旅人とわんこの日々 タイトル

旅人とわんこの日々
世田谷編 2004年Page12

ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。

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16、バイクのサンデーレース(2004年10月24日)

時と金のイメージ(*イラスト:hozuさん)

(*イラスト:hozuさん 【イラストAC】

一般的には、学生時代には時間はあるけどお金がない。社会人になると、その逆になる。その為、学生時代の余暇の過ごし方と、社会人になってからの余暇の過ごし方では、重きを置くポイントが異なったものになる。

旅に当てはめると、学生時代の旅は、少ない予算でいかに楽しく、実りある旅をすることが重要になる。その為には体力や時間が必要になり、激安の青春18きっぷを使用したり、宿泊費を浮かすために夜行バスを利用したり、ユースホステルなどの安い宿を探したり、頼み込んで親戚や友人の家に宿泊したり、場合によって野宿・・・といった感じになる。

まさに学生の旅はバックパッカー(貧乏旅行)にあり、といった感じなのだが、未だにテントを使い、野宿主体で旅をしている私は、まだ学生気分を卒業できていないのかもしれない・・・。

若い旅人のイメージ(*イラスト:pidepideさん)

(*イラスト:pidepideさん 【イラストAC】

社会人になると、お金は何とか都合がつくけど、まとまって休むことができなくなる。休めても人と休みが重なる盆正月では、平常時の何倍もの料金を払って旅に出なければならない。

高いからと何もしないのも時間の無駄。時や経験はお金で買うものとばかりに、効率を重視して旅をする人もいる。

かと思えば、仕事で疲れているのにわざわざ体力を削るような旅はしたくないと、温泉旅行やリゾート地でのんびりするような旅をする人もいる。

リゾート旅行のイメージ(*イラスト:nicosoluさん)

(*イラスト:nicosoluさん 【イラストAC】

時は金なりというけど、両方あればどれだけうれしいことか。更に健康も加われば、もう何も言うことはない。

でも、それらを全部手に入れてしまうと、張り切って行動する意味とか、頑張って何かをする意義が薄くなってしまいそうである。そうなると物事に対する感動も薄くなってしまい、旅を含め、万事がつまらなくなりそう・・・。な気がする。

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とまあ、学生から社会人になると、給料、そしてボーナスが入るようになり、それなりに金回りがよくなる人が多い。特に独身で実家暮らしをしている人は、余裕の幅が大きい。

大人買いのイメージ(*イラスト:てぃ〜さん)

(*イラスト:てぃ〜さん 【イラストAC】

ただ、自由に使える時間は少ないので、どう使うかは悩みどころ。日々溜まるストレスのはけ口が消費となり、学生時代には到底できなかった漫画やDVDの全巻買い、服の大量買いなど、いわゆる大人買いをする人もいれば、ゴルフなどの趣味に湯水のごとく使う人もいる。

逆にひたすら貯金をし、通帳の溜まった金額を眺めて喜ぶ人もいる。羽振りがいい時のお金の使い方こそ、それぞれの個性がよく表れるように思う。

大学でバイクサークルに所属していた私の周りでは、学生時代にはバイクを維持するのが精一杯だったのが、お金に余裕ができ、中古バイクから新車に買い替えたり、カスタムにお金をかけたり、中学生や高校時代に憧れた旧車を購入して、いじっている人もいる。

中にはレーシングタイプのバイクを購入し、日々のストレス発散を兼ねて、休みの日にサーキット走行を行う人もいる。そしてその延長で、本格的にバイクのレース活動を始めた人もいる。

友人のNSRの写真
友人のNSR

よく一緒にツーリングに行く友人もサーキットデビューの一人。乗っているバイクは、排気ガス規制で絶滅危惧種となっている2ストロークエンジン搭載のレーシングレプリカ、NSR250R。

公道用にデチューンしてあるとはいえ、素がレース前提のバイクなので、ライディングポジションは極端に前傾姿勢になるし、サスペンションが硬く乗り心地も悪い。長距離のツーリングを行うと、必ず腰が痛くなる。

友人はNSRで走り屋の聖地、箱根などを走ったりしていたが、公道なので、がむしゃらに飛ばすこともできないし、安全面、道徳面で問題がある。

解雇されるイメージ(*イラスト:ちょこバナナさん)

(*イラスト:ちょこバナナさん 【イラストAC】

それに学生ならまだしも、社会人になって大きな交通違反や事故を起こしてしまうと、会社を首になってしまうといった、社会的制裁を受ける可能性がある。そこまでしてやるべき趣味だろうか。その部分が気になると、気持が守りに入って心底楽しめない。

そもそもとして長時間乗ると腰が痛くなるので、年齢が上がるとともに箱根を往復するのがしんどくなってきた。

だったらサーキットを走ってみようではないか。サーキットなら交通違反や対向車のことを気にせずに思いっきり走れるし、軽トラを借りてきてバイクを運べば、行き帰りが楽だし、万が一コケても途方に暮れることもない。

間もなく30才。そこそこお金には困っていないし、今しかできないことをしよう。よしっ、20代最後の挑戦だ。と、彼は今年から後輩Kとともにサーキットに行くようになった。

2002年の全日本250の予選の写真
2002年の全日本250の予選

普通の人はなかなかこういった発想にはならないと思うけど、我々は大学のバイクサークルに所属していたので、サーキットでの走行を趣味にしている仲間も多いし、友人や知り合いに全日本ロードレース選手権に出場している人も何人かいるので、サーキット走行は垣根が低かったりする。

