尾道にゃんこ#9-4
鞆の浦と尾道にゃんこ その4
(2023年3月)
春先の鞆の浦と尾道の散策と、その時に出会ったニャンコたちのスケッチです。(*全4ページ)
§6、コロナ明けの尾道散策
今日のメインイベントは鞆の浦。そして八朔なので、尾道散策はついでといった立ち位置。駐車場が無料ならゆっくりしてもいのだが、そうでもないので、猫の細道を登りきると千光寺山には登っていかず、崖地を水平移動して、適当なところで下に降りて駐車場に戻ることにした。
ということで、春の暖かい日差し・・・、ではなく、春の少し暑い日差しを浴びながらチワワとともに崖地の路地をてきぱきと進んでいった。
3月中旬といえば、卒業式や卒業旅行のシーズンになる。歩いていると、卒業旅行らしき若者のグルーブが多い。
つい3日前には、新型コロナウイルス対策の緩和が行われ、これまでの「屋内は原則マスクを着用」から、屋内も屋外童謡に個人の判断に委ねられることになった。早速、卒業式をマスク無しで行う学校もあるようだ。
ということで、この春はコロナ自粛の終息となってから、最初の行楽シーズンになる。尾道を歩いていて感じるのは、コロナ前よりは幾分人の数は少ないが、若い人の数だけを考えるなら、コロナ前と同じぐらいの水準かな・・・といった印象。若者を中心に、早速、リベンジ旅行が起きているようだ。
とりわけ尾道は女性の旅行者の姿が多い。尾道には女性が行ってみたいと感じるような魅力を秘めているのだろう。
崖地の路地を歩き、光明寺境内に入る手前の通路でにゃんこに遭遇した。この界隈の猫は比較的人に慣れているので、人の姿を見つけても慌てて逃げたりはしない。
人間の様子を伺い、知った人なのか、何かくれそうなのか、撫でてくれそうか、危害を加えられそうかなどを判断し、ある程度近づいたら逃げる猫が多い。
この猫はチワワを見つけると、何者だといった感じで近づいてきた。猫よりもはるかに小さいチワワを見慣れていると、猫が真剣になった姿はけっこう迫力を感じる。
写真で見ると、猫に襲われそうでチワワがピンチ!といった場面に思えるが、実際は柵を隔てた向こうにいたりする。柵の中にいる猫の様子は、なんだかミニ動物園みたい・・・。
光明寺のすぐ近くには猫スポットの西土堂ポケットパークがある。猫がいるかなと訪れてみたのだが、空振り。猫の姿はなかった。
再び光明寺に引き返し、宝土寺へ向かおうと歩いていると、崖の下の路地に猫を発見。どうやら餌置き場を巡回しているような様子。予定変更。せっかくだからここから下っていこう。
まずは上から路地を歩く猫の様子を写真に収めておこう。と、写真を撮ると、何か後ろから視線を感じる。振り向くと、すぐそばに鳥がいて、こっちをじっと見つめていた。
こんなすぐそばで鳥にジッと見つめられるなんて、今までの人生においてほとんどない。なので、とっても驚いた。
鳥の目つきというのは、なにか達観したような目つきをしている。人間、もっと精進しなさい。などと語りかけられているよう・・・。いや、最近なにかと肩身が狭い写真家もどきとしては、何、勝手に写真撮ってるのと目で訴えられているような感じ。
というより、何で逃げないの。この鳥・・・。よくわからない展開だ。猫の写真を撮らずに自分の写真を撮ってくれということなのか。鳥の写真を撮ってみたが、無反応。全く愛想がない・・・。
猫と同様に人に慣れているといった感じを受けるが、どう相手をしていいのだろう。手を差し出せば、手の上にのってくれるのだろうか。鳥は飼ったことがないのでさっぱりわからない。
でもまあ、正直なところ鳥には全く興味がない。鳥に愛着がわいて鶏肉が食べれなくなるのも嫌だし、せっかく見つけた猫が逃げてしまったらガッカリする。ジッと見つめる鳥の視線を無視して、この場を去った。
