旅人が歩けばわんにゃんに出会う タイトル

尾道にゃんこ#3-2
続・桜の季節の尾道にゃんこ 後編
(2021年4月)

桜の季節の尾道散策と、その時に出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全2ページ)

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§3、御袖天満宮と西國寺

尾道 御袖天満宮の階段と石垣の写真
御袖天満宮の階段と石垣

商店街を後にし、崖地の方へ向かった。まず最初に訪れたのは、永江町の崖地にある御袖天満宮。

尾道は映画の町として広く知られている。それは尾道を舞台(ロケ地)にした作品が多くあるからで、その中でも大林宣彦監督が手がけた尾道三部作と言われる、「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」は特に有名だ。

映画「転校生」は、主人公の男女二人が階段から転げ落ちた時に、なぜか中身が入れ替わってしまい、その後、様々な難題に立ち向かうといった話になる。その序盤の大切な場面、階段で転げ落ちるシーンで使用されたのが、ここ御袖天満宮の55段の石段になる。

尾道 上から見た御袖天満宮の階段の写真
上から見た御袖天満宮の階段

この階段は何気に凄い。何も知識がなくても階段の前に立てば、きれいな直線基調の美しさに圧倒されると思う。

細かいところを見ていけば、石段には一枚石が使われていたり、横の石垣の積み上げ方、特に左手は城の石垣レベルできっちり積まれていて見事だ。

尾道 御袖天満宮の三毛猫の写真
御袖天満宮の三毛猫

階段を転げ落ちると怪我するだけではなく、何が起きるかわからない。それが尾道だ。などと考えながら歩けるのが、尾道散策の楽しいところ。

念のため、慎重に階段を登り、御袖天満宮にお参りをしようとしたら、三毛猫さんが拝殿の前をスタスタと横切っていった。

写真を撮ろうと近づくと、さっと逃げていってしまった。当たり前の野良猫の対応。尾道にいる猫の全部が全部、人に慣れているわけではない。

尾道 御袖天満宮 ベンチ下でくつろぐ猫の写真
「今日は暖かくて気持ちいいですね。」「そうですにゃ~」
尾道 御袖天満宮 ベンチ下でくつろぐ猫の写真
「青空が広がっていい天気ですね」「そうですにゃ~」

学問の神様に、猫に沢山出会えますように・・・と、意味不明なお参りした後、階段を転げ落ちないように下っていくと、参道横にある東屋で猫さんが日向ぼっこをしていた。

ベンチの下でとても気持ちよさそうな顔をしている様子を見ると、こっちも幸せな気分になってくる。

尾道 西國寺門前の写真
西國寺

御袖天満宮を後にすると、その奥にある西國寺へ。西國寺は真言宗醍醐派大本山で、愛宕山の山腹に大伽藍が広がっている。簡単に書くなら尾道で一番立派で、大きな寺ということになる。

この寺の境内には多くの桜が植えられていて、桜の時期には素敵な雰囲気になると、口コミがあったので、今回足を運んでみることにした。

尾道 西國寺の仁王門の写真
西國寺の仁王門
尾道 桜の多い西國寺境内の写真
桜の多い西國寺境内

巨大な草履、そして数多くの小さな草履がぶら下げられている仁王門をくぐると、そこは桜爛漫な世界。なかなか美しい境内だ。

人があまりいないのもうれしい。尾道を訪れる観光客の多くは、千光寺や展望台のある千光寺山に登っていく。ここは千光寺山とは別の山になるし、町の中心からも離れているので、こっちまで訪れる人は少ないようだ。ちょっとした穴場になるだろうか。

尾道 西國寺 桜の木の下での撮影の写真
桜の木の下での撮影

境内では着物を着た女性がカメラマンに写真を撮ってもらっていた。尾道っ子には定番の撮影スポットになるのだろうか。

昨今、コロナ禍のために成人式や入学式、卒業式などが中止になっている。こういった形で記念写真を撮っておくのは、とてもいいことだと思う。カメラマンや着付けの人も仕事ができて助かるだろうし。

尾道 桜がきれいな久保八幡神社の参道の踏切を横切る列車の写真
久保八幡神社の参道の踏切

西國寺からは参道を通って国道2号線へ。久保八幡神社の桜がきれいに咲いているのが見えたので、ちょっと寄ってみた。

この神社は鳥居と本殿の間の参道の途中を、国道2号線とJR山陽本線が横切っているといったユニークな・・・と言ったら、「好きでこうなったんじゃない!」と怒られそうだが、変わった造りをしている。

ちょうど踏切のところにある桜がきれいだったので、列車と一緒に撮ってみた。2年前のダイヤ改正で、広島駅を発着する電車は全てステンレス製の車両に置き換わってしまったので、古い黄色の電車が走っている様子は、ちょっと懐かしく感じる。

