尾道にゃんこ#9-2
鞆の浦と尾道にゃんこ その2
(2023年3月)
春先の鞆の浦と尾道の散策と、その時に出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全4ページ)
§4、冬を乗り越えたにゃんこ
鞆の浦から尾道へやって来た。まずは尾道を素通りして、対岸にある向島へ。その目的は八朔。私の好物である八朔を買うために青果選果場、いわゆるミカンなどの柑橘系の卸し問屋を訪れた。
前回、尾道にやって来たのが、1月初旬。その時にもここを訪れているのだが、まだ出荷前ということで買うことができなかった。
例年なら3月中旬はまだ八朔のシーズンのはず。今回はちゃんと買えるだろう。そろそろ時期が終わるので、まとめて買っておこう・・・。箱単位で買って帰ろうかな・・・。といった感じで青果選果場を訪れたのだが、お目当ての八朔がほとんどおいていなかった。しかも、残り物といった感じで、品質もよくない。
なんで八朔がないの・・・?どうやら今年は例年よりも収穫が少なく、また、温暖化の影響か早めに出荷が終わり、更には引き合いも多かったとか何とか。
八朔以外の柑橘類も同じような状況だとかで、店頭にある柑橘類が少ない。何とも残念。猫に会うよりも八朔の方を楽しみにしていたのに・・・(本音)。今年は八朔に縁のない年になりそうだ。
向島から尾道大橋を通って尾道市街へ。渡し船に車ごと乗っても130円(*普通車、大人1名乗車の場合)ほど。ビックリするぐらい安い。もし強烈に燃費の悪い車に乗っていたら、橋を渡るよりも安く済むということになるだろう。ほんと、ここの渡し船はコストパフォーマンスが優秀だ。
せっかくならフェリーで・・・と頭をよぎったが、船を待って、船に車を載せて、小銭を払って・・・というのが少々面倒。八朔ショックもあり、まあいいかと、慣れた橋の方を選んでしまった。
さて、今日はどこに車を停めよう。無料の駐車場があれば、気兼ねなく散策ができるというものだが、あいにくと尾道にはない。今日は少しだけ散策する予定なので、上限設定の安い駐車場よりも、時間あたりが安い所がいい。ってことで、20分70円の市役所に車を停めることにした。
車を停めると、早速、チワワを連れて散策開始。まずは商店街へ。いつもよく猫に出会う路地を通ると、ビルの階段の前で猫が日向ぼっこをしていた。チワワを見ても無反応。ここの猫は少々のことでは動じない。
ここには人懐っこい猫がいて、尾道に来たら必ず会うようにしている。その猫の姿を探し、辺りを見渡すものの、姿が見当たらない。どこか散歩に行っているのかな・・・。
まあいいか。次へ行こう。と、歩き出すと、ビルの隙間に置いてあるスクーターの上で寝ているのを発見。いつもの元気はなく、どうも少し具合が悪そうに見える。
外で暮らしている猫は健康の問題を抱えやすい。この冬は尾道でも雪が積もったという話だし・・・。何歳なのかわからないが、よく冬を越えたというべきだろうか。
それにしても・・・、バイクの上ににゃんこ。なんとも微笑ましい光景・・・、ってなわけがない。このバイクは放置された不動車のようだが、元バイク乗りとしてはこういった光景を見ると、顔が引きつってくる。
ちょっと寝ているだけじゃない。少し汚れるぐらいでしょ。細かいことを言いなさんな。器が小さい。バイクに乗らない人はそう思うかもしれない。
しかし、寝ているだけならまだしも、目覚めて身体を延ばすときに爪をシートに立てると、シートを覆っているビニール部分に穴が開いたり、破れてしまうことが問題なのだ。
シートの中にはクッション材としてスポンジが入っている。もし表面に穴が開いてしまうと、雨が降った時に破れたところから水が入り込み、スポンジが水を含んでしまう。そうなってしまうと、そう簡単に乾いてくれない。
シートに座るとズボンが濡れるし、カビが生えてきたりすると、ズボンまで臭くなる。更には一カ所でも亀裂が入ってしまうと、乗っていると、傷がどんどん広がっていくことになる。
破れた箇所にビニールテープなどを貼って応急処置をする手もあるが、乗っていると剥がれてしまい、粘着剤がズボンに付着するとなかなか落ちない。そもそも座り心地も悪くなる。もし修理しようとなると、うん万円かかる。結構高いのだ。
庭などでフンをしても掃除をすれば済むが、バイクのシートはしょうがないと笑って済まないほど大きなダメージとなるのだ。いくら猫が好きでもバイクのシートに猫が座るのを黙っていられるバイク乗りは少ない。特に自分の敷地内に停めていた場合は、勘弁してくれよ!となる。
もし、バイク乗りが必死になって猫を追い払っていても、それは仕方のないことだと思っていただきたい。かなり切実な問題なのだから。
ブラブラと商店街を歩くが、他に猫は見当たらない。熊野神社に行ってみるか。あそこなら確実に猫に会える。と、路地を入っていくと、ここの主であるにゃんこが、まるで来るのが分かっていたかのように出迎えてくれた。
この猫も元気がいまいちない。とりわけ目が見えにくそうだ。外で暮らしている猫たちには、冬の寒さは我々が思っている以上に堪えるのだろう。
近年は夏も異常に暑い。外で暮らしていると季節ごとにダメージがどんどん体内に蓄積され、身体を蝕んでいっているのではないだろうか。
撫でてやると、にゃんこは鳥居の方へ上がっていった。猫と鳥居。和風って感じでいい。まだまだ元気で過ごし、次来るときも出迎えてもらいたいものだ。