旅人とわんこの日々
世田谷編 2006年Page7
世田谷(砧公園)での犬との生活をつづった写真日記です。
12、伊豆ツーリング2006(2006年4月29日)
毎年4月29日のみどりの日(現・昭和の日)か、その前後に大学時代の仲間と箱根方面にツーリングを行っている。今年も開催することになり、昨年同様に私がそのルートを決めることになった。さて、今年はどういったツーリングにしようかな。
昨年は大河ドラマの義経に合わせ、源氏所縁の場所をめぐる観光ツーリングを行ったら、なかなか評判がよかった。今年も昨年のようなツーリングをしたいと希望を受けている。
今年の大河ドラマは功名が辻。山内一豊とその妻、千代の話。山内一豊は、織田家に属する戦国時代の武将で、後に土佐藩の初代藩主になる。残念ながら伊豆や箱根とは接点がない・・・。
他に伊豆付近で話題性のあることもないので、普通に観光ツーリングにしよう。伊豆の地図を見ながら、わがままなバイク乗りの好奇心を満たしてくれるようないい目的地はないかな・・・と探し始めた。
バイク乗りという人種はバックパッカーと似ていて、自分の世界観が強く、自分の興味のないことに対しては拒絶反応が大きい。傍から見ると、バイクを接点にまとまっているように感じるかもしれないが、そんなことはない。
ツーリングにしても、顔見せ程度にちょっとだけ走りたい人、峠を思いっきり走りたい人、観光を中心にしたい人、なるべく遠くへ行きたい人など、様々な思惑があり、また、乗っているバイクの種類も様々なので、人数が多くなればなるほどまとまるのが難しい。
好みがうるさいので、ツーリングの目的地を探すのも一苦労。結局、毎年ワンパターンなツーリングに落ち着いてしまうツーリングチームが多い。
我々の場合は大学時代からの友人関係なので、ある程度気心が知れている。そこまで気を遣うことはないが、余りにも退屈なツーリングになってしまうと、来年から来なくなってしまうこともあり得る。
社会人になると、学生時代とは違い、家族や仕事などと天秤にかけ、趣味の時間を使うことになる。その大変さは人それぞれとなるが、現実には結婚した仲間の多くは来なくなってしまった。
来年も参加者を維持させたければ、少なくとも時間の都合をつけてでも参加したいと思うようなツーリングをすることが大事になる。
なかなか難しいミッションになるが、それは旅人の得意分野であるともいえる。みんなの想像の上をいけば、「そんな遠くへ行くのですか」「ここ何があるんですか」と、つまらなそうにしていた顔が一気に驚きの表情に変わる。そうなると、してやったり感が半端ない。そして来年も・・・となる。
で、地図を見ていると、沼津の下に大瀬崎という出っ張りがあるのに気が付いた。ここには今まで行ったことがないな・・・。何があるのだろう。
調べてみると、国の天然記念物となっているビャクシン樹林に、伊豆七不思議の一つ神池、駿河湾漁民の信仰の象徴である大瀬神社、何より駿河湾の先に見える富士山が素晴らしいと、なかなか魅力的。辺境の地といったロケーションが更に冒険心をそそる。バイク乗りの目的地として最適ではないか。行くことにワクワクする。
ということで、気分は川口探検隊といった感じで、伊豆半島の秘境大瀬崎を目指すツーリングにした。
世の中には不思議なことに特異日というのがある。何故かその日に晴れが多かったり、雨が多かったりする日のことで、私の中では4月29日は雨の降らない特異日となっていた。実際、学生時代からこの日に箱根へツーリングに来ているが、雨に降られたことはない。
しかし今回はそうはならなかった。2日前までは1日中雨の予報。これではツーリングどころではない。せっかく苦労してツーリングの目的地を考えたのに、初の中止になってしまいそう・・・。
とりあえず前日の予報で可否を決めようということになり、前日の天気予報を確認すると、雨が降るのが少し遅まり、午前中は薄い曇り、午後は濃い曇り、夕方から雨となっていた。
さてどうするか。曇りに変わったものの、夕方からは雨。怪しい空模様なのは変わりがない。でも昼間は降ったとしてもそこまでザーザー降りにはならないみたいだし、せっかく1年に1回集まって行うツーリングだし、行くだけ行って、雨が酷いようならすぐ引き返そう・・・ということになった。
当日はいつも通りに8時に西湘バイパスの西湘PAで集合。珍しく遅刻者ゼロ。わがままなバイク乗りの集団にしては上出来。って、褒められることではないが、まあバイク乗りの集団というのはこういうものだ。
今日はそれなりに距離を走るし、時間が経つとともに雨の確率も上がる。速やかに西湘PAを出発し、いつも通りのコース、真鶴、湯河原を通り、椿ラインを登って大観山へ到着。恒例の集合写真を撮るものの、雲が空を覆っているので、富士山が全く見えなかった。
いつもならもう1往復したい人いる?ってな感じで話が進むのだが、今日は天気が悪い。いきなり雨が降ってきて、スリップでもしたら大変。
すぐに出発し、伊豆スカイラインへ。そして昨年同様に韮山で下り、修善寺方面へ。時々この近くを通るものの、なかなか修善寺には寄る機会がなかった。修善寺は大修繕を終えたばかりということだし、せっかくなのでお寺と温泉街へ立ち寄ってみることにした。
地名とお寺が同じ名前だとややこしいのだが、お寺の修善寺はちょうど大修繕が終わったばかり。参拝をしに訪れると、本堂や境内がとてもきれいな状態で、印象的だった。
各々お参りをした後は、川の中に設置されている足湯へ。ここは伊豆最古の温泉と言われている。なんでも弘法大師が杖(独鈷)で突いた場所に温泉が湧き出たとか何とか。そのため独鈷の湯と名付けられている。
