。ふぅ~、よかった・・・。心臓に悪い。ムカーでその名の通り胸がムカムカするような思いをしなくて本当によかった・・・。
4、水上集落のにゃんこ
マレーシアの最高峰はボルネオ島の東部、サバ州にあるキナバル山。標高は4,095m。山頂付近には花崗岩による岩場が広がっているといった特徴的な山で、高山植物の種類が豊富なこともあり、2000年12月に世界自然遺産に指定された。
私が登ったのは世界遺産になる前の2000年7月。この当時でも登る際にはガイド付きで、途中の山小屋での宿泊が義務付けられていた。
とはいえ、オンライン予約とかなかったので、直接事務所に行って予約手続するだけで登れ、費用も5千円ほど(入山料3RM、ガイド60RM、登山・保険料53.5RM、宿泊12RM、バス代25RM=153.5RM)だった。
今ではマレーシアの物価高騰や、円安などもあって、登山にかかる費用はかなりの額になっている。しかも世界中から山小屋への予約が入り、予約も取りにくくなっているそうだ。どうやら手軽に登れる山ではなくなってしまったみたいだ。
そのキナバル山を望む町、コタ・キナバルが海岸沿いにある。日本で言うなら富士市といった感じになるだろう。サバ州の首都で、国際線も飛んでいる大きな町になる。
この町の海上には国立公園となっている島が幾つか浮かんでいて、シュノーケリングやダイビングをすることができる。
国際線が発着している町から簡単に行けるダイビングスポットとして貴重な存在になり、ここはキナバル山よりもダイビングスポットとしての方が知名度があるのかもしれない。いずれにせよ、コタキナバルは山も、海も、またジャングルも楽しめるといった冒険心をそそる町になる。
コタキナバルのすぐ沖にガヤ島という大きな島がある。ここには巨大な水上集落があり、多くの人が暮らしている。その様子はコタキナバルの町からも見え、どうにも行ってみたくなり、船に乗って訪れてみることにした。
水上集落を散策してみると、とても巨大な水上集落で、コタキナバルから見えた島の前面だけではなく、奥の方にも続いていた。そっちの方へ行ってみると、小中学校もあり、水上集落の巨大なコミュニティーに驚く。また海上には魚の養殖場もあり、海で生計を立てている人も多いようだ。
それにしてもここは子供が多い。貧乏子だくさんとはよく言ったもので、ビックリするほど子供の数が多く、活気とか、エネルギーを感じ、とても心地いい。
とはいえ、余り裕福でない人たちが住んでいる場所なので、治安はいいとは言えない。地元の人に水上集落へ行きたいというと、必ず、危ない。やめておけ。と言われる。
でも水上集落の場合は風通しがいいので、そこまで心配はしていない。ただ、水が引いた海岸にゴミが異様に多く、ここは一面ゴミだらけ。治安よりも衛生面の方が気になってしまうのだった。
水上集落では、多くの人懐こい子供たちに出会ったが、予想外にもにゃんことの出会いもあった。こんな場所で猫に出会えるとは思っていなかったので、少々驚いた。
猫は水上集落の生活には向いているのだろうか。キャットタワーみたいな立体的な環境は得意なので、犬よりは環境に適していると言えるだろう。とはいえ、海上の上になるので、餌になる昆虫とか、小動物は少なそう。
暮らしやすいのか、暮らしにくいのか。水上集落で暮らしたことがないので、さっぱりわからない。実際に私自身がここで暮らしてみないことには、その結論は出ないだろうな・・・。
海外編 ボルネオ島 インドネシア編 制作中