旅人が歩けばわんにゃんに出会う
海外編 ベトナム北部1(サパ)
ベトナムで出会った猫や犬の写真を紹介しています。
1、ビックリ猫(サパ 2000年2月)
バックパックを背負っての長い一人旅。大変なことは多いが、何が一番大変かというと、毎日のように宿が変わること。
町に到着したら安宿を探して回り、宿が決まったら荷物を出して、翌朝にはまた荷物をパッキングして出発する。そして、また次の町で宿を探す。その繰り返しは落ち着かなく、疲労感も蓄積されていく。
低予算の安宿を探すのも大変。高い宿が快適で、素晴らしいのは当たり前。安宿には安いなりの理由があるので、当たり外れが大きい。安宿を見つけるには、ガイドブックだけでは不十分で、他の旅行者から情報収集したり、自分の足で探し回り、しっかりと現物を確認して、決めなければならない。
駅やバスターミナルに到着し、重いバックパックを背負って、汗だくになりながら人気の宿や目星を付けていた宿にたどり着いても、満室で断られることもある。その時のガッカリ感ときたら筆舌に尽くしがたい。
ベトナムの北部、山岳地帯にあるサパで宿探しをしていた時の話になる。ガイドブックで目星を付けていた宿を訪れると、うれしいことに部屋は空いていた。念のために部屋を見せてもらうと、悪くない。「ここにするよ」とすぐに決めた。
一度ロビーに降りて、宿泊帳に記入し、再び部屋に戻った。今晩の宿が決まったので、一安心。これで落ち着ける。昨晩は夜行での移動だったので疲れたな・・・。これからどうしよう。早速町歩きに出かけるか・・・。それとも昼寝・・・。いや、とりあえず服を洗濯しておこうか・・・などと考えていると、コツコツ、カサカサと、小さいながら怪しい物音がどこからとなくしてくる。
何の音だ。音の正体がわからないと、不気味でしょうがない。恐る恐る音の元を探っていくと、部屋に置いてあるクロゼットの中から音がしている。って、中に何か生き物がいるのか。
音の大きさからいって、ゴキブリとか、クモといった昆虫ではなさそうだ。トカゲか、ヤモリ・・・。いや、もっと大きく、ネズミとか、リスといった小さめの哺乳類ではないだろうか。
こういった場合、日本だとある程度その正体の想像もつくが、異国の地では見たことのないとんでもない生き物が出てくる可能性もある。
強烈な毒を持つような生き物だったら大惨事だぞ・・・。ここはベトナム。鼠ほどの大きさをした毒クモがいてもおかしくない・・・。不安が不安を呼び、様々な憶測が頭の中を巡るので、恐怖も大きくなる。
毒を持たない小さな鼠だとしても、この状況においては危険なことには変わりない。窮鼠猫を噛むといった感じで、衛生的によくない生き物にかまれでもしたら、治療のために病院行きとなる。
ここで旅を終わらせるわけにはいかない。着ていたパーカーを脱いで左手に巻いて、右手には部屋に置いてあったゴミ箱を持ち、万が一向かってきたら左手で防御。或いは右手のゴミ箱を被せて捕獲してしまおう。
呼吸を整え、準備完了。いきなり飛び掛かってくるなよ・・・。南無さん。心臓をバクバクさせながらゆっくりと扉を開けた。
すると、そこにいたのは猫。私の姿を見ると、見つかってしまったにゃ~といった感じで、「にゃ~」と甘えるように鳴いてきた。なんだ。猫か・・・。驚かせるなよ。ホッと胸を撫でおろすと同時に、凄まじい脱力感を感じたのだった。
なんてことはない。この猫は宿の猫。換気のために部屋の扉は開けっぱなしにしてあったし、私がロビーに降りる時にも扉を開けたままだったので、勝手に部屋に入り込んだのだろう。
クローゼットから出てくると、私の方へやって来たので、身体を軽く撫でてあげると、再びクローゼットの中に入っていった。どうやらこの中がお気に入りとなっているようだ。写真はその時に撮ったもの。
猫が部屋にいるのは分かるとして、どうやってクローゼットに入ったの?ってことになるのだが、このクローゼットの扉が曲者で、扉に留め金とか、磁石が付いていない。なので、部屋の扉を開け閉めした時の気圧の変化などで、勝手に開いたり閉まる。私がロビーから部屋に戻り、扉を閉めたときにクローゲットの扉が閉まってしまったのだろう。
ちなみに、夜中に寝ているときにも勝手に扉が開いて、心臓が止まる思いをした。真夜中にポルターガイストのようにクローゼットがミシミシと嫌な音をたてながら開くというのは、かなりの恐怖体験。扉の中から変な音がしたことよりも、遥かに怖かった。
で、こんな怖い思いは嫌だと、それ以降はバックパックを扉の前に置いて開かないように封印した。今思っても本当に厄介なクローゼットだった。
2、サパのワンコたち(2000年2月)
