旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル

尾道にゃんこ#3-1
続・桜の季節の尾道にゃんこ 前編
(2021年4月)

桜の季節の尾道散策と、その時に出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全2ページ)

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§1、イントロダクション ~コロナ禍とストレス~

コロナウイルスのイメージ(*イラスト:ノゾミさん)

(*イラスト:ノゾミさん 無料イラスト【イラストAC】

昨年(2020年)、降って湧いたようにコロナウイルスの世界的な流行(パンデミック)が起き、日常の風景が一転した。

流行を抑えるためにマスクの着用が義務付けられたり、行動制限や入国規制なども行われ、旅に関わるものにとっては、悪夢のような世の中になってしまった。

少し我慢すれば元通りになる。そう楽観的に考えていたが、そう甘くはなかった。一年経っても相変わらずコロナウイルスの猛威は止まらない。いや、むしろ感染者が増えている。母親の介護同様、これいつ終わるんだ・・・といった憂鬱な展開になりつつある。

ストレスのイメージ(*イラスト:うさぎやさん)

(*イラスト:うさぎやさん 無料イラスト【イラストAC】

このコロナウイルスの流行により、今までの普通が普通でなくなり、ストレスを感じながら暮らしている人は多い。体調不良になるもの。職を失うもの。残業が増えて困る人。精神的にまいってしまう人。逆に儲かってしょうがなく、コロナ様様という人もいることだろう。

日常の行動様式にも変化があり、今までよりも人と接する機会が格段に減ってしまった。わずらわしさがなくなり、これはこれでいい面もあるが、社会全体としてみるなら、人間関係が希薄となり、思いやりや配慮といったことがコロナ前よりも少なくなったように思う。いや、今までも本質的にはそうだったのが、コロナによって強調されたというべきだろうか。

私自身で言えば、コロナウイルスの流行の始まりと同時期に、飼っていたチワワを病気で亡くしてしまい、重度のペットロスに陥るし、こういうご時世では旅が出来ないし・・・。いや、しようとすればできるが、しても楽しくないし、親は介護状態だし、収入は減るし、株や投資信託は大きな含み損を抱えるし、他にも諸々厄介事を抱え、生きた心地がしない状態になってしまった。

入院のイメージ(*イラスト:ミミクリさん)

(*イラスト:ミミクリさん 無料イラスト【イラストAC】

しまいにはストレスの許容量を越えてしまったようで、大きく体調を崩し、人生初の入院をしてしまった。

無事に退院した後は、ワクチンの登場によって人々のパニック状態は収まっていき、また社会がコロナ慣れしてきたり、株価が持ち直したりと、悪い状況が徐々に緩和していった。

よしっ、心機一転だ。再び犬を飼って生活を立て直そう・・・と思い立つものの、ペットショップを訪れても、犬はほとんど在庫がない状態。見つかっても、その値段に声が出そうなほど高値が付いていて、愕然とする。

ペットショップのイメージ(*イラスト:よねぼーさん)

(*イラスト:よねぼーさん 無料イラスト【イラストAC】

どうやらステイホームということで、ペットを飼う人が激増し、とんでもないペットバブル状態となってしまったようだ。

さすがにそんな高値で犬を迎えたいと思わないし、何より気に入った犬が見つかる確率も低そうだ。だったら保護犬でも・・・と思ったが、考えることはみんな一緒。譲渡会も大盛況となっているようだ。

それならば猫でも飼ってみようかな・・・。人生の新たな挑戦ということで、活力もわいてくるかも・・・と、近所の野良猫を手懐けている。猫も懐くと、犬とは違った魅力があり、これはこれで可愛い。

近所の野良猫の写真
近所の野良猫

最近では懐いたら家で飼おうと、猫、特に野良猫について色々と調べたり、気にかけたりしているのだが、今年の2月終わりに、ちょっと嫌なニュースが目に入ってしまった。

報道によると、尾道で男性(26才)が餌で猫をおびき寄せ、猫2匹の胴体を刃渡り18cmの包丁で突き刺したとのこと。犯人は自ら自首し、逮捕されたとのことだが、猫は大丈夫なのだろうか。心配だ。

刃物を持った犯人のイメージ(*イラスト:NANAさん)

(*イラスト:NANAさん 無料イラスト【イラストAC】

ストレスが積み重なると、他人に当たりたくなる気持ちはよくわかる。でも、無関係で抵抗のできない猫に当たってはいけない。猫だって生き物。可愛がってもらえると思って寄っていき、刺されたらたまったものではない。

襲われた猫は無事なのだろうか・・・。今まで出会った猫なのだろうか。頭の片隅で気になると、尾道に行きたくなってしょうがない。

コロナ禍ではあるが、ちょっと尾道に行ってこよう。間もなく桜の時期。せっかくなら桜の開花状況に合わせて訪れよう。ということで、コロナによる行動制限や自粛が蔓延している中、尾道に向かうことにした。

