旅人とわんこの日々
世田谷編 2004年Page10
ワンコのいる日常と旅についてつづった写真ブログです。
12、旅とタバコと再禁煙(2004年6月下旬)
7月から社会人復帰。それに合わせて、再び禁煙を行うことにした。って、あれ、昨年の4月に禁煙したんじゃなかったの。あらら、禁煙できなかったんだ・・・。そう突っ込まれそうだ。
確かにそのとおり。昨年の4月に禁煙宣言を行い、禁煙を開始した。その後はずっと吸っていなかったのだが、12月からメキシコや南米に旅行するにあたって、禁煙を解除することにした。
なぜ旅で吸い始めたのか。旅とタバコに何か関連があるのか。私なりに旅とたばこには少しこだわりがあるので、ちょっと言い訳を書いてみよう。
各々、海外旅行に出るにあたって、たとえ荷物が増えようとも、少々不便を強いられようとも、これだけは絶対に外すことのできない。といったこだわりのアイテムがあるのではないだろうか。
こてこてな例を挙げれば、こだわった鞄とか靴といった道具類、帽子などの装飾品。せっかく旅をするのだからお気に入りの道具を携え、自分らしい服装、或いはその国の民族衣装をまとって旅したいと思う人も多いだろう。
もっと個性的な人になると、色鉛筆とスケッチブックを携え、絵を書きながら旅をしていたり、釣り竿を携え、各国で釣りを楽しみながら旅をしていたり、ハーモニカを携え、気に入った風景でお気に入りの曲を演奏しながら旅をしていたりする。
とりわけ長期で旅する人は、自分の旅へのこだわりが強く、それに伴い持ち物にもこだわっている人が多い。人とは違った個性的な品々を携え、自信に満ち溢れながら旅している様子は、傍から見ると、「なんかいいな・・・」「個性的だな・・・」「素敵な旅だな・・・」と、魅力的に感じるものだ。
今まで出会ったなかで「おっ」と思ったのは、楽器の三線(撥弦楽器、三味線の源)を携えてながら旅している人。逆に日常品以外、カメラも含めて何も持ち歩かないという人もいた。「旅の思い出は自分の脳みそに刻むだけ」というのは、なかなか言える言葉ではない。
でも、私の中で断トツでビックリ人間なのは、ブレーキなどの改造を施したリアカーとともに、歩いてユーラシア大陸を横断している人。私の判断基準を遥かに超越していて、適切な誉め言葉が思い浮かばない・・・。
私はというと、人に自慢できるような物は持ち歩いていないが、こだわっているものがある。まずタバコ。現地の人とのコミュニケーションツールとして重宝している。次にカメラ。記録写真を撮る役割が大きいが、私の中ではタバコ同様に重要なコミュニケーションツールという認識になっている。
持ち物ではないが、口ひげも子供っぽく見え、騙されにくくするために蓄えるようにしている。この三つは、海外に出るにあたって特に大事にしている。
ちょっと待って。タバコってコミュニケーションのツールになるの・・・。禁煙失敗を正当化するための、回りくどい言い訳なんじゃない・・・。
今では「タバコは健康を害する迷惑な存在」というマイナスの面が強すぎて、プラスの面は誰も口にしなくなってしまったが、昭和や平成にはタバコを吸うことによるメリットも多かった。
昔は多くの人が当たり前のように吸っていたので、まあ一本どうぞといった感じで、会話の切り口になっていたり、ライターがない時はちょっと火を貸してくれませんかと、会話が始まった。
また珍しいたばこを吸っていたら、興味を持って話しかけられたりと、タバコを吸っていれば、確実に会話のキッカケが増えた。今ではタバコを吸っていても、「煙たい」と注意されるぐらいかもしれないが・・・。
海外の旅ではもっと顕著だった。長距離バスの休憩時間など、一人でボーとしていると、「日本人、タバコでも吸いなよ」と勧められたり、タバコを吸っていると、「それ日本のタバコか?どんな味がするんだ。」といった感じで、タバコを切り口に話しかけられた。
