旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編 2004年Page7

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

広告

8、世界遺産の屋久島へ行ってみるか(2004年6月上旬)

履歴書のイメージ(*イラスト:身爪さん)

(*イラスト:身爪さん 【イラストAC】

心が折れつつもめげずに活動を続けていると、ようやく「君面白いね。変わった経験をしている。ぜひうちで働いて欲しい。」と、私の経歴に興味を持った面接官が現れ、無事にそこに就職が決まった。

キリがいいところで7月頭から来てくれということなので、もう少し時間がある。ダラダラしていてもしょうがない。かといって、こういった空き時間を有効に利用し、将来役に立つかもしれない資格を取得して・・・というような計画性のある人間ではない。

そもそもとして、時間ができると「どこへ行こうかな・・・」と、まず旅のことが頭に浮かんでしまうのが、生粋の旅人ってなもの。じゃあ、まあ、旅人らしく旅に出るか・・・と、バイクに乗って旅に出ることにした。

ガイドブックのイメージ(*イラスト:ふじ丸さん)

(*イラスト:ふじ丸さん 【イラストAC】

とはいっても、メキシコへ行ってきたばかりでお金があまりない。それに海外から帰ってきたばかりなので、日本のありふれた観光地をのんびりと周るような気分ではない。

この機会に北海道ツーリングをやっておくか。バイク乗りの憧れだし、まとまった時間がないとできない。もしくは地方に暮らしている友人の家にでも遊びに行くか・・・。あっ、そういえば今回のメキシコ旅行で知り合った旅人が岐阜に住んでいたな。もう帰国しているはず。いつでも遊びにおいでと言っていたから連絡してみるか。岐阜にはあまり行くことがないし、ちょっと面白そう。

岐阜に行くならその後どうしよう。琵琶湖一周・・・。う~ん、いまいち気分が乗らないな。北陸とか、丹後とか日本海に近い地域に行ってみるか・・・。いや、山陰で育ったので、今はあまり触手が動かない。

もっと西へ行くか。あっ、そうだ。この機会に前々から行ってみたかった屋久島へ行ってみよう。次まとまって時間がとれるのはいつになるかわからないし・・・。

西日本を中心とした地図(国土地理院地図)

国土地理院地図を書き込んで使用

屋久島は鹿児島の南に種子島と並ぶようにしてある島で、太古からの自然が豊かに残っていることで知られている。1993年にはその豊かな自然が評価され、姫路城などとともに世界遺産(自然遺産)に指定された。

世界遺産に指定されたとはいえ、地味な自然遺産の方だし、場所が場所だけに世間一般の人にはあまり馴染みのない島になるだろう、でも旅人の間ではけっこう評判になっている島になる。

というのも、ユーラシア大陸を横断する旅人は、陸路や海路にこだわる人が多い。関西や長崎から船で上海に向かう人が多いが、中には陸路で鹿児島へ行き、船で屋久島を経由し、沖縄、台湾、香港と渡っていく人もいる。

そういった旅人が「島の雰囲気が良かった。」「のんびりできていい島だった。」「縄文杉の迫力と、自然の美しさが凄かった。」「日本の秘境って感じの場所なので、一度行ってみるといいよ。」と、屋久島の良さを口々に絶賛し、「行った人の話だと、屋久島、なんかいいらしいよ・・・」と、旅人の間で広まっていった。

話すイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん 【イラストAC】

今回のメキシコ旅行の最中にも、「この前行ってきたけど屋久島は素敵だったよ。」と、勧めてくれる旅人がいた。

話を聞くと、どうやら近年の登山ブームの流れで、屋久島を訪れる観光客が爆発的に増えているとか。以前はすぐそばまで行けた縄文杉も、根が枯れるのを防ぐために傍へ行けなくなるなど、少し状況が変わってきているそうだ。

今後は人数制限が設けられたり、環境税とか、入山料が必要になったりと、訪れにくくなるかもしれない。それに屋久島のハイライトである悠久の時を過ごしてきた縄文杉が近い将来に枯れてしまうこともありえる・・・。富士山も観光客の増加で酷いことになったし・・・。

北海道の最北端を目指すツーリングもプランBとして検討していたが、こういった観点からもこの機会に屋久島に行っておいた方がよさそうに感じる。

九州南端の地図(国土地理院地図)

国土地理院地図を書き込んで使用

屋久島まで行くのなら、すぐ隣にはロケットの発射と火縄銃で有名な種子島がある。フェリーで結ばれているようなので、ついでに行ってみよう。

更には、鹿児島県の右側の半島、大隅半島の南端、佐多岬は日本本土の最南端になる。昨年は日本最高点の富士山、本州最北端の大間岬を訪れたので、ここを訪れると南端も制覇もできる。・・・と、旅の計画がどんどん膨らんでいった。

テント泊のイメージ(*イラスト:キャベツコンブさん)

(*イラスト:キャベツコンブさん 【イラストAC】

東京からだと、九州の最南端の鹿児島まではちょっと、いや、かなり遠い。でも、途中途中に泊まるあてがあるし、それ以外はテントを使えば宿泊費は手土産程度しかかからない。

高速を使わない予定なので、かかるのはガソリン代と船賃、後は自分の食費や温泉などのプラスアルファ。そこまで大きな負担にはならない。もし来月の生活費が足りなくなったとしても、仕事をしていると親に借りるのも容易だ。

