旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル

旅人が歩けばわんにゃんに出会う
東京編 世田谷8(都立園芸高校)

世田谷区にある都立園芸高校で出会った動物たちの紹介をしています。

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14、都立園芸高校(世田谷区深沢 2009年11月など)

世田谷 都立園芸高校 紅葉の時期の正門の写真
都立園芸高校の正門

世田谷の深沢に都立園芸高校がある。区内には、農業大学としては名が知れている東京農大があるが、他の一般的な大学と比べると、非常に地味な存在である。

それと同じで、園芸高校も一般の高校に比べると地味な存在で、あまり話題になることもないが、色々と知ってみると、なかなかどうして、とても凄い高校だったりする。

園芸高校は、その名の通り園芸に関わる学校で、1908年(明治41年)に東京府立園芸学校として開校した。

開校当時、全国的に農業学校が設立されていたが、園芸に特化した高校は、ここが最初になる。希少な存在であったので、昭和の初めころは全国から学生が集まっていたそうだ。

世田谷 都立園芸高校 校内の花壇や温室の写真
校内の花壇や温室
世田谷 都立園芸高校 校内の畑や果樹の写真
畑や果樹

園芸に特化した学校として始まったが、時代の流れとともに、学べる科も増えている。現在の学科は、園芸科、食品科、動物科の三課程に分かれていて、それぞれ2年生から専門課程に分かれる。

オリジナルの園芸科は、園芸コースの「野菜専攻」と「果樹専攻」、園芸デザインコースの「ガーデニング専攻」と「フラワー専攻」と、農業と園芸分野に特化している。

食品科は、加工コース、調理コース、栄養コースに分かれていて、食品関係や調理の職に就きたい人向けとなっている。

世田谷 都立園芸高校 ミニミニ動物園の写真
ミニミニ動物園(バラ園公開日)
世田谷 都立園芸高校 鶏などの生産動物を扱う学生たちの写真
鶏などの生産動物を扱う学生たち
世田谷 都立園芸高校 犬の散歩体験(園芸展)の写真
犬の散歩体験(園芸展)

動物科は、2006年の学科改編で新しく新設された。動物愛護コースと動物環境コースがあり、農業系の畜産というよりは、ペット関係分野を目指す学生に人気となっている。

犬や猫が好きで、将来は絶対ペット関係の仕事に就きたい!と、もう心に決めている中学生は、普通の高校へ行くよりも、園芸高校に進学するのも一つの選択肢ではないのかな、と思ったりする。

世田谷 都立園芸高校 園芸展の垂れ幕がかかった校舎の写真
園芸展 2009年

園芸高校は、特殊な専門性から、許可をもらえば校内を見学することができるようだが、警備員や関係者の手間を増やすし、授業の邪魔になったりする。特別な目的のない一般の人には、少しハードルが高い。

でも、気軽に見学する機会がある。それは、5月の学校公開に合わせたバラ園の公開日と、11月の園芸展。この時は様々な催し物が行われ、多くの人が訪れるので、気軽に校内を見学することができる。(その時々によって入れない場所があります。)

世田谷 都立園芸高校 園芸展 イチョウ並木に並ぶ立て看板の写真
イチョウ並木に並ぶ立て看板

園芸展と聞くと、あの老人会などが公民館で行っている園芸展・・・。盆栽とか、菊とか、さつきとかを飾っている絵が浮かび、行こうという意欲がそがれてしまいそうだが、そんなスケールの小さなイベントではない。

園芸展と名はついているが、いわゆる普通の高校の学園祭と同じもの。東京農大が収穫祭とこだわるように、園芸高校ならではの学園祭になる。

世田谷 都立園芸高校 園芸展ネズミの展示をしている会場の写真
ネズミの展示をしている会場

園芸展では、生徒が育てた植物が展示されていたり、生徒が作ったジャムなどの加工品の販売、花などの植物や野菜の販売、小動物のふれあい広場や、犬の散歩体験などが行われる。

園芸高校でしか見られない植物も魅力的だが、動物好きとしては、動物科の展示に強烈に惹かれる。なんと、ここにはネズミやハムスターの展示や、ネズミのパフォーマンスが行われるのだ。