で、関東近辺のミニサーキットを色々と訪れ、走っていると、利用者を対象にしたお手軽なレースを開催しているサーキットが幾つかあった。

せっかくサーキットを走っているのだから、レースに出てみるのもありではないか。サーキット走行にも熱が入るし・・・。そう後輩Kと算段し、その中でも一番レギュレーションが緩く、誰でも参加できるサンデーレースに出ることにした。そして私に手伝いの協力を頼んできた。

スポーツランドやまなし レースの写真
スポーツランドやまなし

友人と後輩が参加することになったレースは、山梨県韮崎市にあるスポーツランドやまなしで行われる250cc限定の4時間耐久レース。このサーキットは1周1キロほどのミニサーキットになる。

このレースは、普段からサーキットを利用しているお客様にレースを楽しんでもらおうといった感じのレースで、レース用のライセンスは必要なく、ハンデとか、ローカルルール満載のサンデーレースになる。

コンマ1秒を争うといったシビアなレースではないので、初レースの我々でも楽しむことが出来そうだ。案外レベルが低く、もしかしたら上位に食い込んだりして・・・。などと夢も広がる。

HONDA GB250クラブマン パドックの写真
HONDA GB250クラブマン

ただ、参加するのには大きな問題があった。250㏄限定のレースなのだが、安全面を考慮し、4ストロークエンジンしか出走できない決まりになっていた。友人が所有しているのは2ストロークエンジンのNSR250R。このバイクでは出走することができない。

バイクサークルの仲間に声をかけてみると、後輩Sの家の倉庫にHONDA GB250クラブマンが眠っていた。ただ、一応動くけど、ほとんど動かしていないので、ちゃんと整備しないとレースは無理じゃないの?とのこと。

クラブマンは1960年代風のレトロなカフェレーサータイプのバイクで、エンジン、足回り、全てにおいてレースをするには不向きなバイクだが、贅沢は言えない。

とりあえず今回はこれで出走してみよう。ちゃんと整備した状態で返すのを交換条件に借り、オイル交換やキャブの掃除などを行い、レースに出れる状態に整備した。そして、参加することに意義があるといった感じで、出場の申し込みを行った。

HONDA GB250クラブマン スポーツランド山梨 スタート前の写真
スタート前

で、今日はそのレース日。私は手伝いや補佐役で、レースに出走するのは友人と後輩Kの2人。2人で交代しながら4時間のレースを走り切る。

2人ともバイクのレースに出場するのは今回が初めて。レースが始まる前からガチガチに緊張し、顔が真っ青。どうやら昨夜は寝られなく、今朝も食事が全く喉に通らないとか。見ている方も緊張してしまうほど、見事な緊張ぶり。レースが思いやられそう・・・。

HONDA GB250クラブマン スポーツランド山梨 レーススタートの写真
レーススタート

実際にレースが始まると、緊張どころではなくなり・・・とはならなく、やっぱり身体が思うように動かない。モニターでラップタイムを見ていても、練習の時に出したベストタイムに程遠く、更にはばらつきが大きい。

序盤はバイク自体が遅いのもあって、気持ちいいぐらい他のバイクに抜かれまくっていた。2回目のライダー交代を終えると、雰囲気に慣れてきたのか、徐々にラップタイムのばらつきがなくなり、ペースが安定してきた。

HONDA GB250クラブマン スポーツランド山梨 レース中の写真
レース中

ツーリング中みたい・・・

レースの中盤から後半になると、それぞれ自分のベストラップをどんどん更新していくようになり、順位も少し上がっていった。

最終的には、大きな時間ロスとなる転倒がなかったおかげで、中段の後ろで無事にゴール。何とか無事に4時間走り切ることができた。

実際の順位はそれほど良くなかったが、単気筒エンジンであること、空冷エンジンであることに加算されるハンデが25周加わり、表彰式で発表された総合順位は、なんと8位。8位ってことはオリンピックだったら入賞ではないか。

初レースにしていきなり入賞というのは上々の成績になるが、あくまでもそれはイベント的なおまけであって、レースペースが遅かったことには変わりない。

HONDA GB250クラブマン スポーツランド山梨 8位入賞の記念撮影の写真
8位入賞の記念撮影

レースが始まる前は、「順位はどうでもいい」「完走できればいい」と言っていた友人たちだったが、実際に完走してみると、「もっと早く走れた・・・」「最初の一時間が悔やまれる・・・」「バイクが遅すぎた・・・」と、自分の経験不足と遅いバイクに不満が爆発。

とりわけ直線でガンガン抜かれたのが悔しかったようで、バイクが速ければもっとできるはず・・・。と悔しさをにじませていた。

HONDA GB250クラブマン スポーツランド山梨 レース後の写真
レース後、他のバイクと

で、サーキットからの帰り道では、中古でサーキット向けのバイクを手に入れて、来年はそれでレースに出よう。もっと練習に来よう。目指すは表彰台。と、8位入賞で気をよくしたのか、夢が大きく広がっていた。

本人たちは気が付いていないようだが、一歩引いた位置にいる私からすると、開けてはいけないパンドラの箱を開いてしまったという嫌な予感しかしない・・・。

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