旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル

尾道にゃんこ#5-4
豪雨の日の尾道にゃんこ 大久野島編
(2022年7月)

豪雨の日の尾道と大久野島の散策と、その時に出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全4ページ)

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§6、大雨の日の大久野島

尾道の散策を終えると、予定通りウサギの島として知られる大久野島へ向かうことにした。

大久野島は瀬戸内海に浮かぶ完全な離れ島。宮島同様に船でしか行くことができない。船の便が発着しているのは、竹原にほど近い忠海の港。尾道からだと、車、鉄道ともに30キロ弱の距離になる。

大久野島付近の地図(国土地理院地図)

国土地理院地図を書き込んで使用

忠海から大久野島へ向かう船便は、近年、観光客の増加で専用の便が運航されるようになったが、基本は大久野島経由、大三島の盛港行きのフェリーになる。

この航路は大三島と本州の忠海を結ぶ生活航路になっているので、比較的便数が多い。特筆すべきは、車で利用するとそれなりの料金がかかってしまうが、二輪車だと安いこと。

バイクで広島市内から大三島や四国に向かう場合、或いはその逆の場合、尾道に出てしまなみ海道を通るよりも、このフェリーを利用するほうが距離的に近いし、料金的にも安くつく。なにより移動に船旅の情緒も加わって、移動が楽しい。と、利用価値がとても高く、バイクに乗って旅をしていたころは何度か利用した。

大三島のフェリー乗り場とバイクの写真
盛港(大三島)と愛車

ただ、バイクを乗せて乗船する場合、大久野島へ気軽に途中下車というわけにはいかない。バイクも一緒に船から下ろさなければならないので、再びバイクの料金がかってしまい、高い寄り道となってしまうからだ。

なので、バイクで利用しているときは、船上から大久野島や桟橋にいるウサギを眺めるだけで、立ち寄ることはなかった。

竹原 忠海港のフェリー乗り場の写真
忠海港の待合所

忠海への道中は、雨が降ったり、やんだりする空模様だったが、忠海港に到着すると、再びバケツをひっくり返したような大雨が降ってきた。

竹原 大久野島、雨の中到着するフェリーの写真
雨の中到着するフェリー

バスや鉄道と違って、水の上を進む船の場合、風と波が強くなければ少々雨が強く降っていようが関係ない。船は運休や遅延もなく、通常通りに運行していた。

しかしながら朝から大雨だし、現在も呉線は止まっているしと、利用客は壊滅的に少ない。到着してきたフェリーからは、一台の車と2名の乗客が降りてきただけ。

フェリーに乗船してみても、乗船客は数人だけという寂しい状態で、大久野島で船を降りたのも私一人だけ。乗ってくる乗客もいなかったので、私のために特別に島へ立ち寄ってくれているかのようだった。

竹原 大久野島、フェリー桟橋近くの写真
大久野島、フェリー桟橋近く

大久野島へ到着してもほぼ誰もいない・・・。休暇村行きの無料送迎バスが待機していたが、運転手は私に声を掛けたらすることがなくなり、退屈そう。しばらくしたら空のバスを走らせていった。

ここ大久野島は島内にウサギが沢山いることで知られている。しかもここのウサギは人懐っこく、人の姿を見つけるとわさ~と寄ってきて、餌のおねだりをしてくる。

今日は他に人がいないし、午前中に来島した人もほとんどいなかったようで、お腹を空かせたウサギたちが私の姿を見つけるなり群がってきた。島やウサギを独り占めできるような感覚で、なかなか気分がいい。

竹原 大久野島、フェリー桟橋と子ウサギ写真
竹原 大久野島 桟橋付近のウサギたちの写真
桟橋付近のウサギたち

とはいえ、コロナ禍の前に訪れたときに比べると、明らかにウサギの数が少なくなっている。

コロナの流行によって島を訪問する観光客が激減し、もらえる餌が少なくなったことから、ウサギの数が激減したと報道されているのを何度か目にした。

その時は、ちょっと減ったぐらいだろう。大袈裟な・・・と思っていたのだが、島に到着し、少し歩いただけでそのことを実感できるほど少なくなっていて、本当だったんだ・・・と驚いた。

でも、ここのところ観光客が戻ってきつつあるという話なので、このまま何事もなく2、3年経てば、また数が増えていくことだろう。

とはいえ、人間の都合で観光客が増えたり、減ったりするというのもウサギ自身、そしてその生態系にもよくないことに違いない。

竹原 大久野島 水溜まりとウサギの写真
水溜まりとウサギ
竹原 大久野島 葉の下で雨宿りするウサギの写真
葉の下で雨宿りするウサギ
竹原 大久野島 餌をおねだりに来たウサギの写真
餌をおねだりに来たウサギ

桟橋から島の奥の方へ進んで行くと、餌をくれる観光客が来ないかなと、各所でウサギたちが待機していた。そして私の姿を見つけると、ダッシュで近づいてくるなど、熱烈な歓迎を受けた。