問題は体力、気力となるが、旅となると疲れ知らずの体質をしているので、この部分は問題なし。ということで、岐阜の旅人、その他、友人、親戚などに連絡して、屋久島や日本本土最南端へ向けて旅立つことにした。

9、屋久島ツーリング1 城と古戦場(2004年6月中旬)

東海地方の地図(国土地理院地図)

国土地理院地図を書き込んで使用

深夜に東京を出発。まずは名古屋を目指し、国道246号、そして国道1号をひたすら西へ快走していった。

今回は日本の歴史、特に戦国時代と明治維新の雰囲気を感じながら旅をしてみたくなり、サブテーマを「城とか古戦場巡り」とし、そういった場所に立ち寄りながら進んで行くことにした。

桶狭間古戦場の写真
桶狭間古戦場

で、最初の訪問地は桶狭間古戦場跡。尾張の弱小大名であった織田信長が、攻め込んできた駿河の大大名今川義元を奇襲戦で破ったのが、この地になる。

圧倒的な兵力差、絶体絶命の状況下での勝利。織田信長の名は日本中に知れ渡り、天下布武への第一歩を刻むこととなる。織田信長ファン、或いは戦国時代にロマンを感じる人にとっては、聖地となるだろう。

実際訪れてみると、約440年前の古戦場跡なので、特にこれといったものが残っているわけではない。でも、この場で歴史を動かすような合戦が行われたと想像すると、感慨深く感じるものだ。

それと同時に、俺も何か、いや旅人として日本一にのし上がってやるぞ!と、心の奥底からムラムラと野心がこみ上げてくる。

名古屋城の写真
名古屋城

桶狭間を後にすると、金のしゃちほこで有名な名古屋城を訪れた。日本100名城に選定され、国の特別史跡にも指定されている立派な城なのだが、建物内部に入ってみると、コンクリート製なので味気なく感じてしまう。中に入ってテンションが下がる城も珍しい・・・。

美濃の町の写真
美濃の町

名古屋から岐阜へ向かい、和紙で有名な美濃の町を訪れた。旧市街にはとても趣きのある町並みが残っていて、バイクで古い伝統的な家屋が並ぶ通りを走ると、タイムスリップしたような気持になり、なかなか感動的だった。

ここ美濃で、南米、エクアドルで知り合った旅人と待ち合わせをしていて、無事に再会することができた。彼の家はここから少し田舎に入ったところにあり、一旦彼の家にバイクを置き、その後は彼の車で岐阜の城下町などを案内してもらった。

長良川と岐阜城の写真
長良川と岐阜城

そして夜には、彼が撮ったエクアドルの写真を見せてもらいながら、ちょっと前の南米旅行の思い出話に花を咲かせた。

彼に限ったことではないが、海外で出会った旅人に日本で会うと、違った印象になる。どうしても海外を自由に、そして勇ましく旅をしていた印象が強いので、なんか丸くなったというか、普通の人に感じて、どうも対応に戸惑いが生じてしまう。スーツを着た野球選手に違和感を感じるといった例えが分かりやすいだろうか・・・。

関ヶ原古戦場跡の写真
関ヶ原古戦場跡

翌朝、岐阜の旅人に別れとお礼を告げ、西に向けて出発。まず向かったのが、天下分け目の関ケ原。戦国末期に有力な大名が東軍と西軍に別れて戦ったのが、関ヶ原古戦場跡。日本の歴史上、一番大きな合戦(内戦)が行われた場所となる。

現在でもインスタントカップうどんなどの出汁の分かれ目になっているらしいので、何かしらそういった境目的な宿命を背負った場所になるのかもしれない。

関ヶ原古戦場跡を眺める写真
関ヶ原古戦場跡を眺める

これが関ケ原か・・・と、ワクワクしながらやって来たのだが、何十万の兵隊が戦った場所なので、だだっ広いこと。

案内板に有名な武将の陣があった場所などが分かりやすく解説されているのだが、あまりにも広範囲に広がっているし、特に何が残っているわけでもないので、見て回ってもあまり面白くない。あの関ヶ原を訪れた!ということに意義があるってな感じで、簡単にバイクで周辺を走り、後にすることにした。

安土城址の写真
安土城址

関ケ原からは、戦国時代に畿内をほぼ手中にした織田信長が、権威の象徴として建てた安土城の跡地を訪れた。

安土桃山時代の象徴と言われるほど、荘厳な天守閣を誇っていたようだが、現在では土台部分の石が残っているだけ。伝説に基づいて勝手に想像するしかない。

姫路城の写真
姫路城

安土からは一気に姫路へ。姫路といえば姫路城。白く美しい城郭は、まるでシラサギが羽を広げたような優美な姿をしていて、別名「白鷺城」とも呼ばれている。

1993年に屋久島とともに世界遺産に指定されているので、屋久島へ向かう気分を盛り上げるためにも訪れてみた。

これで「法隆寺」「古都京都の文化財」「白川郷」「原爆ドーム」「厳島神社」「古都奈良の文化財」「日光」に続き、8つ目の世界遺産を訪問したことになる(2004年時点)。訪れた世界遺産の数というのは、やっぱり旅人としてはパスポートに押されたスタンプのような感じで、ちょっとした旅自慢になる。

旅人とわんこの日々
世田谷編 2004年Page7
2004年Page8につづく Next Page
広告
広告
広告