§4、崖地の散策

尾道 猫の細道の壁画の写真
猫の細道の壁画

今回、西國寺とともに訪れてみたかったのが、猫の細道と名が付く路地。その名からすると、ここに行けば猫に遭遇する確率が高いに違いない。そう思って行く前に調べてみると、猫のアートや福石猫という石の猫が飾られた道とのことだった。

本物の猫に会えるわけではないんだ・・・。でも、これはこれで面白そうだ。と、今回訪れてみることにした。

尾道 猫の細道 福石猫が置かれた道の写真
福石猫が置かれた道

巨大なクスノキで知られる艮神社の横の坂道を登っていくと、猫の細道にたどり着く。細い階段の道で、壁には猫の絵やアートが飾られ、地面の階段にも猫が描かれ、道の随所に丸石を利用して造られた福石猫が置かれていた。

実際に歩いてみると、なかなか楽しい道だ。隠れ小径といった感じのひっそりとした雰囲気もいい。途中には森の中の喫茶店といった雰囲気のいい店もある。予想以上に素敵な小径となっていた。

ただ、きつい登り坂という事実は変わりない。周囲の楽しさに気が紛れ、登るのが楽かというと、それは最初だけ。次第に楽しむ余裕がなくなってくる・・・。

尾道 桜の時期の天寧寺三重塔と尾道水道の写真
天寧寺三重塔と尾道水道

猫の細道を上がっていくと、天寧寺三重塔と尾道水道が見渡せる展望スポットへたどり着く。ここからの眺めは、有名画家が写生した場所ということで、尾道を象徴するような景色になっている。

実はこの塔、元々は五重塔だったのを、損傷の大きな上部二つを撤去して、三重塔に改築したそうだ。もし五重塔のままだったらどんな風景になっていたのだろうか。

ポルトガルロカ岬の写真(*たかちゃん790さん)
新倉山浅間公園から眺める富士山と五重塔

(*写真:たかちゃん790さん 【写真AC】

日本を象徴する風景写真として、山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園から眺める富士山と五重塔と桜の写真が使われることが多いが、もしこの塔が五重塔だったらそれを越えられたかも・・・などと想像すると楽しい。

それにしても桜の時期の尾道は美しい。尾道城は解体されてなくなってしまったけど、いい風景が散りばめられていて、それを探すのが楽しい。

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山頂の千光寺山公園の展望台は現在工事中。今回はわざわざ登らなくてもいいかということで、崖地を少し散策することにした。

で、千光寺通りの階段を下り、東土堂ポケットパークへ。ここは猫のたまり場として知られている。詳しく報じられてはいないが、先日起きた猫切りつけ事件は、住所からいってこの付近で起きたのではないだろうか。

尾道 千光寺通り 猫の撮影をする二人組の女性の写真
猫がいた~

ちょうど私が階段を降りるタイミングで猫も降りてきた。他の観光客が「猫がいた~」と写真を撮り始めたので、終わった後にゆっくり撮ろうと思ったら、そのまま草むらに隠れてしまった。

ポケットパークを訪れてみたが、ここには猫の姿がなかった。2年前訪れたときは猫がたくさんいたのに・・・。猫も人もいなく、がらんとしていて寂しい雰囲気。きっと猫も警戒心が強くなってしまったのだろう。

尾道 桜満開の信行寺の写真
桜満開の信行寺

他に猫がいる場所に行こう。2年前に訪れたときは、宝土寺に猫がたくさんいた。そう思って宝土寺を探すのだが、どこだったっけなとたどり着けない。で、迷いながら歩いていると着いたのが信行寺。ここの境内には桜が多く植えられていて、素敵な空間となっていた。

尾道 屋根付き塀とにゃんこの写真
屋根付き塀とにゃんこ

信行寺の塀は瓦ぶきの屋根が付いたもの。その塀の上で猫が佇んでいた。小さな塀の屋根と猫の組み合わせは可愛らしい。

尾道 塀の上のにゃんこの写真
塀の上のにゃんこ

この猫は前回見かけたような気がする。親しみを感じつつ、近づいてみようとしたのだが、逃げる体勢になってしまった。悲惨な事件が起きたばかり。人間不信になっていてもおかしくない。近づくのはよしておこう。

時計を見ると、散策を初めて二時間ちょっと。駐車場料金が上がるのも嫌だし、今回の散策はこれにて終了。駐車場に戻ろう。

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今回の散策では、商店街に多くの猫がいることが分かったのが収穫だった。次回訪れる時には、積極的に商店街を歩いてみよう。

一方、崖地ではあまり猫に遭遇しなかった。切りつけ事件があった事と関係あるのかは分からないが、2年前よりもだいぶん猫の数が減ってしまったのように感じる。

最近の口コミや検索などを見ると、「尾道 猫いない」というフレーズが多くなっている。実際に歩いてみて、そういう感想が多いのも納得。本来なら健全なことなんだろうけど・・・、観光客の立場としては「猫のいない尾道なんて尾道じゃない」ってな感じで、ちょっと複雑。

旅人が歩けばわんにゃんに出会う
尾道にゃんこ編
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