旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル

尾道にゃんこ#5-1
豪雨の日の尾道にゃんこ その1
(2022年7月)

豪雨の日の尾道と大久野島の散策と、その時に出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全4ページ)

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§1、イントロダクション ~広島の災害~

広島県のイメージ(*イラスト:とみなすさん)

(*イラスト:とみなすさん 無料イラスト【イラストAC】

他県の人が思い浮かべる広島県といえば、原爆関係に、宮島に、広島カープと、この3つが全国的な知名度からいって上位になるかと思う。その他に、マツダとか、サンフレッチェ、路面電車、広島のお好み焼き、もみじ饅頭、牡蠣、都道府県対抗男子駅伝などをあげる人も多いのではないだろうか。

こういった印象はそれぞれの好みや興味によって違うので、あくまでも広島のイメージのうちの一部。広島は意外とマニアックな事柄で日本一だったりもするので、知れば知るほど奥が深い県じゃないかなと、私は思っている。

土砂崩れのイメージ(*イラスト:iccoさん)

(*イラスト:iccoさん 無料イラスト【イラストAC】

こういった広島のイメージの中に、近年は土砂災害というのも入るようになってしまった。広島って土砂災害が多いよね、ってな感じで・・・。

事の発端は2014年8月。私が広島へ引っ越す2日前に、広島市の北部で土砂災害が起きた。死者77人を出すといった大きな被害になり、全国にその衝撃的なニュースが流れた。

それからというもの、空の蛇口が壊れたかのように初夏に大雨が降るようになり、2018年には未曾有の豪雨災害となった西日本豪雨災害。2019年、2020年も小規模ながら土砂災害が各地で起き、大雨による土砂災害が年中行事のようになりつつある。

地震のイメージ(*イラスト:AKI3939さん)

(*イラスト:AKI3939さん 無料イラスト【イラストAC】

災害が多い土地といった印象が強くなってしまった広島ではあるが、本来、広島は災害が少ない土地になる。

私が東京から広島へ引っ越し、一番驚いたのが、地震が滅多に起きないこと。東京ではノイローゼになりそうなほど地震が多かったのが、同じ日本かと思うほど全く揺れなくなった。

雨に関しても、広島を含めた瀬戸内地方は、晴れの国といったフレーズがよく似合うイメージで、年間を通して雨が少ない。

台風が直撃することもあまりなく、直撃、或いは近くを通過することがあっても、九州や四国に上陸した後だったり、中国山地が防御してくれたりと、あまり被害が大きくならない。

どちらかというと、大雨による被害よりも強風による被害、とりわけ強風による高波の被害が多いといった感じだ。

大雨の日の広島市内の写真
大雨の日の広島市内

それが温暖化による気候変動なのか、その他の要因なのかはわからないが、ここのところ線状降水帯がかかるようになり、夕立が長い時間降るような感じの大雨が増えた。

広島はすぐ海沿いまで山がちという地形的にも、真砂土や岩石が多い地質的にも、長い時間大雨が降れば、土砂崩れが起きやすい。

傍から見たら、「だったらしっかりと治水対策をするべきだ」とか、「そんな危険な場所に住んでいるからだ」と、分かり切ったことではないか、そらみたことか・・・ってな感じに思うことだろう。

海岸まで山が迫る瀬戸内の地形の写真
海岸まで山が迫る瀬戸内の地形

でも、先に書いたように、広島は災害が少ない土地で、大雨や地震による大きな災害がここ何十年も起きていなかった。なので、どうしても人々の防災の危機意識は薄くなりがちだ。

もし10年周期で災害が起こっていたなら、今回災害が起こってしまった場所に住むという選択をする人も少なかっただろうし、それなりの治水対策も行われていたことだろう。

崖地に建つ民家(呉、両城)の写真
崖地に建つ民家(呉、両城)

そもそもとして広島は平地が少なく、宅地不足が深刻化している。これは近年に限ったことではなく、古くからの問題点で、崖地や山の斜面の開発が積極的に行われてきた。観光地としてよく知られている呉や尾道は顕著で、その非日常的な様子は観光客に人気となっていたりする。

そういった環境で育ってきたなら、少々の崖地でも・・・、今までうん十年生きてきて大丈夫だし・・・といった考え方になるのは、しょうがないと思う。

といった感じで、いきなり雨の降り方、いわゆる気候が変わってしまったこと。行政を含めた人々の災害に対する希薄さ。そういった部分から大きな災害になってしまったように私は感じる。

