尾道にゃんこ#11-2
除虫菊と尾道にゃんこ 後編
(2023年5月)
ゴールデンウィーク中の尾道と因島の散策と、出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全2ページ)
§4、因島と除虫菊
尾道から向島に渡り、ここから有料道路のしまなみ海道を使って因島へ。尾道市街地からしまなみ海道へ乗るには、少し戻らなければならないし、向島からの方が安い。何より、今年はゴールデンウィーク期間中は渋滞緩和のため、休日割引がない。旅費の節約のために車中泊するような人間は、少しでも安い方法を選ぶものだ。
因島に到着すると、イベントが始まるまで時間があるので、少し散策してみることにした。まずは白滝山。ここは山頂の上に5百羅漢像が並んでいることで有名だ。
山頂から見渡す瀬戸内の島々と因島の様子は、とても素晴らしい。因島でもお勧めスポットの一つだ。
白滝山にも除虫菊の畑がある。ここからは因島大橋が眼下に見える。白い除虫菊の絨毯と、島をつなぐ大きな橋。瀬戸内らしい素敵な光景だ。
そもそも除虫菊って何。と、知らない人もいると思う。除虫菊はキク科の多年草で、和名での正式名称は、「シロバナムシヨケギク」。英名だと「Pyrethrum」になる。
除虫菊という名前の通りに殺虫成分であるピレトリンを花の子房に含み、蚊取り線香などの原料となっていた。
第二次世界大戦前は盛んに生産されていたが、戦後になると、ピレトリン類似化合物のピレスロイドが殺虫成分の主流となっていき、今では産業としての除虫菊の栽培は行われていない。
ここ因島では、大正時代の初めごろから除虫菊の栽培が始まり、生産のピークは1960年代。一時期は生産量日本一を誇っていて、花が咲く5月の初旬には、島全体が真っ白に染まって見えたそうだ。
次の訪問地は、馬神除虫菊畑。車を走らせていたら、道を間違えて、いや、私ではなく、カーナビが道を間違えて、細い路地に入ってしまった。すると、目の前を猫が悠々と歩いていた。島らしい光景だ。くれぐれも車に引かれないようにね・・・。
除虫菊生産量日本一だった因島では、かつては島全体が除虫菊に覆われるほど、多くの除虫菊畑があった。しかし、現在では除虫菊は使用されなくなり、そういった畑もなくなってしまった。今では尾道といえば、八朔になる。
それでは寂しい。かつての光景が懐かしい。と、島民によって観光用に除虫菊畑が造られている。
その代表が、馬神の高台にある馬神除虫菊畑。港を見下ろすようにある除虫菊畑からの景色は美しく、ここの写真は美しい日本の景色としてメディアなどによく紹介されている。
楽しみにしていた馬神除虫菊畑。ワンコに除虫菊コーディネートをして訪れた。
青い空に青い海。そして瀬戸内の島々に漁港。足元には白い除虫菊の絨毯。とても素晴らしい。が、晴れているのに文句を言っては罰が当たるかもしれないが、靄っとした晴れではなく、スカッと晴れていれば、もっと海や空がきれいで、瀬戸内らしかったかな・・・。
とはいえ、やっぱり多くの人が評価するだけあって、ここからの景色は本当に素晴らしい。多くの旅をしてきた私が自信を持って他の人に勧めたいと思うほどだ。
馬神除虫菊畑へは、臨時で設置されている駐車場から少し歩かなければならない。そこそこ登りのある農道で、農道の周囲には柑橘類が植えてある。
除虫菊畑を見終わり、その農道を駐車場に戻っていると、柑橘類の畑の中に、にゃんこを発見。一生懸命観光客に向かって鳴いている。何かくれとアピールしているのかな。
私の姿を見つけると、前の観光客にしていたように、こっちに向かって猫なで声でアピールしてきた。
ちょっと声が大きいけど、なかなか可愛らしい猫だ。と思ったのだが、チワワの姿を見つけるなり、その鳴き声が威嚇の叫び声に変わった。その声がビックリするほど大きく、不気味。まるでムンクの絶叫といった感じ。あまりの凄まじい声に、私もチワワもたじろいでしまった。
