旅人が歩けばわんにゃんに出会う
東京編 世田谷6(砧公園)
世田谷区にある都立砧公園やその界隈で出会った動物たちの紹介をしています。
11、世田谷区動物フェスティバル(都立砧公園 2010年11月)
環状八号線、通称環八の東京インター入り口付近に、都立砧公園がある。敷地面積は約391,262㎡と広大で、東京ドーム(46,755㎡)の約8倍の広さになる。
砧公園の歴史は、昭和15年(1940年)に東京都が計画した緑地化計画まで遡るが、実質、整備されたのは戦後になってから。
昭和24年に野球場とキャンプ場が新設され、その後、都民のレクリエーションへの欲求の高まりから、昭和30年に都営のゴルフ場が建設されている。公営なので使用料も安く、好評だったようだ。
昭和41年になると、「より多くの都民の、レクリエーションの欲求にこたえるのが、緑地本来の姿である」という事で、ゴルフ場を廃止し、コースの芝生を活かした公園、砧ファミリーパークとして整備された。
とまあ、砧公園はゴルフ場を整備して造られたという珍しい公園だったりする。実際、園内を歩いてみると、ゴルフ場のコースだった名残を多く見つけられるはずだ。
砧公園といえば、なんといっても桜。広々とした芝生で花見ができる花見スポットとして知られていて、花見の時期の週末には、芝生を埋め尽くすほどの花見客でにぎわう。
桜が多く植えられているのは、西側のファミリーパークと呼ばれるエリア。ここはゴルフコースの芝部分が、そのままくつろげる芝生広場になっているといった場所で、桜はコース上の障害物のように植えられている。
広々とした芝生に座ると、空は広く見えるし、開放感があるし、桜は立派だしと、とても気持ちがいい。人気の花見スポットになっているのも、訪れれば誰しも納得するはずだ。
ちなみに、このファミリーパークの部分のみ、ペットの連れ込みが禁止になっている。広々とした芝生でワンコと一緒に花見をしようと連れて来ても、入れなくガッカリしてしまうことになるので、ご注意を。
砧公園は、駒沢公園のように頻繁にイベントを行っている公園ではなく、単純に花見の時期が一番賑わっている。それ以外では、園内にある世田谷美術館でネームバリューのある特別展が行われる時、内容によっては大混雑する。
そこまで大きなイベントではないが、毎年、秋に世田谷区動物フェスティバルも行われている。このイベントは、世田谷区と世田谷区獣医師会が共同開催していて、動物好き、特に犬好きが集まる。
イベントは年によって異なるが、芸人などによるステージイベントを始め、子供の鼓笛隊や盲導犬を中心とした動物によるオープニングパレードなどが行われる。
会場には、獣医師会のブースや、美容室や訓練士などのブース、ペット関連のグッズやフードのブース、園芸高校などといった関連団体のブースが並び、しつけ講習やペットの健康に関する講演、トリミングの実演などが行われる。犬を飼っている人や、これから飼おうとする人には、色々と為になる。
また、愛犬家が見せ場とばかりに愛犬にお洒落をしてやってくるので、犬のファッションやグッズ、しつけやケアの参考になったりする。
イベント名に動物フェスティバルと付いている通り、このイベントは犬猫だけのものではない。変わった動物に触れあったり、見ることもできる。年によって違うが、鷹だったり、南米アンデスのラマだったり、変わった爬虫類とか様々。
また、動物ふれあいコーナーなどでは、ウサギやモルモットなどといった小動物にふれあう事ができ、牛の搾乳体験もできたりする。
子供たちに人気のイベントになり、当日は多くの子供たちが訪れ、動物との触れ合いを楽しんでいた。
12、いらか道のにゃんこなど(世田谷区上用賀 2010年11月)
都立砧公園の最寄り駅は、東急田園都市線の用賀駅。用賀駅から公園までの約1kmの区間は、いらか(瓦)をテーマにした「いらか道(用賀プロムナード)」が続いている。
路面には、その名の通り「いらか(瓦)」が敷かれ、道の脇には楽しいオブジェやせせらぎ、休憩用のベンチなどが設置されている。
面白いことに、用賀駅の直ぐ上にある世田谷ビジネススクエアビル群、駅周辺の広場やオブジェなども、「いらか」と同じ色彩のグレー系統で統一されていたりする。
まさにいらか道が用賀の町の象徴となるのだが、地味なグレーではあまり印象に残らない。世田谷区内にある田園都市線の駅の中で、用賀が飛びぬけて地味な存在なのは、こういった部分もあるのかもしれない・・・。などと思ってしまう。
いらか道が設置されたのは、1986年。デザインを手がけたのは象設計集団。桜新町に事務所がある会社で、全国的に学校や役所、美術館などといった建物の設計、公園やプロムナードなどの企画等々を手がけている。
設計の一番のテーマは「日本のみち」で、かつての大山街道とか、谷沢川のせせらぎをイメージし、のどかで楽しい雰囲気のある道に仕上げたそうだ。
いらか道の特徴として、路面や壁などに百人一首の句が1から順に彫られていること。百人一首の道としても知られている。
百人一首の句には、1から順に番号が振ってあるので、句の意味はわからなくても、子供たちが「33番あった!」「ここにもあった!」と、順番に探しながら砧公園までの道を楽しそうに歩いていたりする。
道沿いには多くの木が植えてあるので、季節を感じながら歩くこともできる。春には桜や新緑が美しく、夏には木々の影が路面に映る様子が美しく、秋には色付く紅葉が美しく、そして冬にはいらか道自体に趣きを感じる。
砧公園への行き来だけではなく、散歩するにもいい道で、子供を連れた人、犬の散歩している人、ウオーキングをしている人をよく見かける。
いらか道周辺にはにゃんこが暮らしている。日本の道をテーマにして造られているだけあって、猫がいる様子もよく似合う。特に紅葉時分は、素敵だ。
なぜこんな住宅地に猫がいるのか。まあ、それは面倒を見ている人がいるからではあるが、猫が過ごせる空間も必要になる。
かつて路面電車が走っていた玉電時代の用賀は、駅前に車両基地があり、砧公園に行くには車両基地の横を通り、その後は梅林の中を抜けて行くといった感じだったようだ。
このいらか道が通っている場所が梅林にあたり、現在でもいらか道沿いに梅林や畑が少し残っている。こういった空間があるから、住宅地でも猫が過ごせているといったわけだ。
ただ、すぐ近くには交通量が半端ない環八がある。それに、この界隈はきちんと宅地整理が行われていて、道が碁盤の目のようになっている。暮らしやすいが、車の通り抜けもしやすい。残念ながら車に引かれてしまう猫も多い・・・。
いらか道では犬だけはなく、猫の姿も時々見かけたりもするが、それも特に珍しい光景ではないだろう。ここでは驚くことに、馬も散歩していたりする。
何度かドラマの撮影をしているのを見たことがあるので、最初見たときは、撮影を行っているのか・・・と思ったが、そうではなかった。
用賀インター入り口付近にある建築会社で乗馬用の馬を飼っていて、出番のない時は、健康のためにこの付近を散歩させているのだとか。
紅葉するいらか道をポコポコと進む様子は、なかなか情緒があっていい。風景の中にマッチしていてあまり違和感がない。とはいえ、後ろから聞きなれないポコポコといった音がし、振り向いたら馬がいると、けっこうビックリする・・・。
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