旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル

旅人が歩けばわんにゃんに出会う
東京編 世田谷9(馬事公苑)

世田谷区にある馬事公苑で出会った馬たちの紹介をしています。

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15、馬事公苑(世田谷区上用賀 2009年11月など)

世田谷 馬事公苑の正門の写真
馬事公苑の正門

*2020東京オリンピック改修前 以下全て

世田谷通りの東京農大付近に、JRA(日本中央競馬会)所有の馬事公苑がある。その存在は知っていても、「特別な時以外、一般の人は入れない競馬の施設でしょ」とか、「入るのに面倒な手続きや入場料があったりするんじゃない」とか、「馬に興味がないと、訪れても面白くないんじゃないの」と、思っている人も多いだろう。

馬事公苑は、その名前の通り馬事に関わる施設で、JRAが管理する馬術競技場になる。とはいっても、特別な行事がない限り、開園時間は誰でも無料で入る事ができる。

園内には、馬術の競技場や練習場、広い走行路などといった馬関係の施設が並んでいるが、その合間にくつろげるスペースもたくさんあって、子供用の遊具なども設置してある。馬を扱っている都合上、少し制約はあるが、ほぼ普通の公園のように利用できる。

世田谷 馬事公苑の管理棟と馬の像の写真
馬事公苑の管理棟と馬の像

馬事公苑といえば、オリンピック。二度の東京オリンピックで、馬術会場として使用された。

簡単に馬事公苑の歴史を書いておこう。昭和8年12月23日に御誕生になった皇太子殿下(平成天皇)の奉祝記念行事として、馬事訓練施設の建設計画が起案され、翌年に決議された。

ただ、昭和11年になると少し事情が変わり、第十二回オリンピックが東京で開催されることが決まったことで、その会場として整備していくことになった。

しかしながら、昭和12年に始まった支那事変(日中戦争)によって、建築資材の不足や制約によって施設の建設は滞り、オリンピック自体もやむなく開催地を返上することになってしまった。

その後、第二次世界大戦に突入。競馬や馬術どころではなくなり、馬事公苑は修錬場と改称され、補給部隊である輓馬機動隊の部隊事務所として使われる事となる。

敗戦後は復興のための補給部隊の本部として使われ、同時に進駐軍の娯楽としての乗馬場としても使われた。

世田谷 馬事公苑 馬事公苑三訓の碑の写真
馬事公苑三訓の碑

戦後の混乱が一段落すると、馬術場として復活。再び馬事公苑の名称に戻された。馬事公苑は、その名に「苑」の字を使用している。「園」は植物のある庭という意味で、「苑」は動物のいる庭という意味がある事から、「苑」の字が使われている。

もっとも、新宿御苑、皇居の東御苑などにも「苑」の字が使われているので、ありきたりの公園ではないとか、格式の高さといった意味合いも込められているそうだ。

世田谷 馬事公苑 オリンピック記念碑の写真
オリンピック記念碑

昭和34年に、再び東京でオリンピックが行われる事が決まる。これにより施設の再点検が行われ、国際規格に適した設備に造り替えられた。そして昭和39年(1964年)に開催された東京オリンピックの馬術競技の会場として使われた。

更には、2度目の2020東京オリンピックでも使用された。とはいえ、今回もごたごたがあり、招致の段階ではコンパクトなオリンピックを目指すということで、多くの競技が行われる東京湾のベイゾーンに新しく馬術施設を造る計画になっていた。

しかし、膨大な費用に批判が殺到。予算削減のため、既存の馬事公苑を使うことになったという経緯がある。ただ、施設は古く、そのままでは使用できないので、結局、それなりの費用をかけて全面改修が施された。