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ただ、今年は空梅雨というやつで、なかなか雨が降らない。水源となっているダムの貯水率が下がり、節水を心がけるように県からアナウンスされている。手のひらを返されたよう・・・。ではなく、これが本来の広島の気候になる。

大久野島のうさぎの写真
大久野島のうさぎ

そろそろコロナも落ち着いてきたし、梅雨期の雨がシトシト降る大久野島へ行ってみたいな・・・。きっといい雰囲気なんだろうな・・・。と、6月から機会をうかがっていたのだが、一向にそのチャンスに恵まれなかった。

天気予報を見ると、来週は久々にまとまった雨の予報。ようやくチャンス到来・・・。と思っていたら、一部地域では災害級の雨量になるかもしれないとの予報になってしまった。一向に降らないと思ったらドカンと降る。近年はこういった両極端な天候が多い。

天気予報のイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 無料イラスト【イラストAC】

でもまあ、台風が来るわけではない。船さえ運航していれば、大久野島へ行くことはできるし、そういう大雨の日も特別感があっていいかもしれない。

ということで、その大雨の日に大久野島へ行くことにし、ついでというか、尾道にも立ち寄って雨の日の朝の情景と、雨の日の猫を探してみることにした。

§2、雨上がりの早朝の商店街

豪雨の中を運転するイメージ(*イラスト:acworksさん)

(*イラスト:acworksさん 無料イラスト【イラストAC】

明け方というか、深夜、車で広島から尾道へ向かった。この時点ではそんなに雨脚は強くなく、小雨の中を順調に走り続けた。

三原の手前あたりから雨脚が強くなってきて、三原のバイパスに入ると、ワイパーを全開で作動させても前が見えないほどに激しく降り始めた。路面に溜まった水でハンドルをとられる回数も増え、けっこう危ない。三原の道の駅で小休止することにした。

道の駅で車中泊するイメージ(*イラスト:ひるねさん)

(*イラスト:ひるねさん 無料イラスト【イラストAC】

まだ夜明けまでには時間がある。することもないし、1時間ほど仮眠をしよう。車の中で横になるのだが、さらに雨が強くなり、雷の音と雨が車のボディーにたたきつける音がうるさく、なかなか寝られなかった。

とはいえ、暗い雨の中を神経をすり減らしながら運転してきたので、疲労も多い。そのうち眠りについたようで、目覚ましの音で目が覚めた。

起きてみると、雨脚は弱まり、霧雨状態になっていた。ただ、相当な雨量だったようで、トイレへ行こうとするものの、駐車場には大きな水溜まりが沢山できていて、まるで沼地のような状態になっていた。

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車を走らせ、尾道に到着すると、市役所近くの半日の上限が安い時間貸しに車を停めた。上限が決まっていると、時間を気にせずに散策ができる。心のゆとりができると、いい風景や猫にも出会いやすいというもの。

尾道 早朝の飲み屋街の写真
早朝の飲み屋街

早速、散策の開始。雨は上がっているが、念のため長靴を履き、まずは細い路地に店が密集している飲み屋街を歩いた。この界隈は夜には賑やかなのだろうけど、早朝なので異様なほど静まり返っていた。

尾道 雨上がりの路地でこちらを見つめる猫の写真
雨上がりの路地でこちらを見つめる猫

雨は上がっているとはいえ、激しく雨が降った後。猫に出会えるだろうか・・・。疑心暗鬼だったが、今回は幸先がいい。歩き出して、すぐに猫を発見した。

飲み屋の入り口で寝そべり、こっちを見ている。雨に濡れてしまったようで、体毛が身体に張り付き、ちょっと惨めな状態。同情の気持ちが込み上げてくる。雨の日に猫を拾う人が多いというのも、なんかわかる気がする・・・。