雨の日のウサギたちもいいものだ。水も滴るイイ女とは言うが、ウサギは少々濡れても猫のように惨めな姿にはならないのがいい。それに雨の日は独特の情緒があるし、何より他に人がいないというのがいい。

竹原 大久野島 旧日本軍の発電城跡の写真
旧日本軍の発電城跡
竹原 大久野島 葉に覆われる砲台建造物の写真
葉に覆われる砲台建造物

大久野島はウサギの島として知られているが、本来ここは旧日本軍の軍事施設だった場所。しかも超重要極秘施設で、化学兵器製造拠点、いわゆる毒ガスの製造が行われていた。そのため戦争中は地図から消されていたほどだ。

現在でもその史跡が多く残っている。今回、大久野島へ来たかったのは、ウサギに会いたかったのもあるが、雨の日の旧日本軍の廃墟と化した施設の写真を撮ってみたいなと思ったから。

竹原 大久野島 砲台建造物とウサギの写真
砲台建造物とウサギ
竹原 大久野島 浸水する砲台跡の写真
浸水する砲台跡
竹原 大久野島 池と化した砲台跡の写真
池と化した砲台跡

で、旧日本軍の施設を巡ってみたのだが、雨の日は緑が生き生きとしていて、まるでジャングルにある遺跡というのは大袈裟だが、ちょっと神秘的な雰囲気が漂っているのがよかった。

ただ、明け方から尋常ではない雨が降ったので、一部の砲台の建物は水に浸かってしまっていたし、大砲が置かれた砲台跡も水が溜まって池のようになっていた。これはこれで中世の貯水システムの遺跡っぽくていいかも。きっとそう紹介しても、全然違和感がないはず・・・。

§7、大久野島の四季

大久野島へは、いつ訪れるのが一番ベストか。或いは一番印象的なのか。大久野島を訪れようと思っている人には、とても興味がある話題だと思う。

行楽の鉄板である春や秋は、ウサギにとっても過ごしやすい時期になり、動きが活発になる。訪れるのに最適な時期となるのだが、考えることはみんな一緒。休日になると訪問客が異常に多いというのが、玉に傷となる。

竹原 大久野島の夏のウサギの写真
夏のウサギ

(#4で登場した甥と姪)

夏は暑いが、海水浴場が開設されるので、海も楽しむこともできる。ウサギは木陰で涼んでいることが多いが、人の姿を見つければ寄ってくる。できれば朝夕の涼しい時間帯、とりわけお腹を空かせている朝一はお勧めになる。

夏は混んでいそう・・・。確かに訪問客は平素よりも多いには多いが、夏休み期間中は平日にも分散されるので、運が悪くない限りそこまで混雑はしないかな・・・といった感じ。

もし砲台跡などの史跡に興味があるのなら、下草が少ない冬がベストシーズンとなる。でも、ウサギは冬眠していて姿がないんじゃない・・・ということはなく、日差しのある日などは、仲良く日向ぼっこをしている様子を見ることができる。

ただ、他の季節に比べると、活動的ではなく、動きは悪いとか。他に観光客が少ない事を考えると、日差しのある日に訪れることができるなら、そんなに冬も悪くはなさそうだ。

竹原 大久野島 団子状態になって餌を食べるウサギの写真
ウサギ団子

とまあ、いつ大久野島を訪れるべきか?という質問はナンセンスで、いつ訪れてもそれぞれ良さがあるので、ガッカリすることはないと思う。

ただ、ゴールデンウィークなど、余りにも観光客で混雑している日に訪れると、人を見に来たような感じになり、いい思い出が作れないかもしれない。これは大久野島に限ったことではないが・・・。

竹原 大久野島 ウサギの子供の写真
子供のウサギ

では、いつが一番印象的かという問いに関しては、私のお勧めは、今回のような梅雨時期の雨の日。

なぜならこの時期は可愛いい子ウサギがいるから。それに雨の日だと人が少ない。そして雨だと緑が美しく、旧軍事施設の廃墟感がより強調されるのがいい。

竹原 大久野島 廃墟とウサギの写真
廃墟とウサギ

今回のように呉線が止まっている日は最高の訪問日となるが、台風が接近している場合や、海が時化ている時は、船も欠航となるので、レアケースになる。

平日の雨の日も人が少ないはずだ。そういう日に訪れることができるのなら、ウサギの餌をキロ単位で持参することをお勧めする。あげてもきりがないほどウサギが群がってくるからだ。

ただ、島内は舗装されていない場所が多く、雨の日は足元が悪い。雨の日に訪れるのなら長靴やサンダルを用意しておくことを強くお勧めする。

旅人が歩けばわんにゃんに出会う
尾道にゃんこ編
#5 豪雨の日の尾道にゃんこ(2022年7月)
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