旅人とわんこの日々
世田谷編 2006年Page20
世田谷(砧公園)での犬との生活をつづった写真日記です。
28、東京散策(2006年11月下旬)
「お洒落は足元から」という。よく聞く言葉なので、さぞ名のある人が言ったり、素敵な逸話があるのだろうと思ったのだが、どうやらこの言葉は明確な意味や起源は分かっていないようだ。
何となく使われている言葉になるが、まあ総じて、状況に応じて靴を履き替えられる人、汚れやすい靴をきれいにしている人はお洒落といった意味合いで使われている。
「旅も足元から」と書くと、鞄などにこだわるように、丈夫で歩きやすい靴を履くことで、旅にも身が入るといったようなことを思い浮かべると思うが、ちょっと今回はそういった話ではない。
旅というのは脱日常を主題としている。なので、生活圏から脱出することで旅が始まる。そして生活圏外で、風景や文化、人との新しい出会いがあってこそ旅と言える。
生活圏は若干被るけど、それが隣町だったらどうだろう。もちろん旅というのは移動することが大きなウェイトを占めているので、遠くへ行けば行くほど旅情をそそる。
近場だと移動距離が短いので楽ちん・・・ではあるが、旅情という点では物足りない。着いたらあれをしようとか、期待を胸に移動する時間が短いと、旅の気分も高まらない。それに到着しても、似たような風景や文化ばかりで刺激も足りない。どちらかというと散策の延長といった感覚になるかもしれない。
でも、その隣町のことをよく知らなかったら、新しい出会いが多かったりすると、旅をしている感覚になるはずだ。遠くに行けば行くほど旅らしい旅と言えるが、近くても訪れることに新鮮な気持ちがあったり、移動するのにワクワクする気持ちがあれば、旅として成り立つというわけだ。
私は育ちは島根の田舎になる。でも、高校の時に父親の転勤で東京にやって来た。島根育ちの東京人となる。東京で育っていないので、実は東京のことはそこまで詳しくは知らない。
仕事を辞めるなどして、長い時間ができると、さてどこへ行こうかなと、視線が遠くにばかり行っていた。いや、せっかく時間があるなら、足元の東京を見て回ったらどうだろう。
前回の木曽路の宿場巡りをした後、江戸時代に興味を持ち始め、江戸時代の東京、すなわち江戸の町を散策してみたくなった。
自分の暮らす街のことを知らないのに、他の町のことをあれこれ言うのもおかしな話。疎かになりやすい地元部分、基礎的な価値観などをしっかりとしていれば、旅ももっと自分のためになるはず。
それに自分の住む町のことをスマートに解説できる旅人は、話していてカッコよく感じる。旅人も足元の知識を固めれば、より魅力的になる。そう、最初に書いた「お洒落は足元から」という言葉に通じるものがあるように思う。
時間があるので、エリアごとに見て回ることにした。この時代はスマホもなく、手軽に散策に使えるグーグルマップみたいなものはなかった。
なので、地図ソフトの地図をエリアごとに印刷していき、図書館で借りてきた東京散策の本から抽出した目ぼしい散策スポットを書き込んで行った。これがまず時間がかかった。
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