国土が南北に長いベトナム。そのベトナムの最北部の山岳地帯、中国との国境近くにサパという町がある。サパの標高は1,600mあり、気温が高くなる夏には絶好の避暑地となることから、古くから高原リゾートとして人気となっている。
ここサパを特徴付けているのが少数民族の存在。サパ周辺にはモン族の村が多くあり、サパの町、特に市場周辺を訪れると、独特な民族衣装を着た人が多く歩いていて、強烈に異国情緒や非日常を感じることができる。
モン族にも色んな種族の人たちがいて・・・、といっても見た目は変わらなく、部族ごとに着ている服に特徴がみられる。サパの町でよく見かけるのは黒モン族で、黒い民族衣装を着ている。
黒い民族衣装を着た人たちがぞろぞろと町の中を歩いている様子は、慣れないとあまりいい印象を受けないかもしれないが、日本人は比較的慣れるのは早いと思う。
見慣れてくると、学生服のように感じてくるから。なので、学生の多い学生街のように感じたりする。
サパでは民族衣装を着た人が多いと書いたが、中心の市場周辺を外れると、普通の住宅地になり、民族衣装を着た人は少なくなる。
その代わりワンコが増える・・・。ということはないが、通りにワンコが二匹いたので、写真に収めてみた。
交通量の多いハノイでは野良犬は見かけなかったが、こういった田舎では野良犬も多い。というか、昔の日本のように放し飼いが多いようだ。
サパの町の郊外には畑が広がり、モン族の集落が点在している。サパの魅力として、モン族の人たちが丹精込めて開墾した丘陵の段々畑のある風景も挙げられる。
民族衣装を着たモン族の人達は市場で野菜を売ったり、買い物をしに町にくるので、市場周辺で民族衣装を着た人をよく見かけるというわけだ。
またのどかな自然も残っているので、サパ周辺のトレッキングも人気となっている。
サパ周辺の山を歩いていると、所々に民家がある。民家では水牛などの家畜や食用の豚や鳥を飼っていることが多い。
その番をしているのがワンコたち。道を歩いていて、家の前で立ち止まると、怪しやつだと吠えるワンコ。近づいても寝たままのワンコ。様々である。
ワンコたちが番をして守っている柵の中では鶏が子育てをしていた。カルガモの子育てなどは見かけたことがあるが、鶏が子育てをしている光景は、今回初めて見た。
ほのぼのとして可愛らしいと思うと同時に、こういう光景を見てしまうと、鶏肉が食べられなくなりそう・・・。
3、モン族村のニャンコ(2000年2月)
ベトナムの北部山岳地帯にあるサパ周辺には多くのモン族が暮らしている。モン族にも色々な種族がいて、着ている衣装によって部族分けがされている。
サパの町の周辺では黒い衣装の黒モン族が多い。ただ、黒い衣装は見た目が地味なので、失礼ながらあまり絵にならない。
で、観光客に人気となっているのが、サパから少し離れたバク・ハのサンデーマーケット。この周辺には色鮮やかな衣装をまとう花モン族と呼ばれる人達が暮らしていて、日曜日に行われるマーケットでその姿を見ることができる。
毎週日曜日に行われるサンデーマーケット。娯楽の少ない山間部では、週一度の楽しみになる。そして部族間、集落間の交流、そして男女の交流、品定め場にもなっている。
マーケットは山奥にあり、個人で訪れるのは大変だということで、ツアーに参加して訪れることにした。
舗装していない山道をどんどん進んで行くと、人が山なりに乗り込んでいるバスを発見。サンデーマーケットを訪れる人たちだとか。こうまでしてでも行きたいマーケット。期待が高まる。
*現在のバク・ハのサンデーマーケットは町中で行われていて、こことは場所が違うようです。
マーケットを訪れると、大勢の民族衣装を着た人達がそれぞれ楽しんでいた。花モン族と言われるだけあって、頭飾りなどの色が赤や青など色とりどりでカラフルだ。ただ、冬なので黒い上着を着ていて、暖かい季節と比べると、少し地味になる。
段々畑も緑が美しい時期には幻想的な感じになるらしいが、冬は土色の世界。真冬にこの地域を訪れるのは、あまりお勧めはしない。ただ観光客が少ないという点ではいいと思う。
このサンデーマーケットではなく、その後にガイドに連れられて訪れたモン族の村で、猫を発見。ひび割れた壁の前でこっちを見つめる様子はなかなか絵になっていた。
それとともに中国語の入った袋がいい味を出している。ここは中国との国境がすぐ近いので、中国製の肥料や資材が安価で簡単に手に入るようだ。
それにしてもこの猫たち、顔立ちも目つきも尻尾も尖っていて、野性味を感じる。所変われば猫も変わる。ってなやつなのだろう。
海外編 ベトナム北部1(サパ) ベトナム北部2(ハノイなど)につづく