尾道 居酒屋の扉の前でくつろぐ猫の写真
居酒屋の扉の前でくつろぐ猫

横から撮ってみる。水溜まりに顔が映って面白い。と思ってシャッターを押したのだが、後から写真を見返すと、ちょっと怖く写っていた・・・。

猫の横には段ボールが置いてある。これが寝床になっていて、ここで寝泊まりしているのだな・・・と、何も疑わずに思ったのだが、段ボールの中身を見ると資源ごみだった。

でも、猫の落ち着いた様子や、水入れとエサ入れが置いてあることから、普段からここが居場所の一つになっているのだろう。

尾道 塀の上でこっちを見つめる猫の写真
塀の上でこっちを見つめる猫

同じ路地の塀の上でも猫さんを発見。さっきの猫と雰囲気が似ているので、兄弟だろうか。こっちの猫の方が警戒心が強く、さっきの猫ほど間合いが詰められない。

尾道 共同井戸と猫さんの写真
共同井戸と猫さん

この場所は共同井戸。尾道には共同井戸がたくさんある。そして井戸のある場所には、祠や道祖神が祀られていることが多い。

地域の人に大切にされてきたことを、その様子からひしひしと感じるのだが、水道が普及した現在では、井戸を使う人はいない。水を汲みに集まった人たちで、井戸端会議が行われることもない。

人はあまり来ないけど、今でも大切に守られ、手入れされている場所。猫にとってはあまり文句を言われない居心地のいい居場所になるだろうか。

尾道 熊野神社前の空間の写真
熊野神社前の空間

商店街のメインストリート、本通りから趣きのある路地を入っていくと、スペイン建築によくあるような中庭(パティオ)のような場所に出た。

スペインのように西洋風のこじゃれた噴水があったりはしないが、尾道らしく井戸と神社があり、なかなか素敵な空間となっている。ここで猫さんに遭遇。

ここは中庭のような閉鎖された空間なので、車が来ることもないし、よそ者が入ってくることもあまりない。猫にとってはとても居心地のよい空間になるだろう。

ちなみに、この神社は熊野神社。祭りの幟が立っているのは、間もなく水祭りが行われるから。

尾道 鳥居前の猫さんの写真
鳥居前の猫さん

猫さんは私の姿を見つけると、人が来たぞってな感じで、すぐに寄ってきた。頭を撫でてやるものの、何か催促している眼をしている。が、手土産になるようなものは持っていない。

猫さんは、何ももらえないとわかると、鳥居横の餌置き場へ行き、餌を食べ始めた。前にもこういう展開があったな・・・。きっとキャットフードではない、何か美味なおやつみたいなものをもらえることを期待して寄ってきたんだろう。

鳥居横で「本当に何も持っていないの・・・」と、チラチラとこっちを見ながら食べる様子は、可愛らしい。狛犬ならぬ、狛猫ってな感じ。次来る機会があれば何か持ってこようかな・・・。

尾道 早朝の本通り商店街の写真
早朝の本通り商店街

本通り商店街は、昭和的なアーケードが設置されている商店街になる。その本通り商店街を駅に向かって進んで行った。まだ朝早いので、ほとんど誰とも出会わない。

雨の日なので、雨をしのげる本通り商店街に猫が避難しているかも・・・と思いながら猫を探すものの、猫にも出会わない。

尾道 ガラスの向こうから外に出してくれと訴える猫たちの写真
おい、外に出してよ!

猫がいないな。当てが外れたな・・・と思っていたら、店のガラスからこっちを見つめている猫さんたちがいて、心臓が止まるかと思うぐらいビックリした。

ふと横を見たら、ガラスに張り付くようにして、こっちを見つめる猫がいたら、「うゎ、なんかいる!」ってな感じで、後ろに飛び退くのが、普通の反応だと思う。

この猫さんたちは、夜になるとここに回収されているのだろうか。ガラスの向こう側から、「もう朝だ。早くここから出せ!」といった圧を凄く感じる・・・。

尾道 本通り商店街の七夕飾りの写真
本通り商店街の七夕飾り

商店街を歩いていると、散歩に出かける前のワンコさんがつながれていた。早く行きたいというわけでなく、行きたくないわけでなく、淡々と待っている様子はまさに柴犬の鏡といった感じ。

尾道の本通り商店街では、毎年この時期に七夕飾りが天井から吊るされるのだが、コロナ前と比べると、随分と頭上が寂しい。早く元通りの生活に戻って欲しいものだ。

尾道 クロネコヤマト 黒猫、白猫の大群の写真
黒猫、白猫の大群

更に駅に向かって歩いていると、大量の黒猫と白猫を発見。って、ショウウィンドウに飾られた置物である。

ここはクロネコヤマトの営業所。最初は、黒と白の猫の置物に「おっ」と思ったが、よく考えると、白猫が混ざっていないほうが、インパクトがありそうだ。暗い時間帯には全く目立たないとは思うが・・・。

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