旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編 2003年 Page16

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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22、佐渡島一周ツーリング(2003年8月下旬)

佐渡ツーリング 両津港の写真
両津港

新潟港を出航した船は、佐渡の玄関と言える両津港に到着した。東京から下道を深夜に延々と走り、更には船に乗って4時間かけてやってきた佐渡島。船を降りると、「遥々佐渡まで来たぞ。旅の始まりだ!」といった猛烈なワクワク感が胸にこみ上げてくる。

今すぐ走りだしたいといった心境だが、いきなり当てもなく走り出すわけにはいかない。一番の懸案事項は、今日泊まる宿。宿を探し回って苦労したり、満室だと断られ続けるのは嫌だ。今のうちにある程度決めておいた方が安心だ。

昔、八丈島を訪れた時、シーズンオフだったこともあって、宿探しにえらく苦労したことがある。何軒も断られ続ける惨めさときたら・・・。離島には特殊な旅事情があると考えておいたほうがいい。

ということで、まずは港にある観光案内所を訪れ、今夜の宿の世話をしてもらい、観光情報や観光マップなどを入手した。

観光マップのイメージ(*イラスト:ちぬまるさん)

(*イラスト:ちぬまるさん)

せっかく遥々東京から佐渡を訪れるのだから、しっかりとした旅の目標が欲しい。目標を設定しておけば、旅の達成感やら楽しさが一段とアップするというもの。ということで、このツーリングにはいくつかの目標を設定してきた。

ありきたりながら今回の佐渡島ツーリングの第一目標は、佐渡島をぐるっと一周する事。島を一周回る。とても単純なことだけど、征服心や旅心を刺激し、考えただけでもワクワクしてくる。

佐渡島の地図 国土地理院地図

国土地理院地図を書き込んで使用

現在位置は佐渡の真ん中にある両津港。ここからだと、佐渡を一周するのに北回り、南回り、右回り、左回りと自由に進路を取ることができる。

佐渡島は北の方が自然豊かで、あまり見所が多くない。最初に最北端を目指して・・・といった感じの方がいいだろう。最初のうちにハイライトの金山などを見てしまうと、、後半が退屈になってしまいかねない。

ということで、反時計回りに佐渡島を回っていくことにし、今度こそ張り切って佐渡ツーリングに出発だ。と、いきたいところだったが、この先どこにガソリンスタンドがあるのか分からない。心配だからと友人が給油することにした。

佐渡に着いて、走りだす前に給油するライダーもなかなかいない。「地域貢献の鏡だな。君は。」と茶化しつつ、給油を入れ終わった友人に値段を聞いてビックリ。離島という事を考えるとしょうがないのだが、東京よりも20円以上も高い・・・。無理をしてでも出航前にガソリンスタンドに行っておけばよかったな・・・と友人に申し訳なく思ってしまった。

佐渡ツーリング 佐渡の集落とバイクの写真
佐渡の集落と

友人が給油を終えると、今度こそ佐渡島一周目指して出発。まずは佐渡島上部の東側、内海府海岸沿いを北へ向かって走り出した。

交通量も少なく・・・、いやほとんど車が走っていなく、辺りの風景はひたすら続く海岸と素朴な漁村ばかり。都市部を走るときのようなストレスを感じることがないので、走っていて気分がいい。

佐渡ツーリング 弾崎灯台の写真
弾崎灯台

旅行の詳細は旅行記に記したので、かいつまんで書いていくと、途中で写真を撮ったりしながら北上し、弾崎灯台に到着した。

この弾崎灯台は佐渡の北端に位置しているので、佐渡一周を制覇する上で抑えて置きたいチェックポイントになる。灯台自体はまあ普通の灯台。中に入ったりはできないので、写真を撮ったら目的を達成。まずは最北端を制覇!

佐渡ツーリング 賽の河原の写真
賽の河原

北側の先端部にはもう一箇所訪れたい場所があった。それは賽の河原と呼ばれる場所。佐渡といえば金山と賽の河原。昔読んだ本の印象が強くて、私の頭の中に賽の河原のイメージがこびりついていた。

賽の河原とは、幼くしてあの世に旅立った子供の霊がこの世に戻ろうと天に向かって石を積み上げ、それを鬼が崩し続けるといった地獄絵巻が延々と繰り返されるような悲惨な場所となる。

賽の河原を歩くと、辺り一帯に小石が無作為な感じで積まれていた。きっと少しでも子供達のために・・・といった親心の表れなのだろう。ちょっと切なく感じる光景だった。

佐渡ツーリング 大野亀の写真
大野亀

佐渡の北端から大野亀と呼ばれる大きな岩山、複雑な海岸が美しい北鵜島公園、断崖絶壁の岩屋口橋と五段の滝などを見学しつつ、島の外周を南下していった。そして一旦海岸から離れ、内陸部にある佐渡金山へ進路をとった。