世田谷 都立園芸高校 園芸展 ネズミの綱渡りの写真
ネズミの綱渡り
世田谷 都立園芸高校 園芸展 綱渡りに挑戦中のネズミの写真
綱渡りに挑戦中のネズミ

ネズミのパフォーマンスといっても、ネズミは芸をしてくれない。頭上に張ったロープの上をただ綱渡りのように走っていくだけ。でも、見ていると、なかなかバランス感覚がよく、器用さに関心する。まあだからこそ、家に侵入してしまうのだろう・・・。

世田谷 都立園芸高校 園芸展 ネズミレースの写真
ネズミレース

ネズミのレースも面白い。透明なペットボトルをつなぎ合わせたチューブのコースを作り、その中をネズミが走って競争するといったもの。多くの子供たちが興味深げに眺めていた。

しかし、何で園芸高校にネズミがたくさんいるんだ・・・。何のために飼っているのだろう・・・。訪れたときは、全く疑問に感じなかったが、家に帰って振り返ってみると、謎に思える。

世田谷 都立園芸高校 園芸展 三代将軍の松の写真
三代将軍の松

園芸高校には、他にはないような凄いものがある。せっかくなので紹介しておこう。

園芸高校の自慢の筆頭・・・なのかどうか、実際に園芸高校の生徒に聞いたことがないのでわからないが、園芸高校で一番有名だと思われるのが、徳川家光(第三代将軍)が遺愛したと言われるゴヨウマツの盆栽2鉢。三代将軍の松として知られている。

この松は樹齢460年を越え、もはや盆栽といったレベルの大きさではなく、盆栽に興味がなくても、「なんか凄いぞ!」「迫力があるぞ」「オーラーが違うぞ」ってな感じで、その立派さに感嘆することだろう。かなり価値のあるものなので、これを目当てに来る一般見学者も少なくないとか。

世田谷 都立園芸高校 園芸展 ゴヨウマツの盆栽の迫力ある様子の写真
三代さんの迫力ある佇まい

この松は園芸科の生徒が管理していて、生徒からは「三代さん」と呼ばれて親しまれている。なぜこんな立派な松が園芸高校にあるのかというと、学校創立に際し、東京府が購入し、園芸高校に移管したようだ。

皇居の東御苑を訪れた際に、同じものが置いてあった。係りの人が解説しているのを聞くと、なんでも皇居と園芸高校しかない松になるとか。

一緒に聞いていた人達が、高校にあり、その鉢を高校生が管理していると言うことを聞いて、とてもビックリしていたのが、とても印象に残っている。そう、園芸高校は何気に凄いのだ。

世田谷 都立園芸高校 バラ園の写真
バラ園(5月の公開日)

園芸高校といえば、バラ園を思い浮かべる人もいる。バラ園は、創立80周年記念行事の一環として、平成2年に開設された。

開園に当たっては、園芸高校出身で、世界的に有名なバラの育種家鈴木省三氏が長年に渡って収集した約200種類のバラが寄贈され、栽培されている。中には貴重な原生種もあるそうだ。バラの育成は難しいと聞く。管理、育成している生徒たちには、いい勉強となっているのだろう。

バラ園は学校案内の5月に合わせて、公開されている。バラは秋にも咲くものもあるので、園芸展の時でも見ることができる。

世田谷 都立園芸高校 紅葉するイチョウ並木の写真
紅葉するイチョウ並木

園芸高校の正門から本館までの約100メートルの間、立派なイチョウがずらっと並んだイチョウ並木となっている。

この銀杏の木は1912年(大正元年)頃に植えられたもので、樹齢は100年以上。世田谷区内には、駒沢公園や成城に名の知れたイチョウ並木があるが、ここが世田谷で一番古いイチョウ並木となるはず。

1912年、東京市長だった尾崎行雄氏が、友好親善のため、アメリカ合衆国に3千本の桜を送ったのは有名な話。実は、その返礼として白花のハナミズキ40本が贈られている。

このハナミズキが、今では日本中にあふれているハナミズキの最初の原木となるのだが、その一本がここ園芸高校にある。

この他、園芸高校で生み出された梨も自慢のうちに入るだろうか。1916年に在職中の菊池秋雄博士が日本梨の優良新品種を生み出し、その記念碑も置かれている。

世田谷 都立園芸高校 校内での園芸市の写真
校内での園芸市

でも、やっぱり一番の自慢は、自分たちが丹精や愛情を込めて育てた花や果物だったり、ジャム、シラップ漬け、味噌などといった加工品ではないだろうか。

秋に行われる園芸展ではそういった物も販売され、訪れる地元の人に大人気となっている。というより、これが楽しみで訪れる人も多い。

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