我が家のチワワは猫に慣れているので、少々威嚇されてもたじろいだりはしないのだが、さすがに今回は怖かったようで、すぐ私の後ろに隠れ、帰ろうよとリードを引っ張る始末。
チワワが私の後ろに隠れ、姿が見えなくなると、鳴き止むのだが、その表情は激おこのまま。ここまで感情の激しい猫は初めてだ。
すいません。お邪魔しました。と、早々に撤収。後ろから他の観光客が歩いてくるのだが、再び猫なで声を発していた。なんと変わり身が早い・・・。
因島除虫菊祭りのメイン会場は、因島フラワーセンター。広い園内には花が多く植えられていて、温室もある。
無料の割には凄い公園だなと思ったのだが、海と島の博覧会の時に開場した施設で、昔は有料の植物園となっていたそうだ。それが潰れてしまい、今は公園となっている。呉にあるポートピアと同じで、バブル期に造られた施設の成れの果てとなるようだ。
除虫菊祭りは、キッズダンスやバンド演奏などのステージイベントに、スタンプラリーや常駐菊の展示や摘み取りなどが行われる。変わったものでは、昔ながらの除虫菊を使った線香造り体験などもやっていた。
§5、渋滞、渋滞、渋滞
往路同様に因島から向島に渡り、ここで昼食をとった後、尾道大橋を通って尾道市街へやって来た。
時刻は昼過ぎ。1~2時間程度、猫がいそうなスポットを巡って帰ろう。そう思っていたのだが、それはとても困難なタスクだった。
国道2号線から海岸通りに入ると、車がずらっと並んでいた。えっ、これって、市役所駐車場への入場待ちの列・・・。松本病院の前付近まで並んでいたので、ざっと300mの列となっている。
これはシャレにならない。下手したら、いや、普通に1時間は待つことになる。おそらく他の駐車場も満車となっていて、それなりに待つに違いない。というより、あちこちでこういった駐車場待ちの列ができていたら、町中を走るのも大変だ。
尾道の観光サイトに、ゴールデンウィークは駐車場が一杯になり、市街地の道路が混雑すると、注意喚起してあったのも納得。ここまで混むとは、恐れ入った。
これでは尾道散策どころではないな。しょうがない。今日は諦めて帰ろう。と、Uターンして、2号線に戻り、広島方面へ向かった。
尾道駅前も駐車場が多くあるので、混んでいるかもしれない。混雑を避け、石見銀山街道を通って尾道バイパスに出てしまおう。ということで、2号線から石見銀山街道に入ったのだが、反対車線は2号線の交差点を先頭に大渋滞。
この道はかろうじて車がすれ違えるほどの道幅しかないので、ここで渋滞はまったらUターンも困難。身動きができない状態になる。
渋滞の原因は交通集中なのだが、2号線との交差点には、ちょうどJRの高架橋が架かっていて、不慣れな人には先が見えにくく、進みにくい。その為、一回の信号で数台しか進めないというケースが多々ある。
信号で進めていないので、車の列が順調に進むわけがない。ナビで尾道市役所を指定すると、このルートが選択されると思うが、ゴールデンウィークの昼頃に通るのは避けるべきだ。
よくあるパターンとして、お昼だし、尾道ラーメンでも食べていく。なんていうのは、普段の日曜日でもスマートにいかない。昼頃は中心部の駐車場は混み合い、名の知れたラーメン店には長い行列ができる。
ゴールデンウィークは言わずもがな。駐車場にたどり着くまで1時間かかり、駐車場待ちで1時間かかり、ラーメン店の行列に並んで食べるまで1時間かかる。なんていうことも、冗談ではなく起こりうる。
ガッカリな旅にしないためにも、ゴールデンウィークに尾道を訪れる際には、時間の余裕を持たせた計画を立てておいたほうがいい。ほんと、ここまで混むとは・・・。ゴールデンウィークの尾道、恐るべし。身を持って貴重な体験をすることができた・・・。
尾道にゃんこ編
#11 除虫菊と尾道にゃんこ(2023年5月) #12 少し昔の尾道にゃんこ(07'8)につづく