世田谷 馬事公苑 ダートコースの写真
ダートコース
世田谷 馬事公苑 厩舎の写真
厩舎

元々馬事公苑は、騎手講習生や競馬に携わる人材を訓練する施設だったのだが、周囲は閑静な住宅地となっていき、そういったことに専念できる環境ではなくなってしまった。

現在では、騎手育成業務は中山競馬場の競馬学校へ移管され、乗馬普及と馬術指導に重きを置く施設になっている。

その為、普段は自由に入園できるようになっていて、馬術場のある公園とか、馬に親しめる公園といった場所になっている。

世田谷 馬事公苑 里桜が並ぶメインストリートの写真
里桜が並ぶメインストリート
世田谷 馬事公苑 日本庭園の枝垂れ桜の写真
日本庭園の枝垂れ桜

馬事公苑は馬の施設であるのだが、実は、桜の名所でもあったりする。園内には多くの桜が植えられていて、その数は砧公園に次ぐ多さ。

しかも、ここの桜は早咲きの河津桜、普通のソメイヨシノ、遅咲きの里桜や枝垂れ桜が植えられているので、1カ月に渡って桜を楽しめる。遅咲きの桜が多いので、4月になっても花見を楽しめる貴重な桜スポットでもある。

ここから比較的近いサザエさんで有名な桜新町駅前にも遅咲きの八重桜の並木がある。4月中旬頃、桜まつりも行われるので、同時に訪れるというのもいいかもしれない。

世田谷 馬事公苑 放牧されている馬の写真
放牧されている馬
世田谷 馬事公苑 馬術部の練習風景の写真
馬術部の練習風景

馬事公苑といえば、やっぱり馬。馬に会えるの?それとも特別な時しか会えないの?乗馬とかできたりするの?となるだろう。

いつ訪れても確実に会える。とはならないが、何もない平日に訪れても、馬が放牧されていたり、馬術部などの生徒たちが補助競技場などで練習している様子を見ることができる。

さすがに馬と触れ合うということはできないが、馬を眺めるだけで満足できるなら、これほど幸せな散策場所は他にない。

世田谷 馬事公苑 学生の馬術大会の写真
学生の馬術大会

もっと本格的な馬術をみたい。馬術に興味があるというなら、馬事公苑のサイトにあるスケジュールをみれば、大会などの予定が記載されている。その日に訪れれば、馬術を見ることができる。

余程大きな大会にならないと、スタンドを埋め尽くすような観客とはならないのが、馬術の悲しいところ。でもまあ、見る方としては、気が向いたときにふらっと訪れ、気軽に見ることができる。

世田谷 馬事公苑 乗馬体験(馬とのふれあいイベント)の写真
乗馬体験(馬とのふれあいイベント)
世田谷 馬事公苑 馬車試乗会の写真
馬車試乗会

馬に乗ってみたい。馬と触れ合ってみたいというなら、年間8回程度行われている、「馬とのふれあい」といった小規模なイベントの日に訪れるといい。体験乗馬、馬車試乗会やポニーの演技などが行われている。

このイベントは地元の人向けなので、大きなイベントの時に比べると、格段に空いている。それでも整理券の配布には並ばないと駄目だが・・・。

世田谷 馬事公苑 ホースショーの横断幕の写真
ホースショーの横断幕

馬事公苑で行われる大きなイベントは、春に行われる「桜祭り」、5月連休に開催の「ホースショウ」、9月23日の「愛馬の日」の三つ。

この中で一番盛り上がるのは、ゴールデンウィークに行われるJRAホースショウになる。

ホースショウは、昭和47年に馬事公苑馬術大会、馬場馬術及び障害飛越の大会として開催されたのが、始まり。第5回大会から、海外で華やかに行われていたホースショー的なアトラクションを加え、馬術関係者だけではなく、一般の馬が好きな人が楽しめるイベントになった。

世田谷 馬事公苑 障害を飛躍する馬の写真
世田谷 馬事公苑 障害を飛躍する馬の写真
障害の飛躍

ホースショーは三日間にわたって行われるイベントで、メインイベントは馬術大会。この大会は、名実ともに国内トップレベルの競技会となっているので、レベルも高いし、観客も多い。

馬術については詳しくないのだが、オリンピックに常連で出場している第一人者から、これから日の丸を背負うだろうという実力者まで、この世界では有名な選手が出場しているようだ。

見ていて新鮮だったのが、馬術では性別も年齢も関係ないようで、女子高生のすぐ後に最年長のおじいさんが登場したりすること。老若男女の様々な人が同じ条件で競い合うのが、馬術競技になるようだ。

