尾道にゃんこ#8-4
冬の朝の尾道にゃんこ その4
(2023年1月)
冬の朝の尾道散策と、その時に出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全4ページ)
§5、商店街の猫とチワワ
崖地をそれなりに歩いてみたが、いつもよりも猫に出会わなかった。冬の寒い時期は猫も活動的ではないと聞く。今日みたいな晴れている日は、なるべく暖かい場所、人に干渉されない空き地や空き家などで、ひっそりと日なたぼっこをして過ごしているのではないだろうか。どうもそんな感じがする。
だったら商店街の方が猫に出会えそうだ。商店街に戻ろう。と、崖地から商店街に降りてきたものの、やっぱり猫に出会わない。猫のいる八百屋さんにも行ってみたが、ちょうど外出中のようで姿がなかった。
そうだ。熊野神社に行ってみるか。あそこならきっと猫がいるはず。と、訪れてみると、熊野神社前の井戸のあるスペースで2匹の猫がくつろいでいた。
木造の家屋、そして古い井戸と日向ぼっこしている猫。これぞレトロとか、昭和的な情景。とても素敵だ。
井戸のところで日向ぼっこしていた猫たちは、私が近づくと傍に寄ってきたり、地面でゴロゴロと背中を掻き始めた。
なんか食べるものを頂戴とか、撫でて頂戴といったことなのだろう。甘えん坊の猫たちだ。
あれっ、チワワは?犬がいてもこんなに無防備なの?ってことになるのだが、植木に水をやったのか、ここに至る通路が濡れていて、この時も抱っこしていた。
崖地でもそうだったが、犬を抱っこしていると、猫は犬の存在に気が付かない。これは新たな発見だ。
かといって猫が鈍感なわけではない。虫とか鳥とか、目ざとく見つける。その観察力は凄まじい。そして驚異的な瞬発力で狩りをする。
でも、人間の一部を観察することが苦手だったり、人間が犬を抱っこしているということが理解できないのだろう。このへんは飼いネコと野良猫でまた違ってくるかもしれない。
猫さんたちは井戸の上に上がったし、ずっと抱っこしていても重いので、チワワを地面に置いてみる。
猫さんたちはやっとチワワがいることに気が付き、なんだ、なんかいるぞと、首を伸ばしながら興味津々に地面を覗く様子はなかなか可愛らしい。
せっかくくつろいでいるのに長々と邪魔をしては悪い。チワワを連れて去ることにした。
その様子を猫が複雑な表情で見つめている。犬のようになりたいと思っているのだろうか。それともああはなりたくないなと思っているのだろうか。
今日は長い時間歩いた割りにはあまり猫に出会わなかったな・・・。まあ冬の朝はこんなものかな・・・。と、尾道の散策を切り上げることにした。
車に戻るために商店街を歩いていると、猫に遭遇。猫さんはチワワが気になるようで、階段の下から逃げずに様子をうかがっている。
猫に気が付いたチワワは、猫さん遊ぼってな感じで猫の傍へ行きたそうにしているが、猫に近づけても怖がって逃げるだけ。猫さんが可哀そうなので、そのまま素通りしていく。
後ろを振り返ると、壁に隠れながらこっちを一生懸命伺う猫の顔があった。もの凄くチワワが気になるようだ。その表情や様子からわかる。
もしかしたらこっちにやって来るのかな・・・・と、立ち止まってみるものの、猫さんは壁に隠れながらこっちを見ているだけ。その様子は表情豊かで、面白い。
警戒心、好奇心、どういう気持ちで眺めていたのかわからないが、この場から離れていくと、安堵と、がっかりしたような表情をしていたのが印象的だった。
チワワは大きさ的に猫よりも小さい。猫からしたらすぐに逃げなきゃというような相手ではないが、得体が知れない。ちょっと興味はあるが、わざわざ相手をするほどでもない。そんな感じだろうか。
§6、はっさく
尾道の散策を終えると、尾道の対岸にある向島へ車で向かった。冬の瀬戸内といえばカキ(牡蠣)がすぐに頭に浮かぶが、日本の地中海と言われるぐらい柑橘類の栽培も盛んである。広島県で言うなら、蒲刈の大長ミカンがブランドミカンとして一番よく知られているだろうか。
尾道近辺では、因島のはっさく(八朔)や瀬戸田(生口島)のレモンが知られている。私的には柑橘類の中で一番好きなのが、八朔。
八朔の生産量が一番多いのは和歌山県になるが、原産地は因島で、盛んに生産が行われ、八朔を活かした町興しイベントや、八朔を使用したスイーツも多い。
因島に行くと、スーパーなどでも八朔が安く買えたりするが、向島でも多く栽培されていて、島内には柑橘類を扱う選果場(問屋)も幾つかある。そして選果場では規格外品がビックリするぐらい安く売られていたりする。
今回、冬の尾道の猫たちに会いに来たというのは間違いではないのだが、大好きな八朔を買いに来たかったという目的も大きなウェイトを占めていた。実際、毎年この時期には理由を付けてよくこの付近に来ていたりする。
で、八朔を買い付けに向島の選果場を訪れたのだが、いつもは所せましと山積みに置かれている柑橘類が、ちょっと置いてあるだけ。まるで閉店前のお店のよう。
なんで柑橘類の旬の時期にこんなに少ないの・・・。想定外の出来事に驚き、店の人に聞くと、正月開けのこの時期(1月上旬)はミカン系が終わり、皮の厚いポンカンなどのオレンジ系が入る前。ちょうど品種の入れ替わりの時期になるらしい。知らなかった・・・。
訪れたのは1月12日の木曜日。来週の月曜、16日に八朔などが入ってくる予定なのだけど・・・と言われ、なんともがっくり。仕方なく、置いてある伊予柑などを少し購入して帰ることにした。
八朔に限らず柑橘類を買いに行く人は、1月前半はなるべく避けたほうがいいみたいだ。来年以降は気を付けよう・・・。
尾道にゃんこ編
#8 冬の朝の尾道にゃんこ(2023年1月) #9 鞆の浦と尾道にゃんこ(23'3)につづく