カメラに関してもタバコと一緒。この時代は写真が珍しいというのもあって、カメラを携えていると人が集まってきた。そこで会話が始まり、地元の人との交流が生まれる。
また町を散策しているときも、「写真撮っていい」といった感じで会話が始まり、「日本人か。まあお茶飲んで行けよ」と誘われ、「なあ、さっきの写真送ってくれないか・・・」と頼まれることもあった。
特にアジアを旅しているときには、タバコとカメラは重宝した。なので、私の中ではタバコとカメラは人間関係の潤滑油といった印象になっている。だから今回も旅をするにあたって、タバコが吸えた方が色々と都合がいいだろう。といった理由で、タバコを解禁することにした。
タバコといっても世界を旅していると色々ある。せっかくなので、私のタバコ愛というか、タバコのコレクションとともにタバコについて少し書いてみよう。
タバコでも特に異国情緒を感じるのが、水たばこ(シーシャ)。インドから中東にかけて見かける。
水たばこは、筒の上に載せた炭の上にタバコを載せて燃やし、それを長いホースで吸うようになっている。その過程で瓶などに入っている水に煙をくぐらせるので、水たばこと呼ばれている。
使っているのはシロップ漬けのタバコ。見た目はジャムとか、漬物のようで、日本的に言うなら桜餅の葉っぱを刻んで燃やすような感じになるだろうか。
で、燃やすとお菓子のような甘い香りが辺り一帯に漂う。味の方も甘く、口当たりもマイルドなので、普通の紙巻タバコを吸えない人でも楽しむことができる場合もある。
紙巻タバコほどニコチンが入っていないし、水を通すからそんなに体に悪くないとされているが、所詮はタバコ。体にいいものではない。中東などを訪れた際に楽しむ場合も、雰囲気と香りだけを楽しむ程度にしておくのがいいと思う。
タバコといえば、インドネシア。そう答える人はなかなかの通だ。そう、インドネシアは煙草大国になる。
男性の喫煙率は7割とも、8割ともいわれ、非常に喫煙率が高い。おまけに人口が2億人もいるので、消費されるたばこの量も凄い。海外ビックリニュースなどでは、子供がタバコを吸っていることで話題になることもある。
インドネシアにはご当地タバコのような位置づけのタバコがある。それはクレテックシガレット。日本では「ガラム」という銘柄がよく知られているだろうか。
クレテックシガレットは水たばこに少し似ていて、これもシロップのような甘味で味付けされているので甘い。そして匂いが強烈。お香とシロップが混じったような匂いというのが適切だろうか。結構表現に困る。
ただ匂いが強烈なのは確かで、インドネシアの賃貸物件では、普通のタバコはいいが、クレテックシガレットは禁止となっているのもあったりする。
日本でインドネシア人に家を貸す場合、喫煙、非喫煙かだけではなく、クレテックシガレットを吸うか吸わないかをきちんと確認しておいた方がいい。日常的に部屋で吸った場合、本当に凄まじい匂いが残って、修繕に苦労することになるだろう。例えば日本のインドネシア大使館を訪れると、建物に入った瞬間に、お香のようなガラムの匂いがする。周囲に吸っている人がいなくてもだ。
なかなか話題の尽きないタバコだが、インドネシア滞在中は一箱40円ほどという安さだったので、一日一箱ガラムを吸っていた。おかげですっかりこの味に慣れてしまった。
タールやニコチンの量が日本のタバコの3倍以上と健康面で不安になるほど多いが、甘さもあるのでそんなにきついとは感じないので、あまり気にならない。持ち物や服が臭くなったりと弊害もあるが、周りにそういう人が多いので、これも気にならない。
これはこれでなかなか旨いと思う。もし私に映画のワンシーンのような場面が訪れ、最後の一服を許すってな機会があったなら、その時は迷わずこのクレテックシガレットのガラムを選ぶだろう。
