旅人とわんこの日々
世田谷編 2006年Page9
世田谷(砧公園)での犬との生活をつづった写真日記です。
13、サッカーワールドカップ・ドイツ大会(2006年7月上旬)
サッカーのワールドカップ・ドイツ大会が終了した。ここ一か月。テレビに釘付けとなっていた人、或いは睡眠不足になっていた人が多かったことだろう。
歴代最強と言われるジーコ監督の率いる日本代表は、日本国民の期待を背負いながらグループステージに挑むものの、ブラジル、オーストラリア、クロアチア相手に、2敗1分けという結果に終わってしまった。
前回の日本開催大会では決勝トーナメントに勝ち上がったこと。その時に活躍したアトランタオリンピック世代、いわゆる黄金世代が海外で活躍していること。中田英寿や小野伸二、中村俊輔といったタレントぞろいなこと。アジア予選では圧勝だったことなどから、国民の期待が非常に大きかったのだが、結果は1勝もできなかった。
その為、国民の失望も大きなものとなり、一気にサッカーの話題が少なくなってしまった。そして世間ではサッカーそっちのけで、戦犯探しに躍起になっている。マスコミを含めた手のひら返しぶりは、見ていて興ざめしかない。
ワールドカップは世界で最も影響のあるスポーツ大会になる。経済効果はオリンピック以上。日本にいるとあまり実感はないかもしれないが、本当に海外に出るとサッカーの人気と熱狂ぶりに驚く。
私がユーラシア大陸を横断したのが、2000年から2001年にかけて。ちょうど2002年の日韓ワールドカップ前だったので、その話題を振られることが多かった。
ワールドカップを見に行くにはどうしたいいのか。チケットを手に入れる方法を教えてくれ。日本は宿泊費が高いと聞くが、もし行けることになったら泊めてはもらえないだろうか。まあ色々と聞かれた。聞く方も半分は冗談だっとは思うが、聞かれても答えられるわけがない・・・。
また、日本人だとわかると、イタリアのセリエAで活躍していた中田英寿選手の話題を振られることが多かった。ほんと、みんなサッカーのことに詳しいし、サッカーが好きだ。
その2002年の日韓ワールドカップでは、日本代表はグループステージを勝ち進み、決勝トーナメントに進出した。その初戦で対戦し、敗れた相手が、トルコだった。
ちょうどその時、小さいながらトルコに関するサイトを公開していた。決勝トーナメントで日本と戦うことになると、閲覧者が爆発的に増え、トルコやトルコのサッカーに関する質問が殺到した。
いきなりの展開に驚くとともに、ワールドカップの影響力の大きさを実感した出来事だった。現在トルコの観光が日本で人気となっているが、その起爆剤となったのはやっぱり日韓ワールドカップの対戦だと思う。
対戦が決まるや否や、各局がこぞってトルコについての番組を放送し、親日家が多いとか、文化的に面白いとか、魅力的な遺跡が多いとか紹介した。それを見た人たちが、トルコやトルコ人に対していい感情を持ち、いつかトルコへ行ってみたいと思ったことは想像に難くない。
さて、今回のドイツ大会の決勝戦はフランスとイタリアの対戦になった。引き締まったいいゲームとなり、延長戦でも決着がつかず、PK戦の末にイタリアが勝利した。
どっちも贔屓にしているチームではないので、イタリアが優勝してもフランスが負けても一喜一憂することはなかったのだが、突然のジダン選手の頭突き、そして退場劇には唖然とし、今でも強烈に印象に残っている。
私の中では、ドイツ大会はイタリアが優勝した大会だったというよりも、ジダンが頭突きで退場した大会だった。そういった印象が強い。
それよりも今ショックなのは、中田選手の現役引退。会見を開くわけでもなく、唐突に公式サイトで現役引退が発表された。
突然、一方的に発表されると、ファンとしてはなかなか消化しきれない。えっ、なんで・・・。いやいや、まだやれるでしょ・・・。まだ戦う姿が見たい・・・。といった残念な気持ちで胸が一杯だ。
でも落ち着いて考えると、こういうことは外野がとやかく言うことではない。実際にサッカーを長くやってきた本人が思い悩んで決断したこと。ここが一番いい潮時だと考えたのだろう。
中田選手と比べては失礼なのだが、私も悩み悩んで仕事をやめ、長い旅に出たことがある。なので、なんとなくだけど、今の彼の気持ちがわかるような・・・、気がする。
