旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編 2006年Page13

世田谷(砧公園)での犬との生活をつづった写真日記です。

広告

19、能登・飛騨へのツーリング・後編(2006年10月上旬)

法事のイメージ(*イラスト:kyosiさん)

(*イラスト:kyosiさん 【イラストAC】

昼前に法事は終わると思う・・・と言っていたが、「やっぱり抜けられなく、檀家さんと一緒に食事をすることになってしまいました・・・」と、住職をしている後輩から連絡が入ったので、ゆっくり昼食を食べて寺に戻った。

そして昼をだいぶん回った午後遅く、袈裟からライダースーツに着替えた後輩とともに出発した。途中、ここはぜひ見ていってくださいと後輩に連れられて行ったのは、軍艦島と呼ばれている見附島。島が戦艦のような形をしていて面白い。

軍艦島と呼ばれている見附島 能登・高山ツーリングの写真
軍艦島と呼ばれている見附島

見附島からまた雨が降り出したので、一気に高岡へ向かった。海沿いの道を走っていくことになるのだが、時々風にあおられた波しぶきが道路に飛んでくる。

実はこれがとても厄介なのだ。雨と違ってべとべとするし、車からの跳ね上げもあるので、水滴をこすると曇りガラスのようになってしまう。

車だとワイパーを動かし、それでもダメならウォッシャー液をかければいいのだが、バイクだとそうはいかない。バイザーが汚れると、前が見えにくくなり、結構危険。

とりわけ私のように眼鏡をかけていると、見えにくいとバイザーを開けたら、今度は眼鏡が汚れてしまい、完全に視界を消失してしまうことになる。なので、汚れがひどくなったら広い路側帯に停まり、バイザーをきれいにしてといったことを繰り返さないといけない。とても厄介なコンディションになる。

波しぶきのイメージ(*イラスト:ストさん)

(*イラスト:ストさん 【イラストAC】

厄介といえば、昨日、能登半島に入ってからずっと雨の中を走り続けたし、現在、塩水を浴びながら走っているせいか、バイクの駆動用のチェーンが一気に劣化し、たわんでしまった。おかげでさっきからギアを変速するのに苦労している。

時々、バイザーや眼鏡を拭き、変速する際にショックを与えないように注意しながら走り続け、高岡に到着。ホッと一息。昨日は暗い中の大雨で苦労し、今日は高波で苦労しと、能登半島の道は私にとって過酷だった・・・。

今日の宿泊は福光温泉。手軽な価格で泊まれる温泉を探していて見つけた。もう夕方なので高岡を観光することなく、真っすぐ宿へ向かい、温泉に浸かり体を休めた。

寺の仕事をする住職のイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 【イラストAC】

住職の後輩は、食後すぐに爆睡。朝早くから仕事をしているので、当然といえば当然。一人で広い寺の住職をしているので、日々の疲れもたまっていることだろう。お寺の坊さんというと、なんか気楽そうな職業に思えてしまうが、当然というか、住職も大変な職業である。

line

三日目が始まった。住職の後輩は日課の鐘つきから解放され、気持ちよく朝寝坊。ぐっすりと寝ている様子はなんか微笑ましい。

二人ともお疲れのようなので、一人で朝風呂に出かけ、旅の朝を満喫。二人の後輩を起こし、朝食を食べたあとはすぐに出発の準備を行った。

旅館の朝食のイメージ(*イラスト:ランブリングマンさん)

(*イラスト:ランブリングマンさん 【イラストAC】

本日は世界遺産の旅。と書くと、私的には、何か安っぽいツアー旅行ってな感じがして、あまりいい印象を感じない。

でも、普段旅をしない人にはもの凄く魅力的なフレーズになる。実際、後輩たちの張り切りようはなかなかのもの。途中で写ルンですを購入し、写真を撮り始めたほどだ。

相倉合掌造り集落 能登・高山ツーリングの写真
相倉合掌造り集落

最初に訪れたのは相倉合掌造り集落。ここは山間にあるのどかな農村といった感じで、とても雰囲気がいい。

相倉合掌造り集落 神社のコケ 能登・高山ツーリングの写真
神社のコケ

住職の後輩は、最近コケに凝っているようで、神社などの日陰部分に生えているコケを熱心に見ていた。自分のところの寺にも、美しいコケを生やすのが夢だとか。普通の人とは違った視点を持っているので、一緒に歩いていて面白い。

越中五箇山 村上家 能登・高山ツーリングの写真
越中五箇山 村上家

次に訪れたのは五箇山集落。ここでは街道沿いの古い住宅を見学した。合掌造りの屋根の中は蚕飼育として使われていたようで、そういった道具類が並べてあった。

越中五箇山 菅沼合掌造り集落 能登・高山ツーリングの写真
越中五箇山 菅沼合掌造り集落

最後に越中五箇山 菅沼合掌造り集落。ここも合掌造りの建物が多く残っていて、美しい日本の農村風景となっていた。

白川郷 能登・高山ツーリングの写真
白川郷

一番有名な白川郷は、みんな一度訪れたことがあったので、展望台から眺めるだけで済ませた。これにて世界遺産の合掌造り集落の訪問は終了。

さすが世界遺産になっているだけあって感動的な風景の連続だった。海外に出なくても感動する風景はまだまだ日本に多くあるんだな・・・。しみじみと感じながら高山に向かった。

能登・高山ツーリングの写真

高山に近づくに連れて道が混雑していき、市内に入ると、交通規制が行われていて、少し渋滞していた。

バイクを停めて旧市街を歩くと、通りには露店がずらっと並び、多くの人が歩いていた。情緒と活気があり、昭和的な賑わいを感じる。

その雰囲気に負けたのか、能登の田舎での質素な暮らしの影響なのか、住職の後輩の買い物がとまらない。露店をはしごして、味噌やらお菓子やらを大量に購入していた。

高山祭 からくり山車 能登・高山ツーリングの写真
高山祭 からくり山車

この祭りの花形は、からくり山車となる。決まった時間にからくりの演技が上演されるので、時間に合わせて訪れてみると、山車の周囲には多くの人だかりができていた。

その演技を見た後は、山車が動くのは暗くなってから行われる夜祭になるようなので、しばらく買い物をしたり、喫茶店で和菓子を食べたりして、時間をつぶすことにした。

高山祭 夜祭 能登・高山ツーリングの写真
高山祭 夜祭

高山祭りの最後は、提灯の灯りで装飾された山車が、高山の古い町並みを練り歩く夜祭で締めくくられる。きらびやかで幻想的な行列を期待して通りで待っていたのだが、実際に山車がやって来てみると、町並みも山車自体も想像以上に暗く、厳かな練り歩きといった感じだった。

夜祭が終わると、帰路に着く人々による民族大移動が始まった。人混みが凄い。きっと道も混雑して、進みが悪いはず。時間稼ぎとして高山ラーメンの店に入り、これからの帰路に使うスタミナを補充した。

食後は、「楽しかった。またこういった旅行をしよう」と約束し、解散。別れを告げた後は、後輩の一人は南の名古屋へ。住職の後輩は北の能登へ。私は東の東京へと、三者三様の針路に進んで行く。なんだか映画の最後のシーンのようで、ちょっとカッコイイ別れ方だ。

三者三様のイメージ(*イラスト:星野ゆえさん)

(*イラスト:星野ゆえさん 【イラストAC】

こういった素敵な旅の終わり方をすると、また新しい旅をしたくなるというもの。旅の終わりは新たな旅の始まりという。次の旅の始まりが楽しみだ。

旅人とわんこの日々
世田谷編 2006年Page13
2006年Page14につづく Next Page
広告
広告
広告