その時はメンソール味か、プロフェッショナルがいい。って、タバコのプロフェッショナルって何だと突っ込みたくなるが、実際にそういうパッケージが売っていた。でも中身や味は普通のものと変わらないような気がする・・・。
旅とたばこという観点で言えば、海外の免税店で売られていたマイルドセブンもなかなか印象的なアイテムになる。
バブル期、そしてその後2000年代中盤ぐらいまでは、日本の物価は世界と比べて高かった。なので、国内を旅するよりも海外を旅したほうが安いという時代でもあった。
その結果、日本人が大挙し、世界各国を訪れていた。今では信じられないだろうけど、その影響で各国の免税店は日本人観光客好みの品を揃えていた。
日本のタバコも置いてあり、主要な銘柄が揃っていたほどである。中でも日本を代表するマイルドセブン(現在のメビウス)には、お土産になるようにその国の写真がプリントしてあった。
現在では、健康被害のおぞましい写真が入っていたりするから、時代の流れを感じてしまう。一昔前の日本の経済状況と、タバコがお土産になっていた社会状況や日本の喫煙状況を表していた名残になるのではないかと思う。
タバコといえば、次元大介。私の好きなアニメの一つ、ルパン三世に出てくるルパンの相棒である。
次元が吸っていたのがポールモール(Pall Mell)。次元に憧れて吸っていたこともあり、ちょっと収集してみた。意外と国ごとにパッケージが違っていて面白い。マルボロとかだと、あまり変化がない。
タバコにこだわっていたからこそ、タバコには多くの思い出がある。そういった思い出を大事にしようということで、なんとなく集め出したら、多くのタバコを収集していたりする。しかも吸わない状態で保管してある。
2023年時点で、古いものでは25年、四半世紀も経っていることになる。25年ものとなれば、葉がしっかりと熟成され、味も香しく・・・はなってくれない。タバコの場合は製造から月日が経つと味が落ちてしまう。賞味期限はせいぜい1年ほど。20年も経ってしまうと、ゴミ同然である。
お酒だととんでもない値段になったりするのにな・・・と思うと、収集品を間違えてしまったと、ガッカリしてしまう。
話がタバココレクションにまで及んでしまったが、話を戻すことにしよう。私にとってはタバコは海外旅行の必需品。
日本で吸うのじゃないから、禁煙の禁を破っても問題ないだろう。半分はいい旅をする為、半分は海外のタバコが吸いたい為、ってな感じで、タバコを吸うことを解禁。空港の免税店で久々に愛用のHOPEを購入し、旅で吸い始めた。
そしてメキシコ、南米の旅を終え、日本に帰国したら、タバコの役割は終了。もう吸う必要はないので、即禁煙・・・。とはならなく、なかなか就職も決まらないし・・・と、ダラダラと吸っていた。
で、この度、就職も決まったし、7月1日から社会人に復帰だし、それに合わせてまた禁煙しようと決断した。といっても、屋久島ツーリングの時から減らし始め、自宅に戻ってからは新たにタバコを購入していないので、もう禁煙中。余裕の勝利的な状況だ。
世界的にみても、タバコ離れが進み、どこの国でも日本のようにタバコが煙たがられる存在になりつつある。
今回、メキシコなどを旅をしていても、地域柄というのもあるかもしれないが、以前よりもタバコのコミュニケーション効果も薄くなっていると感じたし、日本のタバコも随分と高くなってしまったし、健康にも悪影響を及ぼすし、タバコを吸うメリットや吸いたい気持ちがどんどん減っている。
もし次に海外旅行に出ることがあっても、今回のようにタバコを吸うことはない気がする。ってことで、今度こそ人生最後の禁煙になるのではないかな・・・と思っている。あくまでも現時点での話だが・・・。
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