中田選手が海外で頑張ってくれていたおかげで、海外を旅しているときに誇らしい気持ちになれた。もちろん今回のワールドカップも楽しめた。そう考えると、ありがとう。お疲れさま。という感謝の気持ちが自然とこみ上げてくる。今回の引退は私的には少々残念に感じたが、ぜひ次の人生も頑張ってほしい。
16、夏の散歩(2005年7月中旬)
夏は暑いので、日差しのある昼間は犬の散歩に出かけられない。厄介なのは、気温よりも地面の温度。特に黒っぽいアスファルトは熱を持ちやすく、日差しの強い日には60度にもなるそうだ。
いくら肉球が厚い犬とはいえ、しょせんは素足。60度といえば、ちょっと熱した鉄板の上を素足で歩くようなもの。足の裏が焼肉になってしまう。
神社やお寺の祭礼などで、山伏の火渡りが披露されることがある。護摩を燃やし、それが燃え終わるころ、裸足でその中を進んで行くといったもの。
燃える火の中を進むなんて、さすがは山伏。命がけの厳しい修行をして身に付けた技の賜物というやつだな。凄い。となるのだが、実際はあっという間に駆け抜けて終わっている。
それと同じことで、足の裏をいくら鍛えたとしても、日差しが照り付ける夏の昼間にアスファルトの上を歩けば肉球が痛むし、長々と散歩をすればひどい火傷となってしまう。
よくアラブのおとぎ話に月に照らされた砂漠とか、満点の星空の下の話がでてくる。砂漠といえば星空の下をラクダに揺られて・・・とか、星空の下で焚火を囲みながら音楽を奏でて・・・みたいな感じで、ロマンチックに語られることが多い。
なので、砂漠といえば何かロマンチックなイメージを持ってしまう人も多いと思う。でも、現実は昼間の砂漠は暑くてシャレにならなく、昼寝をして過ごしているだけのこと。
暑さで体力や水分が奪われるのはもちろんのことだが、砂漠の砂もアスファルトと同じで、太陽に焼かれるとかなりの高温になる。
砂が厄介なのはズボズボと足が埋まること。アスファルトならサンダルを履けば済むが、砂漠では足首が隠れるような靴でないと、足首も火傷してしまう。砂漠の昼間は本当に過酷だ。
ちょっと面白い話を書くと、水を得られる場所の少ない砂漠では、水はとても貴重な存在になる。なので、無駄に消費するわけにはいかない。
彼らは水の代わりに灼熱の太陽に焼かれた砂を代用している・・・と書くと、中世の攻城戦などで使われた、「俺たちまだ水は沢山あるぜ!士気も落ちていないぜ!」と思わせるように、砂で水浴びをした策略を思い浮かべる人もいると思うが、砂漠の隊商隊(キャラバン)などでは、太陽で殺菌されてきれいだということで、食器を洗ったり、用を足した後にお尻を拭いたりするのに使っていたりする。
なるほど。さすがは砂漠で暮らす人の知恵。話で聞く分にはフムフムと笑っていられるが、砂漠ツアーに参加し、目の前でやられると、おいおい、マジかよ・・・ってなるはずだ。
話がそれてしまったが、夏は暑いので、私も砂漠の民に倣って、朝夕の涼しい時間に家の周りを少し回るぐらいにしている。
我が家の犬は散歩が好きなので、この時期はもう帰るの・・・と少し物足りなさそうに、家に戻るのを少し嫌がる素振りをすることもある。
長く散歩させてあげたいが、日が陰っていても地面からの熱で熱中症のような症状になることもありえるし、もちろん肉球を傷める心配もある。
でも、暑さ対策をしてやれば散歩好きなチャーミーでも真夏に散歩ができるだろうか。ちょっと考えてみた。
熱射病を防ぐために帽子を被せ、紫外線から目を守るためにサングラスをかけ、足にはしっかりと底が厚いブーツを履かせれば、まあ何とか歩けるかもしれない。
一番の問題は胴体部分になるだろう。黒い毛皮は交換ができないので、少し短く毛を刈り込み、日傘のようなものを取り付け、直射日光を防ぐしかなさそうだ。
あとは簡易型扇風機を首から下げれば、夏でも楽しく散歩ができるかもしれない。でもそんな格好で散歩していたら、すれ違う通行人が笑い転げてしまうだろう・・・。連れている犬が笑われると飼い主として腹が立つから、やっぱり夏の昼間は散歩をしない方がよさそうだ。
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