佐渡島の地図 地理院の地図
佐渡島の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

佐渡といえば佐渡金山。多くの人がそう思い浮かべるに違いない。そういった佐渡の象徴である金山に行かなければ佐渡に行った事にはならないぞ! ということで、これまたありきたりだが、今回のツーリングの第二目標にしていた。

佐渡金山といえば・・・、何だろう。佐渡島にある金山で・・・、金が沢山採れていた金山で・・・。って、知名度は抜群だけど、実は名前だけしか知らない。そういった意味では、離島にあるし、何か秘境的な雰囲気を感じ、探検といった気分を抱いてしまう。

佐渡ツーリング 佐渡金山の坑道内の写真
佐渡金山の坑道内

窓口でチケットを購入。いよいよ佐渡金山探検の開始。坑道内に入ると、「おっ、涼しい!」と声に出してしまうほど、空気がひんやりとしていた。まるで天然のクーラーがギンギンに効いているかのよう。佐渡の日差しに焼けた体が冷やされ、とても気持ちいい。

佐渡ツーリング 坑道内で働く人形の写真
坑道内で働く人形

坑道内では所々に動く人形が設置されていて、人形を使って当時の作業の様子が再現されていた。暗闇の中で不気味にスポットを浴び、黙々と動いている人形があるのはどこの鉱山でも一緒。

ただ規模が大きい分、今まで見た炭鉱よりも見ごたえがあった。やはり日本一の金山と詠われるだけはあるな。でも結構リアルな感じなので、一人で寂しく歩いていたら不気味に感じるかもしれない。

佐渡ツーリング 金塊チャレンジの写真
金塊チャレンジ

どこかに金が落ちていないかな・・・と、浅はかに考えながら坑道を歩くものの、見つかるはずもない。

でも、金山見学の一番最後、売店のエリアに本物の金塊が置いてあった。しかも箱の中に金塊が入っていて、なんと実際に触ることができるようになっている。

これはお土産にちょうどいいな。持って帰ってやろう。と、期待を込めて小さな小窓から手を突っ込んでみると、金塊はひんやりとした手触りで、いかにも金属の塊といった感触だった。

見た感じは羊羹とか、カステラサイズなので、頑張れば持ち上がり、その後どうやって取り出すかが肝だなと頭の中で思い描いていたのだが、実際には想像していたよりも重い・・・。おまけにつかみにくい。

バイク乗りなので握力には少々自信があったが、いくらやっても腕の血管が浮かんでくるだけ。あまり頑張り過ぎて血管が破裂してはかなわない。こりゃ駄目だ。友人と交代した。

やっぱり無理だったか・・・。なんかちょっと悔しい。って、私程度が簡単に持ち帰ることができるぐらいなら、もうここに金塊はないよな・・・。

佐渡島 金山周辺の地図 地理院の地図
佐渡島の地図

国土地理院地図を書き込んで使用

佐渡の北側の山間部を「大佐渡スカイライン」というとても立派な名がついた道が横切っている。佐渡金山の前を走っている道がそうで、金山見学の後はそのままこのスカイラインを登っていった。

NSR(レース用バイク)でやってきた友人は、この大佐渡スカイラインを攻めきらないと佐渡島を制覇したことにならないとの事。彼にとってこの道を走ることが佐渡での第三目標になっていた。

佐渡ツーリング 大佐渡スカイラインからの眺めの写真
大佐渡スカイラインからの眺め

実際に山を登っていくと、あまりに急な勾配とカーブでまともに走れない・・・。でも苦労して登ると、天上人になったかのように眺めがいい。特に島なので、周囲が海で見晴らしがよかった。

ただ、登ったのはいいが・・・ってやつで、強烈な傾斜の下りは恐怖そのもの。バイクだと頭から崖に吸い込まれるような感覚になるので、あまりシャレになっていない。

こんな離島の山の中でコケて、バイクが走行不能になったりなんかしたら想像を絶するような事態になるので、かなりへっぴり腰になりながら下っていった。

山を下ると、佐渡博物館などに寄りながら、南側の西部を南下していき、小木に到着。観光案内所で紹介してもらった宿に落ち着いた。

佐渡ツーリング 沢崎灯台の写真
沢崎灯台

翌朝、佐渡一周の続きを開始。まずは最南端、厳密に言うなら最西端にある沢崎灯台を訪れた。これで南側も制覇。後はスタート地点の両津港に戻れば佐渡一周が完了する。

佐渡ツーリング 宿根木の集落の写真
宿根木の集落

沢崎灯台から東へ少し走らせると、宿根木の集落に到着した。千石船で栄えたことから別名千石船の里と呼ばれている。

宿根木の集落は佐渡でも異彩を放っていた。まずここでは木造の建物が極度に密集している。なんでも約1ヘクタールの土地に110棟もの建造物が並んでいるとか。丘の上から見るとその特徴的な集落の様子がよくわかり、まるで家々がくっつきあっているかのよう。まさにすし詰め状態といった感じだった。