世田谷 馬事公苑 有名競争馬の展示の写真
有名競争馬の展示

ホースショーの期間は、競技の合間に各種のアトラクション(アンダルシアン演技、ポニー演技、横鞍演技、軽乗演技、警視庁騎馬隊による集団演技、ポニー競馬など)が行われる。

この他、体験乗馬・馬車試乗会はもちろん、いつも以上に多くの出店がメインストリートに並んだり、引退した競走馬に会えたりと、ふだん馬事公苑で行われるイベントのほとんどのことが、期間中に行われるといった感じになる。

世田谷 馬事公苑 レプリーズ(警視庁第三方面交通機動隊騎馬隊)の写真
レプリーズ(警視庁第三方面交通機動隊騎馬隊)
世田谷 馬事公苑 碁盤乗り(トリックホース)の写真
碁盤乗り(トリックホース)
世田谷 馬事公苑 フリーダムホースショウの写真
フリーダムホースショウ
世田谷 馬事公苑 トラディショナルスタイル(横鞍)の写真
トラディショナルスタイル(横鞍)
世田谷 馬事公苑 ポニーの模擬競馬の写真
ポニーの模擬競馬

馬事公苑のイベントでは、様々な馬のアトラクションを見ることができる。どのイベントで何が行われるかは、その時々によって違う。事前に馬事公苑のサイトでチェックするといい。

こういった馬のアトラクションは、なかなか普段見ることができない。馬といえば走って競争したり、人を運んだりするだけの生き物といったイメージを持っていると、馬って色々なことができるんだ。色々と賢いんだなと、感心してしまう。

それとともに、人と馬が一体となって行動している様子を見ていると、人馬一体という言葉が胸に響き、馬は人間の良きパートナーなんだなと、感動が込み上げてくる。

世田谷 馬事公苑 愛馬碑の写真
愛馬碑

毎年秋分の日に「愛馬の日」というイベントが行われている。苑内に「愛馬の碑」というのがあるので、それにかけてイベント名が付けられたのだろう。

イベント名だけ見たら、何をやっているイベントなのかわかりにくいのだが、全国各地の伝統馬事芸能を紹介するという形で、昭和43年から始まった。

世田谷 馬事公苑 チャグチャグ馬コの写真
チャグチャグ馬コ
世田谷 馬事公苑 田立の花馬祭りの写真
田立の花馬祭り
世田谷 馬事公苑 武田流流鏑馬の写真
武田流流鏑馬
世田谷 馬事公苑 子供ポニー競馬選手権 関東予選の写真
子供ポニー競馬選手権 関東予選

今までこのイベントで登場した伝統馬事芸能は、北は北海道、南は沖縄に至るまで、二十団体以上。古くからの馬と人との結びつきは強く、日本各地に馬に関する祭りや伝統行事が伝わっていることが分かる。

疾走する馬から矢を放つ流鏑馬や、そりを引いて競争するばんえい競馬などは、なかなか東京で見る機会はなく、東京でそういった馬に関する迫力のある行事が手軽に見れるとあって、人気のあるイベントとなっている。

また、この日は、ダートコースを使用して全国子供ポニー選手権の関東予選も行われる。直線だけの競争になるが、競馬場以外で真剣勝負を見られる機会はない。

世田谷 馬事公苑 馬のパレード(桜まつり)の写真
馬のパレード(桜まつり)

桜まつりは、定期的に行われている「馬とのふれあい」のイベントの拡大版といった感じ。桜が咲く園内で、馬のパレードが行われたり、アトラクションが行われたりする。だいたい3月最終日曜日に行われるのだが、その日に桜が満開だと、馬と桜でとても素敵な光景になるだろう。

世田谷 馬事公苑 馬とのふれあいの写真
馬とのふれあい
世田谷 馬事公苑 馬事公苑の日常の写真
馬事公苑の日常

といった感じで、普段から、またイベントで、様々な馬と出会え、触れ合え、楽しめるのが、馬事公苑になる。馬が好きな人はもちろんだが、動物が好きな人は心から楽しむことができる場所になるだろう。