まずい。猫を見失ってしまう。チワワを抱えてダッシュで階段を降りると、まだにゃんこは路地を歩いていた。よかった。間に合った。
にゃんこは私に気が付き、振り返るものの、なにか用。なんで息を切らしているの。怖いんだけど・・・。といった戸惑った表情。
近づいたら塀の上にジャンプ。塀の上の方が逃げやすく、安心するのだろう。でも、カメラを向けると、バッチリと目線をくれた。今日は塀の上のにゃんこに縁がある。塀の上のにゃんこ。実に尾道らしくていい。
にゃんこは周囲を見渡しながら勇ましく塀の上を歩き始めた。下から見上げると、なかなかの迫力。ワイルド感が半端ない。ネズミ目線だと、恐怖そのものだろう。
抱っこしていたチワワを地面に下すと、何かいるぞ!と、興味津々モード。塀の上にいる余裕からか、その表情は少し楽しそうにみえる。
このにゃんこのいる通路には小さなお稲荷さんの社があり、社にはおいしそうな油揚げが供えてあった。
通路沿いに無造作に置いてあるので、猫が食べようと思えば簡単に食べることができる。猫は油揚げが好きではないのだろうか。まあ、こんな無防備に供えてあるということは、猫が食べないということなのだろう。
昔、タイを旅行した時の話だが、タイにもこういった小さな祠があちこちにあり、敬虔な人たちが色々な食べ物をお供えしている。はっきり言うと、供え物は日本よりも豪勢だ。
で、人間の姿がなくなると、その食べ物を野良犬やら、野良猫やら、烏などの鳥やら、土地によっては猿が争奪していた。微笑みの国タイ。動物に寛容な国なんだなと、その様子を見ながら思った事がある。
崖地から商店街に戻ってきた。歩いていると、白い猫を発見。商店街に白い猫がいたっけな。いたようないないような。猫もあちこち移動するので、数カ月ごとに来る人間にはどれがどの猫か分からなくなる。
白猫はチワワを見つけると、警戒モードになった。野良猫は毛の色で性格が変わると言われている。白猫は野生の中では目立つ色であることから、警戒心が強くて神経質な性格が多いとか。まあこれは一般的な話なので、それぞれの猫や暮らしている環境で違ってくることだろう。でも、この白猫はセオリー通りに警戒心が強そうだ。
こういう時は抱っこすれば解決する。チワワを抱っこすると、何事もなかったように私の横を通り過ぎ、スタスタと商店街のメイン通りを横切っていった。ほんと、猫の前で犬を抱っこすると、犬がいないことになってしまうから面白い。
市役所付近まで戻ってくると、黒に微妙に白い柄が入ったにゃんこを発見。口回りが白く、マスクをしているかのよう。胸は広範囲に白く、エプロンをしているかのよう。足は先端が白く、短いソックスを履いているかのよう。人間好みのなかなか整った模様をしている。
えさ場で餌と水を飲んでいたのだが、その横を地元の中学生が通りかかると、「クロちゃん、元気」と声をかけていた。クロちゃんはこの付近で人気者となっているようだ。
駐車場へ戻ろう。時間的にちょうどいい。駐車場に向かって歩いていると、白猫が路上の隅で寝ていた。おそらくさっきの白猫だろう。黒猫と白猫は見分けがつきにくい・・・。
白色の毛並みは、ちゃんと手入れをしていると美しいが、そうでないとみすぼらしさが強調されてしまう。まさにこの猫は灰かぶりにゃんこ状態・・・。体を洗ってやりたい衝動に駆られてくるが、無理なタスクというやつ。誰か洗ってあげてくれと、心の中で思いつつ、今回の尾道散策を終了した。
尾道にゃんこ編
#9 鞆の浦と尾道にゃんこ(2023年3月) #10 桜雨と尾道にゃんこ(23'4)につづく