§2、商店街のにゃんこ

尾道 米場町通りの写真
米場町通り

今回は尾道市役所に駐車した。平日なので最初の30分が無料。以降1時間210円。半日滞在するのなら上限のある所が安いが、2時間半程度の散策だったらここが安いと思う。

で、市役所から崖地の方へ歩いていくのだが、市役所の西から真っすぐ北、崖地の方へ延びている道は石見銀山街道になる。古くからの街道で、この通り沿いには古く、立派な建物が多い。

その銀山街道から脇道に入ると、狭い路地には商店や民家がびっしりと並んでいる。まずその様子に驚くのだが、これらの建物に統一性がないことにも驚く。

尾道 蔵造りの建物と木造建築の写真
蔵造りの建物と木造建築

蔵造りの建物があれば、洋風の石造りの建物もある。木造の建物もあれば、近代的な鉄筋のビルもある。今にも壊れそうなボロボロの木造住宅もあれば、普通の建売住宅もある。

全般的にはレトロと言うのがふさわしいような古く趣きのある建物が多い。しかも改築を重ね、独特な造りをしている建物が多い。

同じような建物が並んでいる町並みは美しいが、ここまで統一感のない建物が並んでいるというのも、雑然を通り越して、美しく、いや、楽しく感じる。

尾道 路地に建ち並ぶ木造建築の写真
路地に建ち並ぶ木造建築

なぜこんなにレトロで雑然とした町並みが残っているのか。それは尾道らしい風景として有名な崖地と同様になる。

この一帯も現在の建築法などに照らし合わせると、建て替えが容易ではない。それ故に今ある建物を修理しながら大切に使用しているので、古い建物が多く、大規模な再開発を免れている。

尾道というと、崖に広がる町並みが有名だが、銀山街道付近や市役所の北側一帯の建物も、レトロな趣きがあっていいので、ぜひ歩いてみて欲しい。

尾道 ゴミ捨て場とにゃんこの写真
ゴミ捨て場とにゃんこ

商店街を歩いていると、猫を発見。今日最初の猫、そして2年ぶりの尾道にゃんこになる。

にゃんこは、ゴミが大量に捨てられているゴミ捨て場の前で、路地の奥を見つめていた。猫といえばゴミを荒らして・・・といったイメージがあるが、ここではそうではないようだ。

地域で共存している証になるのかな。猫も餌や寝床を与えてもらっているお礼に、ゴミの日はカラスにゴミを荒らされないようにゴミの番をし、町の治安を守る。なんてことがあれば素敵だが、猫の性質上そういったことは期待が薄そうだ。

尾道 路地で佇むにゃんこの写真
路地で佇むにゃんこ

にゃんこはゴミ捨て場の見張りをほったらかして、いや、おもむろに路地の日向へ移動。春の日差しを浴びながら相変わらず路地の奥を眺めている。これだけ熱心に見つめていると、何があるのかこっちも気になってくる。

尾道 路地にいる猫の写真
路地のにゃんこたち

どんな展開になるのだろう。気になって見守っていると、のしのしとゆっくりとした足取りで更に路地の奥の方へ進み始めた。

ついていこうかと迷っていると、横からもう一匹猫が出てきた。意外と商店街に猫が多い。うれしい誤算だ。

写真を撮ろうと、かがんで写真を撮るのだが、撮った瞬間、目の前の家から住民が外出するために出てきて、「こんにちは」と会釈。間が悪いというか、ちょっと気まずい雰囲気。気がそがれ、猫の追撃は諦めることにした。

尾道 ガラスタイルの前でお昼寝する猫の写真
ガラスタイルとにゃんこ

本通りに出ると、レトロなガラスのタイルの前で寝る猫さんを発見。思えば、昭和にこういった濁った感じのガラスタイルが流行ったことがあった。清潔感があるといった理由で用いられたと思うが、今ではあまり見かけることがない。

もっと振り返れば、昔は眼鏡もガラスレンズが主流で、薄型レンズもなく、強度の近眼だと牛乳瓶の底のようなレンズを使っていた・・・。とまあ、昭和レトロなアイテムに色々と懐かしく感じる。

尾道 レトロな雰囲気の中でのお昼寝する猫の写真
レトロな雰囲気の中でのお昼寝

この猫さんが寝ているのは地べた。すぐ横は比較的人通りや車通りのある商店街。よくこんなところで寝れるな・・・と感心してしまう。

逆を言えば、この界隈は安全だと安心しきっているのだろう。不特定多数の観光客がやって来る崖地よりも、地元の人が行き来する商店街の方が猫にとって居心地がいいのかもしれない。

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