とりわけ、動物園代わりといった感じで、小さな子供を持つお母さんに人気になっている。平日の駐輪場には、子供用の椅子が取り付けられた自転車や、補助輪の付いた小さな子供用自転車がずらっと並んでいたりする。

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ちょっと思うところがあるので、馬に関して海外で経験したことを書いてみよう。

世田谷 馬事公苑 馬の愛撫の写真

海外に出ると、宗教的だったり、民族の風習で、特定の動物を食べないといった食のタブーがある。その逆に、こんなものを食べるのかと、驚くこともある。

こっちが興味深いと感じることは、向こうも興味深く感じるもので、旅行をしているときに、現地の人に食に関してあれこれと聞かれることも多い。「おまえら豚を食べるのか?」みたいな感じで。

ベトナム ムイネ 6匹の子豚の写真
6匹の子豚

よく知られているのはイスラム教は豚を食べず、ヒンドゥー教は牛を食べないということ。ただ、この二つには大きな違いがある。イスラム教の場合は、豚が不浄の生き物だから食べない。ヒンドゥー教の場合は、牛が神聖な生き物だから食べない。

なので、イスラム教の人は他の宗教の人が豚を食べようが、よくそんなもの食べるな・・・と、気にしない。自分達が食べなければそれでいい。という考えだからだ。

インド ガンジス河の川辺でくつろぐ牛たちの写真
ガンジス河の川辺でくつろぐ牛たち

しかし、ヒンドゥー教徒の場合は、牛を神聖だと思っている。だから他の民族が牛を食べることをあまり快く思わない。

インターネットがなかったころは、何かを知りたい時には、図書館などで調べるか、人に聞くしかなかった。そういった時代にインドを旅したのだが、バスで隣り合わせたおじさんなどから「お前らは牛を食べるのか?」と、よく聞かれた。

その表情から、けしからん。というよりは、外国人は牛を食べているらしいぞ。本当だろうか。そういった感じの敵意のない感じだったのだが、こういう質問は、なんとも答えにくい・・・。

川辺で馬と遊ぶ子供たち(トルコ)の写真
川辺で馬と遊ぶ子供たち(トルコ)

イスラムの国を旅しているときにも似た質問はあったが、豚についてはほとんど聞かれなかった。しかし、馬を食べるのか、猫を食べるのかと、よく聞かれた。彼らは猫と馬が大好きなのだ。アジア人はなんでも食べると聞く。もしや猫や馬を食べていないだろうな・・・と。

インドで牛を食べる質問は、まあ普通に返答していた。世界的にみれば牛を食べるというのは多数派なので、世界ではこれが普通なんだよ。しょうがないよ。といった言い訳がしやすいから。

しかし、馬になると、非常に答えにくい。馬を食べるのは、圧倒的に少数だ。しかも、彼らは馬が大好きでそう尋ねてきている。

申し訳ない感じで、あまり一般的ではないが、一部の人は食べている。と答えるしかなかった。ただ、生で馬刺しにして食べているとは、初対面の人に言う勇気はなかった。きっと凄まじい反応をされるだろう。何て野蛮な民族だと。

馬のシャンプーをする子供たち(トルコ)の写真
馬を洗う子供たち(トルコ)

海外では犬を食べる文化もある。犬が好きで、犬を飼っている人は、決して犬を食べることはないだろう。話の種としても・・・。それと同じで、馬が好きな人は絶対に馬を食べない。

このように文章にしてみると、ごく当たり前のことなのだが、日本人の場合は、馬が好きだと言いながら、平気で馬を食べると言ってしまう。そういったいい加減さや、筋の通らなさは、日本人が海外で嫌われている部分だ。

また、馬が好きな人の前で馬刺しが好きだとか、馬を食べるということを、平気で言ってしまう配慮のない部分も、文化が単一である日本人の欠点と言える。

馬を食べること自体は悪いことではないが、馬は犬や猫などと一緒で、非常に人間と親しい生き物なので、感情移入している人も多い。馬を食べることを口に出してどうこう言うのは、あまりお勧めはしない。

旅人が歩けばわんにゃんに出会う
東京編 世田谷9(馬事公苑)
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