佐渡ツーリング 宿根木の集落内の写真
宿根木の集落内

実際に集落の中を歩いてみても、通路は車が通れないほど狭いし、木造の家屋の壁が高い塀のように感じ、まるで巨大な迷路のよう。

古い家屋も多いことから、集落内を歩くとまるで昭和にタイムスリップしたかのよう。よくある宿場町とか、門前町、蔵の町とは違った雰囲気で、また古い漁村とも違っていて、独特の世界観のある集落だった。

佐渡ツーリング 大野亀の写真
大野亀

宿根木から南部の大きな町、小木へやってきた。ここ小木で有名なのは、たらい舟。

その名前のまんま「たらい」を大きくしたような舟のことで、もともとはワカメやサザエなどを取るのに使っていたのが、今ではすっかり遊覧用となり、佐渡観光の目玉の一つとなっている。

ちょうど日曜日ともあって、観光客を乗せたたらい舟が湾内をひっきりなしに遊覧していた。その様子はプカプカ浮かんでいるといった感じで、なかなか面白い。

拒否するくイメージ(*イラスト:ちょこぴよさん)

(*イラスト:ちょこぴよさん)

「みんな楽しそうに乗っているし、我々も乗ってみよう。せっかく佐渡に来たことだし。」と、友人に提案してみたのだが、猛烈に反対されてしまった。

友人は金づちで、「あんな不安定なものには乗ってられん。」とのこと。たらい舟に乗ることを私は佐渡での第三目標にしていたので、何度か説得を試みてみたが、首を縦に振ることはなかった。残念。たらい舟が賑やかな感じで動いているところを見れたし、それだけで良しとしよう。

ベトナムのおわん舟の写真
ベトナムのおわん舟

私がたらい舟に乗ることを佐渡での第三目標にしていたのは、数年前にベトナムの漁村に長く滞在したときのことを懐かしく思ったから。

そこではお椀舟、ってこれは私が勝手にそう呼んでいるだけなのが、お椀に似たような舟に乗って陸と海上に停留している船とを移動していた。

たらい舟が湾内を移動している様子はあの時のお椀舟の光景とどことなく被る。国が変われどなんとやらというやつで、どこもそう大差ないものなんだな・・・と思うと同時に、その時の滞在がちょっと懐かしい。ベトナムで暮らすことも考えったっけ、あの時は・・・。また行きたいな。

佐渡ツーリング トキ保護センターの檻の写真
トキ保護センターの檻

小木からは東側の海岸線を北上していった。両津港近くまでやってきたが、まだフェリーの時間まである。どうする。

佐渡といえば、金山に、たらい舟に、後はトキだろう。トキ保護センターに行ってみよう。たらい舟に乗れなかったことだし、トキに会うことを第三目標に変更だ。

ということで、トキ保護センターを訪れてみるのだが、施設は立派な半面、活気がない。野生のトキが絶滅してしまった以上、もう過去の生き物といった扱いで、展示にも力強さが感じられなかった。(*2003年は純国産の最後のトキが死んだ年で、日本国内に中国からのトキが10羽程度いるだけでした。人工ふ化、放鳥などもされていませんでした。)

トキに会いに行くぞ!と張り切って訪れたものの、ときめく感じとか、ロマンといった類のものを感じられず、逆に失望感一杯で後にすることになってしまった。

佐渡ツーリング 新潟行きのフェリーの写真
新潟行きのフェリー

昼食をとったり、お土産を購入したりして最後の時間を過ごし、フェリーに乗船。さらば佐渡。楽しい旅をありがとう。満足感一杯で、船に乗り込んだ。

新潟港にフェリーが着くと、行き同様にしばらくは下道を走ってはみたものの、さすがに疲れはピーク。道が悪くなった辺りから高速道に乗り、一気に東京に戻った。

腰が痛いイメージ(*イラスト:びーちゃんさん)

(*イラスト:びーちゃんさん)

友人はツーリングに不向きな前傾姿勢のレーシングバイクだったので、関越道では腰が痛いと途中からスロー走行。さすがに丸二日間のツーリングは体に堪えたようで、東京に戻ってからもしばらくはバイクに乗りたくないとうめいていた。

でもこのツーリングは友人にとっていい刺激になったようで、少し未来の話になるが、翌年には中古でツーリングバイクを購入し、一人で北海道に遠征していくことになる。

なかなか刺激的で、色々と楽しく、そして思い出の多かった佐渡のツーリングは、ちょっとした副産物ももたらしてくれたようだ。

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