バイクのところへ戻り、出発の準備していると、ポツポツと小雨が落ちてきた。うっ、きた~。予定外の早い降りだしに大慌て。カッパを着こんで出発することにした。
修善寺からは達磨山を越えて伊豆半島の西海岸へ。道中は少し雨がぱらぱらと降ったものの、山を登りきると雨は止み、海岸部に出てみると、それなりに空が明るかった。
そして海岸部を北上し、今回のツーリングの目的地である大瀬崎へ到着。やっとたどり着いた・・・。雨が降るか降らないか、結構ハラハラしながらの道中だったので、更に気分が盛り上がり、まさに秘境にたどり着いたといった心境。これからの探検に期待が高まっていく。
バイクを降りて歩き出す。どうやらここはダイビングスポットとして有名らしく、海岸はダイバーで埋め尽くされていた。気分は興ざめ・・・。いやいや、探検気分なので、湾の底には財宝が埋まっていて、彼らはそれを一生懸命探しているかのように感じる・・・。
そんなダイバーを傍目にまずは大瀬神社にお参り。古くからの漁村文化を色濃く表している神社となり、4月4日の大瀬まつりは多くの船が出て賑わうそうだ。
半島部には伊豆七不思議のひとつである神池がある。一説によると富士山の水が地下から湧出しているとか。その真偽は定かではないけど、池の水は淡水で、多数の鯉が群遊していた。
池のそばまで行くと、鯉が水面から顔を出し、口をパクパク開けながら餌のおねだりをしてきた。鯉の餌の販売でもあれば期待に応えてあげられたのだが・・・。
池と人懐っこい鯉。それだけならありきたりで、特に不思議でもなんでもない。ここが不思議となっているのは、周囲を海に挟まれている場所に真水が湧き出ていること。どう考えても不自然。伊豆七不思議と言われているのも、実際に来てみると納得だった。
半島部は国の天然記念物となっているビャクシン樹林となっている。なんでも日本最北端の自然群生地となるそうだ。
その中でもひと際大きな木が御神木となっている。樹齢1500年と言われ、幹回りは8m弱。木の幹の複雑な造形を含めて、とても貫録がある。実際に木の前に立つと、以前に屋久島へ縄文杉を見に行った時のような感動を感じた。
半島部には先端付近には灯台があり、灯台の写真を撮れば大瀬崎を制覇。本来なら富士山が海の向こうに見え、感動のフィナーレとなったはずだが、あいにくの空模様。分厚い雲に遮られて全く見ることができなかった。
これで探検隊の探索は終了。晴れて富士山が見えていれば、もっと印象が良かったのだろうけど、まあ楽しい秘境探検になったかな・・・といった感じ。
それよりも、かなり歩いたのでお腹の空き具合が限界。ここからは一気に沼津港へ向かい、昨年と同じ店で少し遅い昼食をとった。その後は雨が心配なので、早めに帰路に着くことにした。
今回は雨が心配だったので、道中は慌ただしく、帰宅も早めとなったが、てきぱきと動いたおかげで走行距離はいつもよりも多かった。
友人に言わせると、普段のツーリングを圧縮したようなツーリングだったそうだ。おかげで家に帰ったら疲れがどっと出たとか。
私的には、普段からこれぐらいの密度でツーリングができればいろんな場所を訪れることができるのに・・・と思ってしまうが、誰も彼もが私のように旅が好きではないので、それはちょっと無理な相談になる。
まあ、今回もみんなの表情からすると、楽しんでもらえたようだ。さて、来年はどうしようかな・・・。って、もう来年のことを考えてしまうのは、旅が好きだからなのか、それともみんなの喜ぶ顔が見たいからなのだろうか。そのへんのところは、正直、自分でもよくわからない。
13、シャンプーの匂い(2006年5月上旬)
妹はちょくちょく犬を連れて実家にやって来る。歩いて来れる距離なら、散歩の途中に立ち寄った、となるのだが、自転車や車で移動する距離なので、それなりに目的があって連れてきている。
自分が用事があるときに明日まで預かってというのが一番多いが、その他にもシャンプーをさせるために連れてくることもある。
暮らしているマンションの浴室よりも我が家の方が広いし、暇をしている母親に洗い終わった犬を拭いてもらったり、爪切りを手伝ってもらえば、2匹分の手入れもはかどるというもの。
今日は帰宅すると、リンスの匂いと犬を洗った時に発生する毛皮臭のような匂いが家の中に漂っていた。
犬を飼っていない人にはわからないと思うが、犬を濡らすと強烈な毛皮臭がする。例えば、散歩で雨に濡れ、家に帰ってもタオルで拭いただけのままだと、家中が獣臭くなる。
これは犬に限ったことではなく、体毛に覆われている全ての動物に通じること。雨の日の牧場とか、動物園に行くと、いつもよりも動物の臭いを強く感じると思う。
人間でも雨や汗で頭が濡れたりすると、ちょっと臭いを感じることもある。特に年を重ねるとより感じるようになる・・・。
今日は犬を洗ったんだ・・・と、家に帰った瞬間分かったので、出迎えてくれたチャーミーを匂ってみるのだが、いい匂いがしない。ってことは、妹が自分のところの犬を連れてきて、自分とこの犬だけシャンプーをしたのだろう。
どうせならチャーミーも洗ってくれればいいのに・・・と思ってしまうが、チャーミーは体が大きいし、あまりシャンプーが好きではないので、洗っている最中に文句が多い。
小さいとはいえ2匹の犬を洗った後に、ついでにチャーミーもといった発想にならないのはしょうがない。けど・・・、やっぱり犬を洗った痕跡に気が付いてしまうと、チャーミーも洗ってくれていればな・・・と思ってしまうのは、人情というものだ。
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