八丈島、三宅島卒業旅行記 1998 タイトル
八丈島、三宅島卒業旅行記

#3 タビッジブルー

1998年3月、学生生活の最後を締めくくる卒業旅行として、友人と3泊5日の行程で八丈島と三宅島を巡ってみました。(全17ページ)

広告

3、タビッジブルー

鉄道のイメージ(*イラスト:イラストスターさん)

(*イラスト:イラストスターさん 【イラストAC】

飲み屋の外で友人と別れ、電車に乗って自宅のある3つ先の駅で降りた。そして凍えるような寒空の下、自宅に向かって歩いた。

八丈島か・・・。いい旅行先に決まったものだ。居酒屋ではそう思っていたのだが、少しアルコールが抜け、冷静になってみると、八丈島に暮らす人には悪いが、島流しの印象しかない。名前の響きや、その場の盛り上がりで八丈島へ行くことを決めてしまったけど、いったいどんなところだろう・・・。

地理院の地図
伊豆諸島の地図

国土地理院地図を使用

家に帰ってから地図帳を開いてみると、思っていた以上に遠い。こんなに距離があったのか・・・。三宅島ぐらいのところに八丈島があるのかと思っていた。

こんなに距離があったら、船で何時間かかるのだろう。もしかして丸一日かかるとか・・・。全く想像がつかない。明日、本屋に立ち寄ってガイドブックを眺めてみよう。(*インターネットがなかった時代の一般的な情報収集方法でした)

本屋のイメージ(*イラスト:MOTOコシバさん)

(*イラスト:MOTOコシバさん 【イラストAC】

そして翌日、少し大きめの本屋に行き、伊豆諸島のガイドブックを眺めてみると、八丈島までは飛行機が1日2往復、大型のフェリーが1往復運行されていた。飛行機の運賃は船の2倍弱。早いけどやっぱり第一選択肢は船だな。

その船は東京を22時に出発し、途中で三宅島に寄って、八丈島に朝の8時に到着する。およそ10時間の船旅か。思ったよりは短かったけど、やっぱり長いな・・・。でもまあ、夜出発し、朝着くのなら、寝台列車と一緒か。そう考えれば、宿代が節約できてお得だな。

見所としては、火山とか、海とか、自然に関することばかり。あまり見所は多くはなさそうだが、のんびりする分にはいいかもしれない。

それよりもフェリーが三宅島にも寄港するのなら、火山の島で知られる三宅島にも寄ろう。一度に2つの離島に行けるというのは素晴らしい。このことを友人に連絡し、正式に八丈島と三宅島に卒業旅行へ行くことに決めた。

自慢話のイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

大学最後の旅行としていい目的地が見つかったものだ。知り合いなどに、「卒業旅行は八丈島に島流しを体験してくるぜ!」みたいな感じで、ちょっと自慢げに話して回ったところ、「この寒い時期に離島に行くやつも珍しいな。ダイビングでもするの?」とか、「八丈島?何しに行くの?」、「なんだ。海外じゃないんだ。」「何で海外に行かないの?」等々、受けの悪い事。

受けを狙って八丈島に行くつもりはないけど、もう少し「いいな~」「うらやましいな~」とか、「俺も行ってみたいな~」などと肯定的な意見が返ってきて欲しいものだ。

やっぱりみんなが言うように離島では釣りやダイビングなどの海に関わること以外することがないのだろうか。行ってはみたものの、することがなくて退屈の極みとか。そうだとしたら本当に島流し状態ではないか・・・。

島流しのイメージ(*イラスト:naobimさん)

(*イラスト:naobimさん 【イラストAC】

最初はもの凄く楽しそうに思えた島旅だったが、徐々に罰ゲームで島流しにされるような気分に・・・。というのはオーバーだけど、少し高揚感がなくなってしまったのは確かだった。これはあの結婚前のマリッジブルーみたいなやつか。旅だからタビッジブルーってなものか。

でも、旅の楽しさは自分で創造するもの。そして友人と築き、組み立てていくもの。目的地がどこであろうと旅は楽しくできるはず。

後で残念な卒業旅行だったな・・・ということにならない為にも、色々と盛り上げていかないとな。さて、今回の旅では何をしよう。何か伝説的なことはできないかな・・・。張り切って島でやることを考え始めたら、今度は旅に出るのが待ちきれなくなってきた。早く出発日にならないかな・・・。やっぱり旅は出かける前が一番楽しい。

八丈島、三宅島卒業旅行記98'
#3 タビッジブルー
「#4 八丈島への船旅」につづく Next Page
広告
広告
広告